キリンチャレンジカップで思うサッカーと野球の違い | 米の心

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WBCで大いに盛り上がった日本、昨年末にはW杯でも盛り上がりましたが、2期目を迎える森保ジャパンの初戦はキリンチャレンジカップとなりました。

キリンチャレンジカップでの森保監督の采配云々とかの話はまず置いておいて、改めて日本代表を見ていて思うのは、キリンチャレンジカップなどであってもベストに近い、欧州で活躍する選手も召集され、出場しているというところです。WBCでは保険の問題などもあって、アメリカは投手がベストではなかったと言われていますし、最強とも言われた日本代表においても、出場をしない選択肢をした選手もいたようです。

そう考えるとサッカーは国際大会であればW杯のような大きな大会でなくても海外移籍組の選手が出場しますし、神前試合などでも然りだったりするわけです。

その点が同じく日本で人気のスポーツであるサッカーと野球では大きく状況が異なるということができます。

では、なぜそうなるのか、というところを考えてみると、サッカーの場合監督が4年後の大会に向けてチームを作っていきます。その上で、どの選手がどうチームにフィットをし、結果を出せるのかということをその4年間で把握し、チームを成長させる必要があります。

そして、選手側からするとそもそもW杯で結果を出すということが目的に人が多く、召集に応じることに対して好意的であると言えます。

しかし、それだけではなく大きなポイントとしてあるのは、FIFAランクのシステムだと思います。

サッカーのW杯はFIFAが運営しているものとなりますが、W杯で重要なのは、出場するということだけではなく、どのグループに入ることができるのか、といった点です。

カタール大会では日本はスペインやドイツと同じグループにあたり、優勝経験もあるこの二つの国を破ったということで大いに盛り上がったわけですが、逆にこの二つの国が同じグループにいるということは、以前であればあり得なかったこととも言えます。グループ分けの際に、様々なものを考慮するわけですが、通常FIFAランクの高いもの同士が被らないようにチームを振り分けます。

そうすることによって、グループごとに実力差がなるべく現れないようにするわけですね。

よって、グループ分けがされる段階での、FIFAランクというのは非常に重要になるとも言えます。

FIFAランクそのものは、何で決定されるかというと、国際試合での結果で決定されます。W杯もそうですが、チャレンジカップや親善試合の結果の影響も受けます。また、当然弱いチーム(FIFAランクの低いチーム)にばかり勝ってもランクは上がりにくく、強いチーム(FIFAランクの高いチーム)との対戦で結果を残すことがよりランクに大きく影響を与えることになります。

このことは、ある種の問題も抱えているとも言えます。

サッカーの中心地が欧州であり、南米はサッカーが盛んな地域として長い歴史があり、結果、欧州や南米はFIFAランクを上げやすい構造になり、逆にアジアやアフリカは上げにくい構造になっている点です。

これは同一地域での大会の結果がFIFAランクに与える影響が異なるからです。FIFAランクの高い国が多い欧州や南米であればユーロカップやコパで結果を出せば自然ランクが上がる一方で、アジアなどはFIFAランクの高い国が少ないのでアジアカップなどで結果を出してもFIFAランクが上がりにくいというわけです。

その意味ではアジアの国との対戦が多いという点でみても、なかなかアジア全体のレベルが上がらなければFIFAランクの上位に日本がいくというのは難しいということになります。

ただ、それでもやはりランクをキープする、上に持っていくという意味でも、国際試合で結果を残すということは重要になります。

すなわち、監督がチーム作りのために4年間をかけるだけではなく、4年後の大会に向けてFIFAランクを意識する必要もあるわけです。まぁ、正直言えば、4年後なので直近1年くらいの結果でいいわけですが、それでもなおFIFAランクの観点からもしても、自分の国の位置を決める上でも国際試合で結果が求められ、つまりは、出場する、消臭するだけの動機付け、義務付けみたいなものを発生させやすいということになります。

この点、WBCの場合は、栗山監督が終了後に批判したように大会運営時ですら、そのルール変更がされるほどに、MLBが中心であり、すなわちアメリカ中心です。

盛り上がったのは日本が優勝したからであり、大会運営やグループリーグそのもの、会場、開催時期様々な点で課題があったのは確かなことであり、根本的な問題はやはりMLBが開催しているからこそ起こる恣意性が強いといった点です。

ある意味では茶番劇みたいなもので、それでは、大会を権威づけるということが難しくなります。大会が権威づかなければ、WBCへの出場が目標となる選手も出てこないでしょうし、国際試合への選手の召集もまた難しいと言えます。実際、たまに国際試合などがあっても、MLBの選手などが出ることは基本なかったりします。東京五輪もNBPの選手中心となりました。

WBCに向けてある他の地域的な大会などもそれほどあるわけではないので、結果監督が次の大会に向けてチームを作っていくということもしません。大概がその時にシーズンで結果を出している選手を消臭して終わりといった感じです。そもそも強い地域、国が極端に一部の国に限られているために、ランクへの影響も少なく、それを元にしたグループ分けも限定的になってしまうところがあると言えます。

結局のところ、野球そのものを盛り上げようとする国際機関があって、そこが開催する一定期間ごとにあるW杯があり、そこを目標に監督がチームを作り、選手が出場意欲を持ちそちらを優先するようになり、国際試合そのもの重要性、価値が高くなっていく仕組みそのものをつくるというところがなければ、WBCがW杯のような立ち位置になるというのは難しいのかもしれませんね。