競泳の背泳ぎを中心に活躍した入江陵介選手ですが、3日引退会見をしました。18年の日本代表歴を誇る入江さんですが、3月に行われたパリ五輪代表選考会に出場し、史上初の5大会連続出場を目指したものの、派遣基準記録突破とならず、代表内定とならなかった中での引退となりました。
5大会連続を目指せるというところからもわかるように、代表としてのキャリアが18年と非常に長く活躍されました。
陸上や競泳といった競技はある意味では、そのあたりが非常にドライなスポーツです。標準記録があるがゆえに、本人がどれだけ現役を望もうとしても、それが許されない競技であるからです。少なくとも高いレベルの大会などに出場するのはできなくなるわけです。
サッカーや野球のような球技であったりすれば、あるいはレジェンドに対してのリスペクトなどもあり本人が辞める時期を決められるといったところはあるかもしれませんが、純粋にタイムを競う競技である競泳や陸上は他の競技者も出場を目指しているわけで、国がどうのではなく標準記録を上回っていなければ参加資格とならないわけです。
その標準記録はもちろん大会のレベルごとに決まるというわけですが、世界競泳や五輪といった大会ではやはり高い水準が求められるということになります。
そう考えるとこの長いキャリア、5大会連続出場を目指していた、目指せるほど長く活躍できていたということがいかにすごいのかということがわかるかと思います。
多くの競技でそうであるように、もちろん一部の突出した選手などもいますが、科学やトレーニング、道具の発展と共に記録というのはどんどんと更新されていく傾向にあると言えます。
陸上で日本人で10秒を切る選手が出たように、あるいは、決勝ではそのタイムを出せなければそもそも太刀打ちできないように、どんどんとレベルとというのは向上していっていると言えます。
一方で、肉体についてももちろん科学的なアプローチなどにより以前より長く活躍できるようになっているのは事実かもしれませんが、それでもなお、加齢と共に衰えていくのも確かです。
その意味で言えば、どんどんと時代の流れにおいて、更新されていく中で自分は衰え、その中で活躍するというのはどれほどに大変なことなのかということになるわけです。
背泳ぎにおいて、日本人男子のメダリストというのはごくわずかしかいません。
この20年くらいでいっても入江さんのみです。いかにその舞台で活躍するのが難しいかということを改めて感じますね。
ちなみに平泳ぎの北島康介選手の活躍などが記憶に残っている人もいらっしゃるかもしれませんが、平泳ぎにおいても北島さんの他にメダルを手にしたのは立石諒さんくらいです。
東京オリンピックでの日本人選手の活躍などが記憶に新しいかもしれませんが、こと競泳という競技においてそのメダルはアメリカとオーストラリアにほぼ集中しています。今までのメダルの総数のうち1/3がアメリカであり、1/8がオーストラリアです。複数の競技に出場することも可能な競泳において優れた選手が多くのメダルを獲得することも多いというのが理由の一つかもしれません。
ちなみに歴代メダリスト排出国を見ると、アメリカとオーストラリア、それに欧州が目立ちます。
競泳の文化自身が世界的なものではないというのもあるのかもしれませんが、上半身の発達や肺活量の発達というところで考えると、ある程度適性がそちらにあるのかもしれません。
日本では圧倒的な存在があった、入江選手も五輪では、ロンドンでの3つ、世界水泳選手権ではローマ、上海、バルセロナの3大会での4つのメダルであり、金メダルはついに取ることができませんでした。
アジア大会などでは金、銀メダルの常連だったことを考えると、やはりアジア人が競泳で世界に挑むことがいかに難しいかということを感じさせます。
入江選手がこれほど長く活躍したのは、続く日本人が出てこなかったというのがあるかもしれません。しかし、逆にいえば続く日本人が簡単に出てこれないほと非常に高いレベルであり、そしてそこに18年もいたというのはやはり素晴らしいことだと思います。
今後どうするのかはわかりませんが、競泳というシンプルにタイムで勝ち負けがでる競技で、これほど長くに活躍し、日本人に勇気付けてきた選手というのもあまりいないかもしれませんね。
まずは、お疲れ様でした。今までありがとうございました。
続くキャリアでどのような選択をするのか、そちらでの活躍もお祈りいたします。