飲食業で働いていた時のエピソード。
人のために尽くす、
組織、チームのために尽くす、
人の間で「尽くす、和す」
そんな中で葛藤したエピソードです。
神社巡りのブログの箸休めにつまんで頂けたらと思います。
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「才能は笑顔の奥に」編
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「人を殺すのは罪ですが、人の才能を殺すのは罪になりませんか?」
これも前回と同じく某コーヒーチェーン店での出来事。
スタッフミーティングが浸透し、店はチームもいい形に機能しようとしていた頃、
ミーティングも次の段階となり、リーダーに成り得る子には、その人の見る感覚を共有するようになっていました。
そんな時、
朝の時間帯のリーダーとして育ちつつあり、翌月にはランクアップしようと考えていたフリーターのTさんとミーティングしていて、ある異変が。
「私、リーダーになって大丈夫ですかね。
私、Mちゃんみたいに明るく笑えんし……」
夕方の時間帯の学生のリーダーMさん、
おっちょこちょいではあるが、とにかく楽しそうに働く。
天真爛漫で誰にも明るく接することができる子。
その子と比べた?いやそれだけじゃないはず。
何かあったかきいたら、
「この間、スーパーバイザー(店舗指導スタッフ)のHさんに
『もっと元気に笑ったらいいのに』
て言われたんです、でも…」
どちらかというとクールビューティーというか、元気をバンッと全面に押し出すようなタイプではない。
なのに、それを強要されて笑い方を失いかけていました。
自分の知らんところで何してくれてんねん。
スーパーバイザーのHさんは、
若かりし上沼恵美子のような人で、笑顔としゃべくりで店長から今の役職になった人、
店長としての仕事が懐かしいのは分かるが、今の立場で、そのノリで仕事をするのは止めてもらいたい。
何かあるなら店長を通すのが筋である。
やれやれである。
Tさん、彼女のすごいところは、
マニュアルにはないけど、忙しいランチピークに、みんなが少しでも取りやすいように仕込みのラップの巻き方を工夫してみたり、
夕方から入る人にも食材を分かりやすい配置にしてあげて、分かりにくいことはメッセージを残したり、
何よりすごいのは、新人さんがランチピークに入った際に、手を出し過ぎず、その子が自信を持てるぐらいの微妙なさじ加減のフォローをできる。
「みんな同じ笑い方せなあかんかな。
そんな作って元気いっぱいです的なオーラ出したところで、お客さんにも、まわりのスタッフにも、違和感を残すと思うよ。
いつものスタイルでくずさなくていいと思う」
そして、
先日Mさんとミーティングした時に出たTさんの話をそのまま伝えました。
「この間、Mさん言ってたで。
夕方のスタッフの子と話してて、朝の仕込み、誰がしてくれたかすぐ分かるって。
あの仕込みのラップの巻き方、夕方のメンバーでも流行らしてるんですって言ってたで。
新しい子達も絶妙なタイミングでフォローしてるのも知ってる。
みんな慣れてきて少しずつ楽しみ出してきてるのは顔見たら分かるし、
でもその笑顔を引き出してるのはTさんやで。
そういうのってマニュアルとかでもなく、なかなか他の人にマネできん才能やと思うで。
だから、今まで通りで大丈夫」
ある日の週末、
大学が休みでランチタイムにMさん、Tさんが一緒にシフトに入っていました。
Mさん 「店長、今日は私レジ接客していいんですか?」
自分 「Tさんおるから後ろのスタッフのフォローは任せていいよ、でもオーダーのペースは気にしてあげてな」
Mさん 「了解です」
ランチピークが始まり、
Mさん、Tさん、二人が一番忙しい時間帯の中、アイコンタクトしながら笑顔で楽しんでいるのを見て、
頼もしいなというのと、ありがたいなというのと、
これからのチームの成長にまだまだ楽しくワクワクしている自分がいました。
そして、何よりTさんに自然な笑顔が戻ったことが嬉しく感じました。
自分は人と人が仕事をする上で必ず、
50:50の関係性
が大事だと思います。
経験者と新人スタッフ、同じではない。
まして役職者ならそのパワーバランスを引いて接してあげなければ、死んでいく人(才能)もいる。
スーパーバイザーのHさんには、後日今回のこの件を話すと、
「ごめん、あんたの店行くと店長やった時のこと思い出して、スタッフと話すの楽しくなってもてな、ほんまごめん!」
と今後の話はでき、Tさんのリーダー昇格の承認をしてくれました。
今回のHさんのように悪気はなくても、死にかける才能もある。
世の中には、平気で人の上であぐらをかける人、
パワーバランスをいいことに相手を傷つける人がいる。
それらを知ってわざと才能を殺すことができる人もいる。
そんな人はもう、逮捕できるようにしてほしいと思うわけであります。
※写真は、本文と関係ありません。
1枚目:塩浸公園水神社前
2枚目:越木岩神社 磐座