訃報芦原妃名子さん | 米の心

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少し前からSNSを中心に賑わせていた話が、最悪の結末となってしまいましたね。日本テレビで昨年10月から放映された連続ドラマセクシー田中さんの原作者である芦原妃名子さんが先日お亡くなりになられたとのことです。

自殺をほのめかす遺書があったとのことですが、話の経緯からすれば、原作にきちんと準じた形での制作なら原作提供を許可するといったところを、日本テレビ側がその意図に従わない形で制作、原作からかけ離れたために、芦原妃名子さんが脚本に介入、それを脚本家が自己視線でSNSに投稿、その後、原作者も状況を説明したところ、SNSで大荒れ、結果原作者は荒れたことを謝罪し、投稿を削除、その後、行方不明となっていたところをこのような形で発見されたとのことです。

漫画の推しの子でも漫画をリアルや舞台、ドラマなどで提供する場合は、そのままでは難しいところがあるという話もありましたが、今回の場合は、原作者が提供する際にそれを守ることを求めていたというところからすると、日本テレビ、プロドューサー、脚本家側に非があるという見方がされるのは仕方ないかもしれません。

まぁ、今回の政策に携わった方はそもそも原作クラッシャーとして有名なコンビらしく、それもあって、念を押したというところだったのかもしれません。実際、原作者も全てがそのまま原作通りというのが無理な要素は十分に理解していた、そのあたりが、あまりにも自分の作品からかけ離れてしまったものになったということを感じさせる内容だったということなのかもしれません。まぁ、リアルからかけ離れた話という世界観の世界ではないだけに、そこが守られないというのが悲しかったのかもしれません。

ただ、今回のことで、その非があるとしても、それを責め立てる、特に、脚本家などを炎上させるというのは好ましい結果には繋がらないといえるでしょう。それをしても、意味がないからです。それどころか今の時代はこれを理由にインプレッションを稼ごうとする人もでる時代です。この点は大きなSNS時代の問題ともいえるでしょう。

また、今回の問題は、それぞれの非があり、それの積み重なりの結果が最悪の結果につながったということかと思います。SNSも火を注いだ面は非常に多くあると思いますし、そもそも原作をきちんと守らなかった製作者側、テレビ局の責任もあります、ただ、それら一つ一つだけでは、おそらくそのようなことにはならず、地理も積もったところで、堰を止めることができなくなってしまったのではないでしょうか。

よって、これで誰かに強く責任を求めるという姿勢になると、第2第3の被害が出てくるリスクがあり、それは芦原さんにとっても望むものではないかと思います。

ただ、一方で、見直すべき問題、課題があるのは、確かであり、そこに対して今後どうアプローチするかという点は別かと思います。

正直なところ、テレビや映画などにおいて、原作として人気の漫画や小説、ラノベなどを使うということはしばしばありますが、原作へのリスペクトがなかったり、原作を軽視していると言われるケースというのは少なくありません。それだけテレビ局などが強気の態度というのをこれまでは示してきたといえます。

今回も、原作者の要望があったにも関わらずそれを守らなかったというのは、殿様営業をしているテレビ局のスタンスというのが本質的にあるからです。

亡くなられた後の日本テレビのコメントに対して、自分たちに非がないようだと、SNSで責め立てる意見が多かったのも、そのあたり真摯に向き合っていると少なくともユーザーに感じさせることができなかったからかと思われます。

さて、テレビ業界という形で見ると、近年これまでにないほどに、ユーザーの視線というのは厳しくなってきているように思います。テレビ局そのものの不祥事もあれば、タレントや事務所のやらかしなどもあって、コンプライアンスを疑う視線は強くなっています。ユーザーがそうであり、それはすなわち企業もそういうところをきちんとした態度というのがなければ、スポンサーとしての自分たちの信頼に関わるがゆえに厳しく見るようになりました。

その中で、ジャニーズ事務所の児童性被害問題があり、今年の年末年始は、ダウンタウンの松本人志さんの女性問題が話題になりました。後者はまだどうなるかはわかりませんが、女遊びをしていたというのは少なからず確かかと思いますし、ダウンタウンが無傷で決着するということはどういう結果になっても難しいというのが現状です。

そして、それらの問題が起こるたびにテレビ局側の態度というのにユーザーは注目してきましたし、その対応が良かったという印象につながるケースは少なかったように思います。

NHKはジャニーズや吉本依存が強く、ジャニーズ問題があった中でそこの穴埋めに活用したのは、吉本でした。ただ、松本さんの問題がこうして大きく取り上げられるようになり、それは松本さんだけではなく、その後輩の対応にも厳しく見られるようになった中、吉本芸人を使うということがはたしてふさわしいのかという話にまでなってきています。

NHKからすれば、吉本は人数をすぐ揃えれるし、スピーディーな対応ができ、ある程度低コストで活用でき、その場を盛り上げることができるということで、非常に使い勝手のいい事務所だったように思います。使い勝手がいいからこそ、ジャニーズが抜けた中での紅白の穴を埋めるという手段に吉本を使ったわけですし、反対にそこまで吉本に依存している状態というわけでもあります。

ただ、そういう状態がはたしていいのかという見方がされるようになってきているように思います。そして、そこで早くに正しい対応ができないというのは、すなわちそのことがその企業への信頼というところにつながっているように感じます。

今回も、原作をないがしろにするような制作に、その後原作者がなくなったことに対してのコメントというのは厳しい目で見られています。それは、どこか今までの自分たちの対応をしているというところを感じます。

では、その中で、原作者からも受け入れられないそのような発言があったものへ、スポンサーはそれを好ましいと思うでしょうか。ましては、その後悲しい出来事になってしまったわけで、加えてその後の対応も厳しい反応となっています。

こうなってくると、スポンサーとして提供するリスクがより見えてきます。そもそもテレビ離れがある中で、CMの価値というのは下がっているといえます。そもそも録画だとCMは飛ばしているというケースも近年は多いでしょう。テレビ局の歴史はたかだか75年であり、その中で権威を持てたというのはすごいことですが、たかだかその程度の歴史しかないもの、この目まぐるしく変わっていく時代に簡単に淘汰されるリスクというところへあまりにも意識が低いように感じます。

今回のことは、よりその点で厳しい立場にテレビ局が立たされるようになる大きなきっかけになるかと思います。

それこそ、同じプロデューサーを使って、原作クラッシャーな作品をまた作ろうものなら、日本テレビは炎上するでしょう。そして、それはより厳しく見られるため、少しの変化などに対しても冷たい反応をされるかもしれません。

日本テレビで起きたこととはいえ、それは他のテレビ局でも同じような見方がされるでしょう。そもそも原作ファンにとって、改変が大きくされるということを好ましいと思わないという人は多くいます。今後、原作に忠実ではない表現があると、あんなことがあったのにまた原作を大事にする姿勢が見られないと叩かれるリスクも生まれるかと思います。

テレビ局は、かつては横暴でいれたかもしれません。それは、90年代などのテレビが面白かったとされる時代、コンプライアンスにうるさくなかった時代、テレビに人気があった時代であれば、そうなのかもしれません。

ただ、今は時代が違います。しかし、テレビ局の上層部にいるのはその昔良き時代に活躍した人でしょう。だから、本質的なところの意識がテレビ局で低い、結果、時代錯誤な横柄さがいまだになくならない。

そのあたりいい加減、どうにかしなければ、どうにかしようと思った時には時すでに遅しとなるかもしれませんね。現にそれがこうして続いているわけですから。

最後となりますが、芦原妃名子さん、お悔やみ申し上げます。