第100回箱根駅伝 | 米の心

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震災やJAL機の衝突事故など心痛むニュースが続いていますが、年始の恒例の箱根駅伝も今年で記念の100大会目となりました。記念大会となった今大会は、これまでの関東の大学から、全国への参加資格を拡大する事となりました。一方で元々箱根を狙うチームというのは関東に所属していますし、そもそも100大会に合わせてランナーを集めるというのは簡単な話ではありませんから、結果としては関東に所属する大学が中心となった大会という形になりました。

今大会はそれに合わせて、出場校がシード校の10校に予選会を通過した13校の23校で実施となりました。

今大会の感想はといえば、まぁ平たく青学強かったと言うところに尽きるでしょう。

往路の段階で青学の強さというのは際立っており、往路終了時点で史上最多タイとなる16校が一斉スタートするという形になりました。それだけ、青学が速く、そしてそれは復路においても際立っていたと言えます。歴代のタイムを更新しての決着なりました。

まぁ、一方で一斉スタートとなった分、トップ目に関してはともかくシード権争いなどについてはみた目通りの順位でないところも多く、駅伝ファンにとっては見応えがあったのかもしれません。

青学については、今大会で初出走となる選手が多かったというのも特徴の一つかもしれません。

この大舞台にそういうを起用する原監督、そしてそれに応える選手と言うのは素晴らしく、10年代以降箱根駅伝は青学が中心的だったといえますが、それを象徴する様なレース巧者ぶりというのを発揮したレースとも言えるのではないでしょうか。

もっとも今大会の本命と当初されていたのは、前大会を優勝し、2年連続で大学駅伝三冠の達成が期待されていた駒沢大学でした。しかし、その駒沢は残念ながらその栄冠を手にする事が出来ませんでした。

なぜ駒沢は勝てなかったのは、監督は敗因として、選手の疲労を挙げています。大学駅伝三冠に挑む駒沢大学はその間選手をほぼ固定して臨んだとのことです。

この辺り、駒沢としては、選手起用の難しさがあり、青学としてはより柔軟な対応がし易かったところはあると思いますね。

なんといっても、駒沢としてはそれまで結果を出しているわけです。その結果を出している選手を起用しないとなると、怪我であるか、よほどの不調などがあったと言う事がない場合、その間で誰もが認めるほどの成長を遂げた選手でもいない限りは、選手登録を変更するというのは難しかったかと思います。

実際駒沢は負けはしたものの2位であり、青学が圧倒的だったのを除けば、選手起用にミスがあったというのは酷だったかと思います。

一方で、1年間で駅伝の距離を3回走るというのは確かに疲労としては目立たないかもしれませんが相当のモノがあったかと思います。

駅伝とは違う距離のマラソンでみてみると、10月に世界新記録を出して話題になったケルヴィン・キプタム選手は新記録となったシカゴマラソンは3大会目の挑戦となっており、その前が4月のロンドンマラソンであり、おおよそ半年に1回、年に2レース前後というペースで出走しています。

結果を求められる大会に合わせて万全であろうとするのであれば、それだけ出るレースも選ぶ必要があるというわけですね。

大学駅伝三冠は、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝を差します。

出雲駅伝は、毎年スポーツの日、全日本大学駅伝は11月第1週日曜日、箱根駅伝は1月2、3で行われます。

スポーツの日は前の体育の日のことですね。10月の二週目の月曜日となります。

つまり大学駅伝三冠というのは、月一ペースでの駅伝に出場し、優勝する事が求められるということになります。それだけ疲労が蓄積し易く、達成が難しいというわけです。

駒沢は昨年その偉業を達成し、今年もその偉業にリーチがかかっていました。それ故に、難しい選択だったというわけです。

いっそ今年、出雲か全日本かを早々に落とすと言う流れであれば、もっと柔軟な対応は出来たかもしれません。その点前年の達成ありきという点でも、引き続き結果を求められるというのがハードルを高くしました。

青学に関して言えば、ずっと優勝できなかった分そこは調整し易かった点は箱根で有利に働いたと思います。

青学は15年に大学三冠を達成しています。その間14年から17年まで箱根の4連覇を達成していますが、三冠をしたのはその年のみです。そして、18年青学は2冠達成後の箱根で東海大学に破れています。原監督はその経験があり、どこに重点を置くべきか、そしてどう調整すべきかというところをよりこの間で経験したのではないでしょうか?

18年以降青学はこれで3回目の箱根駅伝の勝利となります。一方で、その間、出雲と全日本駅伝の優勝はありません。それは、駒沢の時代が再び来たというのもあるのかもしれませんが、青学が目指すべき、優勝すべき大会の標準をどこに定めたかというのも現れているのかと思います。

実際、大学駅伝三冠といわれますが、多くの人が注目するのは出雲でも全日本駅伝でもなく、箱根駅伝のみです。むしろそれまで関東学生連合の大学しか出れない箱根が大学駅伝の花形であり、それが全てとすらいってもいいくらいです。そして、それだけ注目度がある大会である箱根を制覇するというのは、大学側の戦略としても非常に大きな事と言えます。

つまり三冠だの言われても結局箱根が全てというのが正直なわけです。

その意味で言えば駒沢が2年連続の三冠を狙ったというのは、ある意味では素晴らしい試み、挑戦だった様に思いますし、その点はもっと評価されるべきかと思います。

ただ、それでもなお、勝った話題の中心となったのは箱根を制覇した青学であり、その青学の戦略というのが結果として出た、そういう事なのかと思いますね。