第19回 ヴィクトリアマイル 回顧 | 米の心

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週末に行われたVMについて。

と、その前にまず、武豊騎手4500勝おめでとうございます。以前ほどにいい馬が集まらなくなり、騎乗回数も減らしているもののそれでもなお、競馬界の顔として第一線で活躍しているのはさすがですね。いまだにこの騎手が乗るからということで人気になるのは武豊と外国人ジョッキーくらいではないでしょうか。福永さんや川田騎手などリーディングジョッキーにその後なった人はいますが、それでもなお、武豊ほどに信頼感というか人気を勝ち取るまでには至らなかったように思います。

もう武豊騎手より年上のJRA所属騎手は後3人くらいしかいませんが、このまま競馬界を引っ張っていって5000勝目指して欲しいですね。

さて、では話をVMに戻します。

VMは非常に難しいレースの一つというのが個人的なイメージとしてあります。人気の馬でも割と負けたりすることが多いんですよね。実際1番人気の馬は負けることも多いレースですね。

牝馬限定の春のレースはこのレースしかありません。また、2000m以上の古馬中距離、クラシック路線は、秋にはエリザベス女王杯があるものの基本的には牝馬向けのレースというよりは、牡馬混合レースが多かったりします。自然牡馬相手でも通用する馬でなければその路線で勝ち抜くのは難しく、結果牝馬は、短距離からマイル、あるいはマイルから中距離あたりを中心にするという傾向が出やすい印象があります。

もちろん、アーモンドアイなどといったように牡馬を蹴散らすような圧倒的な馬も近年出てきていますが、あくまでそれは一部であり、中距離からクラシックのG1は牡馬の出場が圧倒的であり、牡馬が中心的であるというのは基本的には変わらないところだったりします。

6月に入ると安田記念もあり、このレースというのは様々な意味で牝馬にとっては使いやすいレースの一つでもあります。短距離であれば、高松宮記念からこのレースや安田記念というローテが考えられますし、ドバイに向かった場合でもこのレースを挟むというのは選択肢になります。冬から春のこのレースまでの間で牝馬向けの大きなレースがないだけに、ある程度このレースが軸になりやすかったりします。

その中で、牡馬相手に結果を出している馬などもしばしば出てきます。今回で言えば昨年のマイルCSの勝利馬であるナミュールなどはそうですね。過去もグランアレグリアやアーモンドアイなどが出場しました。

ちなみに、このレースと安田記念どちらもマイルで同じ東京1600ということで連戦するケースは割と見ますが、連覇した馬は多くはありません。ウオッカとソングラインくらいでしょうか?VMから安田記念は間隔が短い上に、超高速馬場で直線の長い東京での疲労などが理由としてあるのかもしれませんが、そのあたりも含めて、荒れる理由かもしれません。

牡馬混合レースで結果を出している馬が出場すると自然人気になりやすかったりします。今回もナミュールは2番人気と人気でした。武豊騎乗というのも理由の一つかもしれません。

ただそれは同時に他の馬からしても実力がある馬として、マークされやすいとも言えます。牡馬相手に勝てる馬となればその馬を警戒するのは当然ですね。その辺りが牡馬相手に勝っている馬で人気馬でも意外と負けることが多いというところの理由かなと思います。

個人的にはそもそも牝馬の強い馬と混合レースで強い馬というのは必ずしもイコールではないと思います。よって、安田記念やマイルCSでの勝利馬だから牝馬相手のレースなら楽勝とは必ずしもならないかなと思っています。牡馬相手に実力が出せない馬が、牝馬だけのレースなら実力が出せるということもあるでしょうし、ちょっとした実力の差なら、他の馬の動き次第で逆転もあり得ます。そのあたりの重なりが、1番人気が意外と勝ててないというところにつながっていそうですね。

一方で、1番人気はともかく、人気馬が勝っていない、馬券に絡むことが少ないかといえばそうではありません。連覇したソングラインは3番、4番人気と人気上位でしたし、ソダシにしろ2番人気でした。ノームコアも勝利した時は5番人気と相応に評価があった馬です。

その意味で言えば、ある程度実力がある牝馬が春先のレースで集中しやすい中、人気馬同士でやりあい、過剰気味な1番人気の馬が結果につながっていないということになるのかもしれないですね。

さて、そのVMですが、勝利したのは、テンハッピーローズ。

後方からのレースで直線の仕掛けどころがよく、伸びきりましたね。津村ジョッキーは念願のG1初制覇となります。14番人気からの勝利ということで、大荒れの結果となりましたが、津村ジョッキーがうまく乗り、実力を発揮したといえるのではないでしょうか?

臨戦過程からすれば、これまでG1に出場したことがなく、牝馬限定重賞で掲示板に乗らずというのを2戦してのこのレースですから、評価が高くないというのは仕方がないかもしれません。

この馬については、いい脚は使えているけど届かないということが多かった印象です。前走も上がり3F自体は悪いものではありません。仕掛ける時にどの位置にいるか、どこで仕掛けるかそのあたりで後ろからの馬というのは一発はまることもあれば、なかなか勝てないということもあったりしますが、この馬はそれに当てはまりそうですね。いい脚は使えているだけに勝ちきれなかった馬がこのレースで見事抜群の仕掛け、位置どりができたといった感じでしょうか?

テンハッピーローズの父はエピファネイア。エピファネイア産駒といえば、古馬になって勝ちきれない馬が多い、成長力がないと言われていたりもしましたが、この馬が勝ったということで少し流れが変わってくるかもしれません。

天皇賞・春ではブローザホーンが勝てないまでも2着という好成績を残しました。エピファネイア産駒の古馬の活躍が徐々に出てきているように思いますね。

2着に入ったのは、フィアスプライド。ディープインパクト産駒は東京のマイルは走る印象でしたがやはりルメール騎乗というのもあって結果を残してきました。全体的に後ろの馬が表彰台に上がるような展開の中前目から早めの抜け出しですが、最後非常によく粘った気がしますね。追い上げてきた馬と最後の方は脚が止まってきていましたので、抜ききれなかった、抜かせなかった強さというのを感じました。

この馬については、後ろから使われるレースなど様々な使われ方をしていますが、今日のレースを見ると前目からのレースの方が強さを発揮できるような気がしますね。長く使える脚というのは東京の先行では驚異的だと思います。

3着に入ったのが、一番人気のマスクトディーヴァ。最後追い上げたものの差しきれませんでした、2着の馬とは脚が合ってしまっていたのでどちらにしろ届かなかったかなという印象を持ちます。直線で前が塞がれたために、そのあたりは仕方なかったとも言えますが、後方からの競馬、1番人気となるとありうる展開でもありましたね。

1番人気ではあったものの、前走過程からすると、この馬がゴリゴリに本命という印象は個人的には持てないです。どの馬も臨戦過程上信頼があると言える馬が少なくその中で1番人気になるならこの馬というような形で押し上げられたところがあったのではないでしょうか。それは武豊騎乗のナミュールにしろそうですね。それだけ、予想する側も判断要素が難しいレースだったように思います。

VMの場合は、前走までの実績評価が難しいことはしばしばあります。牡馬混合重賞で6着くらいの馬と、牝馬限定レースで3着だった馬どちらの方が強そうか?といわれたら悩む人もいるのではないでしょうか?このレースに向かうステップが様々だからこそ前走のレースレベルを判断するのが難しいとなるわけです。

その中で阪神牝馬SはVMを勝利したテンハッピーローズや4着に入ったドゥアイズ、6着のウンブライルなどが出場したレースであり、その分比較材料として見やすく、結果このレースで勝利したマスクトディーヴァに人気が集まったというところではないでしょうか?

前が空いたなら完勝したのか、次のレースでの走りを期待したいです。

さて、4歳馬のマスクトディーヴァが勝てなかったわけですが、今年ここまで古馬については4歳より、5歳以上の活躍が目立つ傾向があり、それはVMでも結果として出てしまいました。昨年の3歳世代、現4歳世代はもう少し見せ場を作っていってほしいところですね。

来週は、いよいよ優駿牝馬、オークスとなりますが、こちらでもいいレースを期待したいですね。人気になりそうな馬がNHKマイルを選択したなどもあるのでそのあたりもどういう影響が出るのか注目です。