今年非常にいいレースを見せているのが角田選手。先日のマイアミGPでは10番グリッドスタートながらも3つ順位を上げ7位でフィニッシュとなりました。一方のチームメイトのリカルドは本戦で活躍を見せることができず、ポイント圏外となりました。
そのリカルドが見せ場を作ったのは、フロリダGPのスプリントレース。こちらでリカルドは4位でフィニッシュとなり、一方の角田は8位でのフィニッシュとなっています。
スプリントレースは、1位からポイントが与えられ、8位までがポイント圏内となります。本線とは違い、1つ順位が下がるごとに1ポイントずつ下がる仕組みで、1位が8p、8位が1pというわけです。
今のF1のポイントルールで行けば、本戦は75%以上消化した際フルポイントで1位が25p、2位が18、3位が15、4位が12。5位が10、6位が8、7位が6、8位が4、9位が2、10位が1となっています。
そのためポイント圏内でも一つの順位の差で得られるポイントというのは差があり、特にこのことは上位チーム同士の争いというよりは、中位同士のポイント争いにおいて非常に重要な意味合いがあります。一つのレースの一つの順位でドライバーズランキングが入れ替わるということもあるからです。
特に近年のF1はレギュレーションの関係もあり、レイアウト的に有利なところ不利なところは多少あっても、チームの入れ替わりが大きく出るということは特に上位チームにおいてはありません。
ここ数年で言えば、チャンピオンドライバーのフェルスタッペンがいるRBを頂点に、フェラーリ、メルセデス、あたりが表彰台を争い、そこにマクラーレンやアロンソがどこまで加わってくるかといった感じです。
となると、リタイアでもない限り、中位のチームからするとポイントを取るのは非常に難しいということになります。そもそも6位くらいまではアクシデントがない限りほぼ固定であり、その下にしても、マクラーレンやアロンソなどを破ってポイント圏内を勝ち取らなければならないからです。
実際現時点でのドライバーズランキングを見てみると、その5つのチームでほぼ締められています。唯一その5チームで10位以内に入っていないのがストロールであり、そのストロールを破っての10位以内にいるからこそ角田選手がいかに今シーズン活躍しているのかということがわかるという話でもあります。
逆に言えばストロールについて批判的な声が多いのは、単純にドライビングの質などもありますが、結果を出せていないからでもあります。結果を出せていないドライバーがいいマシンに乗り続けるのはおかしいでしょというのは当然の批判でもあるわけです。
さて、マイアミのレースでスプリントレースは19周で行われました。本戦が57周でありあり、1/3ということになります。
スプリントレースのポイントというのはおそらく、このレースの周回数というところを基準に考えられているものだと思われます。
本戦が仮に中断となった場合、その消化が25%以上50未満の時が、1位が13ポイントで、9位までのポイントですから、これに割と近い水準ということが言えます。
ただ、批判もあるスプリントレースですが、今回のリカルドの4位という結果からの5ポイントというのをみると、ちょっと今のF1においてのスプリントレースの与える影響は大きいように思います。
リカルドは今年一度も本戦でポイントを獲得しておりませんが、今回のポイントで14位にランクアップしました。本戦で活躍した角田と比較してこのレースではわずか2p差しか発生していません。
チームで見た時ビザは12pの獲得であり、アロンソしかポイントを獲得できなかったアストンマーチンの2pを大きく上回るポイントとなっています。
マイアミGP開催前とビザの順位は大きく入れ替わっっていませんが、ハースとのポイント差はわずか2であり、この1レースで10pと大きく引き離すことに成功しています。
スプリントレースは全てのコースで開催されるわけではないので、チームによってこのスプリントレース開催されるサーキットで結果が出るかどうかというところが非常に中盤以降のチームには重くのしかかります。
あるいはスプリントのためだけのセットアップをした方がもしかするとポイントを多く取れる可能性すらあるかもしれません。
個人的には本戦ありきのF1です。スプリントはボーナスというか、ビジネス上にあるものくらいのものという認識なのですが、あまりに中位のチームにとっては影響力がありすぎるポイントになってしまっているように思えるわけです。
そもそも本戦でビッグポイントを取るどころか入賞が難しいということからすれば余計にです。
もちろん、そのようなチームがスプリントで上の順位でフィニッシュできるかといえばそういうシーンは限定的かと思いますがでは、同じマシンを争うもの同士であば、スプリントの結果一つでドライバーズランキングが入れ替わる可能性だってあるということになります。
今回の角田選手とリカルドのそれを見てしまうとポイント制度としてどうなのかという気持ちが生まれてしまうのは確かなところです。
F1は将来的にポイント獲得枠を拡大する旨も話し合っているとのことです。
そのことに好意的なドライバーなどもいるとのことですが、もしかするとそれはこの辺りが影響しているからかもしれません。
スプリントレースの結果が特に中位チームのポイントに大きく影響を与えかねないというところからすると、そもそも本戦でのポイント獲得枠を広げ、本戦の価値を高めるというのは考えられる施策だからです。
まぁ、実際は参加チームの半分以下のところまでポイントがあるというのはどうなのかという気もしますし、いっそ完走すればポイントを付与というような意見もまたわからなくはないですね。
F1のポイントという観点からすると、時代とともに変移してきていますが、そもそも以前と完走率などを含め変わってきている中で、どういうポイントであるべきかという点も当然に変わっていくべきという話なのかもしれませんね。