児玉清さんが大好きだったツヴァイク、
特にこの「チェスの話」がお気に入りだったと書いてあるのに
心惹かれて!
四つのお話がおさめられている。
「目に見えないコレクション」
盲目の版画コレクターを骨董品屋が訪ねる話。
「書痴メンデル」
あるカフェに一日中居座って、
本の事なら何でも教えてくれる名物おじさんの話。
この二編はどちらも戦時中、
何も疑うことなく、
好きなものと向き合って
楽しく暮らしていた人が、
戦争と言う大義名分のもと、
その人生が無残に打ち砕かれる運命が描かれる。
読んでいて、自分も「その他大勢」になって
暗黙のうちに、この純粋な人を
押し退けて傷付けた気がして、
暗澹たる思いに見舞われる。
「不安」
ある美しい人妻は、
若い音楽家との秘密の逢瀬を楽しんでいたが、
あるとき、その音楽家の元恋人にみつかり、
強請られるが…
非常に意外な展開になり、
そうするとあの時も、あの時も…と
なんだか余計に恐ろしい気持ちに…
「チェスの話」
ナチスの圧政下、
何もかも取り上げられ軟禁されたオーストリアの名士は
ある日、一冊の本をなんとか手に入れることが出来た、
その本はチェスの名人の棋譜の収録であった!
極限の環境のもと、「自分でいる」と言うことは
とても難しそうだ。
(だからこそ、こう言う状態にして
思いのまま操ろうとするのだろうけれど)
どのお話も人間が人間にする残酷な行為が
共通のテーマの様に感じて、
いつものように「ややや、面白い本を読んだぞ!」と
なる様な読後感ではないけれど、
何かあるごとに折々に
自分の身に起こったことの様に思い出す気がする。









