育成選手の話 | 米の心

米の心

野球にサッカー、NBA、F1とスポーツ全般から、西洋や江戸、日本の歴史、経済、文化、社会や科学、時勢ネタその他種々雑多をただただとりとめもなくぼやくブログです。

昨年の契約更改でSBの和田選手や槙原選手がSBの育成選手について苦言をいうシーンがありました。

SBは選手層が厚いということはしばしば言われる表現です。そのためFAの人的補償であったり、現役ドラフト、戦力外になった選手は非常に魅力的な選手が多いとして人気だったりしますね。よく他の球団であればレギュラーみたいなことも言われたりします。

実際、昨年の現役ドラフトで阪神に移籍した大竹選手は大活躍をし、阪神の日本一に貢献しました。

ただ、現実にどれほど魅力的な選手を抱えていても、SBの育成が成功しているかという点でいえば確かにそれは難しいといったのが現状です。

SBの先発ローテの一角として和田選手が活躍するのは素晴らしい話ですが、42歳の和田選手が先発登板数や奪三振でチーム2位と言うのはある意味で現状のSBの投手陣の不甲斐なさも示していると言えます。

実際野手などにしても若手で魅力的な選手は毎年でてくるものの、シーズン通して活躍した選手、スタメンとして数年活躍した選手というと、それこそ、甲斐、千賀、牧原選手を育成ドラフトで指名した年を除けば誰がいるでしょうか?という話だったりします。日本代表としても活躍した周東選手がいるくらいでしょうか?

どれほどいい選手がいてもその選手が活躍する場がなければ、果たしてそれはそのチームにとってプラスになっているのかというと難しいところがある様に思います。

さて、和田選手や牧原選手の若手への苦言というのはもっともなところがあります。

この若手への苦言の内容というのが、起きている似た様な環境としてあげられるのは、独立リーグでしょうか?

独立リーグもまた野球を辞めきれないモラトリアムを過ごすユートピアな存在としての役割を果たしている傾向があったりします。

野球好きな方が出資しており、選手をかわいがる(甘やかす)環境が出来てしまっており、本当にハングリーになれる選手というのはチームでは数名程度ということはしばしばだそうです。

育成選手はプロチームが抱えている独立リーグの選手という形に近いと言ったところでしょうか、本来であればプロになるためにハングリーにならなければならないところがなかなかそうではない選手というのも現状といったところなのかもしれません。

この辺りはプロになるのが目的なのか、その先に明確な目的があるのか、その辺りも関わって来そうです。

さて、SBは、育成枠を非常に多く取り、青田買いをするチームとして有名です。4軍までつくっている様ですね。似た様な形で育成を多く取るチームとしては巨人などもそうであったりします。

数を取る事のメリットは、数打ちゃ当たる、当たったら儲け物といった選択が出来る事です。育成選手であればサラリーなどは安く抑える事が出来、そこで大量に抱えて、その年の指名で1人でも1年でも1軍の戦力になれば儲け物といった話なわけです。

ただ一方でこれは、経営者目線としての戦術であり、これは雇われる側の目線からするとどうなのかという話でもあります。

育成枠には制限がありません。(あるのかもしれませんが、SBがあれだけ指名できる程度の枠の制限だということになります。)

一方で支配下登録枠には制限があります。だからこそ、その制限以上に青田買いをするために育成枠をSBなどは利用しているわけです。

ただ、現実的にでは育成選手をどれほど支配下登録に回せるかといえば、チーム状況にもよりますがそれほど多くの選手をそうすることが出来ないのは誰にも分かる話です。そもそも育成選手を支配下登録する事を前提に枠など誰も設けないからです。

70名の支配下登録でそのうち1軍に登録される選手が29名です。1.5軍の選手と怪我などで1軍を外れている選手(1軍で毎年出番がある程度の選手)は各球団10〜20名ほどはいるでしょうか、そうするとそれだけで過半数を超えます。

残りの枠を新しくドラフトされた選手や2軍で育成をしている選手などを考えるとあっという間に70名は到達してしまうわけです。そもそも2軍での試合を成り立たせるためにも選手が必要なわけで、2軍を成り立たせる程度に選手がそこに必要とすると、1軍と同じ数ほどは必要にないにせよ、20名程度は必要になるでしょうか。そうなると、もう50後半以上の枠が埋まってしまうというこことになってしまうわけです。

それほど支配下登録枠だけで考えると、1軍2軍の試合を成立させながらやりくりするとなると人数的な余裕はそれほどない事が分かります。

毎年支配下登録された選手が10名前後ほど戦力外になったとしても、ドラフトや外国人選手の加入で同程度は枠が埋まります。

シーズンが入る前に支配下登録枠を埋めてしまうということは通常しません。外国人選手が機能しなかったり想定外のケースになったときのために追加の補強が出来るスペースが必要だからです。ここにチーム状況によりけりですが、7~3名程度の枠があるというのがどのチームでも開幕前の状況になるでしょうか?

育成はどのタイミングからでも支配下登録されるチャンスはありますが、現実的にオフシーズン中にそうなる可能性はよほどのものがない限り考えにくいです。オフシーズンに支配下登録わざわざするメリットが球団側にないからです。

つまり、育成選手は現実的にシーズンインした後の数枠を外国人補強などの必要性を踏まえながら、その少ない枠を争うという話になります。実際そう考えると支配下登録にまわる選手は年1、2名であり、つまりは1、2枠しか与えられないということになります。

さて、そう考えた場合、果たして育成選手が多過ぎると言う現状が何をもたらすかは簡単ではないも知れません。育成選手が10名程度であり、その中で1名であれば頑張ればという競争も沸くかもしれません。しかし1名に50名、70名といった本当に狭き門となればなかなかそれは難易度が高いということなります。

ましてやそれは支配下登録されるといった状況のためにです。そこから1軍となるとなおさらハードルが高く、それはSBのような優勝を目的とし、外部からの補強も積極的なチームであればなおその道は険しいでしょう。その意味で言えば、千賀選手などの時はまだ育成選手が今ほどに大量に抱える前、初期段階だったというのはある意味では当人たちにとっても大きかったと思います。

一方で、支配下登録なくても、育成選手としてプロの選手として食べていくことは現状として一応出来ているわけです。

つまり非常に温くできる環境があり、その中で一方で競争は非常に激しい枠争いが求められ、そこを勝ち抜くだけの本当にハングリーである状況と才能、そしてチームのタイミングが噛み合うということが求められている、それがSBの現状とも言う事が出来ます。

以前はSBの育成大量指名戦術はお金がある球団だから出来るけど合理的とも考えてましたが、こうして現状の課題、経営者目線と選手側の目線その違いから発生する課題というところをみると、枠に制限がなくてもそこには現実的に有効な枠というのはあるのかなという気もしますね。