台所の湯が煮えたぎっているので家主はすぐ帰ってくるだろうと慌てて大きな風呂敷に盗んだ着物入れて逃げようとしているところに亭主が帰ってきます。
どろぼうは大慌て!そおっと
台所の板を開けて床下に隠れます。
なんだ!ここの糠床はくせえじゃないか!かき混ぜてないのか?とぶつぶつ言いながら糠床の窯の蓋をあけてかき混ぜます。
帰宅した亭主は大きな風呂敷の中に女房の着物が入っているのを見て間男と逃げる為に着物を持ち出すのだと勘違いします。
そこに湯から帰って来た女房と大喧嘩になります。
女房はあまりの亭主の理不尽さに怒りながら煮えたぎったやかんを投げつけて大喧嘩となります。
あっちっちちー!
やけどするじゃないか!それに奥さんよー!糠床は毎日かき混ぜなよ!さっき俺がやっといたけどきゅうりは食べごろだぜ!
大根はもうちょっとだなー!
頭から水がしたたりながら手は糠だらけの男が床下から出てきました、驚いた夫婦は喧嘩をやめます。
なんだお前は?
おむえとはなんだ!飲んだお前さんは亭主か?
そんなやりとりをしたので
この泥棒さんのおかげで夫婦喧嘩をしないで済んだと女房は泥棒に感謝します。
その言葉に泥棒は
奥さん!これからもまたちょいちょい来ますね!
その時はまた糠床をかき混ぜますよ!
その言葉に女房は
物騒でいけない!表の戸締りをしなくちゃ!
そこで亭主は
泥棒は家にいるのだから表からシンバリをかけな!
糠床の窯→昔は家庭の台所の床下にこんな大きな窯に糠床を作って美味しい発酵食品の糠漬けを使っていました。
秋茄子の糠漬けの美味しいこと!
