学生時代に書いた作品:抱いて(1996年) | (仮)月夜に光る 露草の雫(なみだ)

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学生時代に書いた作品である。

作成年月日は不明。


 

 

 

 

 

抱いて

 

 

抱いて

お願いだからつよく抱きしめて

一生離さないと言って

 

 

抱いてくれる人なんてもう、いない

みんな怖がって遠ざかっていく

家族も友達も

そして‥

身体は日に日に弱り始めている

薬の投与で生きている

まさに薬漬けになった体

もう長くない

身体に変化が出てきた以上、もう誰も

瘦せ細り

カポジ肉腫が顔を出している

 

 

世間はゴミ扱いにする

ゴミじゃない

普通の病院と変わらない

特別なことではない

同病の友達は

治すすべくこの世を去った

何もしていないのに、なぜ自分だけが

触れ合ってほしい

もっと

普通の人と同じように接してちょうだい

普通の人と同じようにしゃべって

見放さないで

心の支えとなって

みんな生きているんだから

病気を持った人でも「助かる」と信じて生きている

特別なことではない

当たり前なこと

遠ざからないで

目を見て

わたしを見て

見つめて

抱いて 強く抱きしめて

 

 

暗い部屋に閉じ込めないで

普通の生活をさせて

普通に仕事をさせて

普通に学校を通わせて

そんな目で見ないで

わたしもあなたと一緒に生きているんだから

手をつないで

抱きしめてよ

離さないと言ってよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真:写真ACより

 

 

 

 

作成年月日は不明

 

家田 荘子さん著書「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過した一年の壮絶記録」を読んで感じたこと