アニメにもなった「修羅の刻」で知られる川原正敏が描く、海洋冒険物語。
「修羅の門」や「修羅の刻」などで描いてきた格闘・剣術を継承しつつ、
帆船による戦闘という難しいテーマに挑み、更には戦術・戦略をも盛り込んだ、何とも贅沢な作品。
「修羅の門」や「修羅の刻」などで描いてきた格闘・剣術を継承しつつ、
帆船による戦闘という難しいテーマに挑み、更には戦術・戦略をも盛り込んだ、何とも贅沢な作品。
舞台は仮想世界ですが、奥行きのある緻密な設定で、そんなには無理を感じません。
否定しようと思えば否定できないわけではないですけど、作品を読む上で、
設定そのものの違和感はさほど気にならないレベルかと思われます。
否定しようと思えば否定できないわけではないですけど、作品を読む上で、
設定そのものの違和感はさほど気にならないレベルかと思われます。
ただ、幾つか問題点はあります。
コマ割りに工夫がない(センスがない)のは、まあ許しますが、
この作者、(昔からですけど)表情の描き方が凄まじく下手なんですよね。
コマ割りに工夫がない(センスがない)のは、まあ許しますが、
この作者、(昔からですけど)表情の描き方が凄まじく下手なんですよね。
あと、女性(女の子)を描くのも下手。
絵が、というのもあるんですけど、何より問題なのは、
「人」としての部分で女性を魅力的に描くのが下手なんですよね。
わざとらしいというか、作りすぎというか、作れてないというか。
絵が、というのもあるんですけど、何より問題なのは、
「人」としての部分で女性を魅力的に描くのが下手なんですよね。
わざとらしいというか、作りすぎというか、作れてないというか。
「修羅の門」や「修羅の刻」は女の子の登場が極端に少ない漫画でしたから、
さほど問題にはならなかったでしょうが、この「海皇紀」では馬脚を露わした感じがします。
さほど問題にはならなかったでしょうが、この「海皇紀」では馬脚を露わした感じがします。
とは言え、その問題点を補って余りある魅力が、この作品には詰め込まれているように思います。
まず、お家芸である格闘・剣術の描写は、緊張感もあり、納得以上のレベル。
戦略面においても破綻はなく、設定の深さが感じられます。
陸上の戦術面は「そこそこ」レベルだと言っておきましょう。
悪くはないですけど、戦術マニアを唸らせるレベルではありません。
戦略面においても破綻はなく、設定の深さが感じられます。
陸上の戦術面は「そこそこ」レベルだと言っておきましょう。
悪くはないですけど、戦術マニアを唸らせるレベルではありません。
が、やはり特筆すべきは、海上における帆船の操船および戦闘でしょう。
この分野に関しては素人なので、誤魔化されていたとしても気付きませんが、
素直に感想を言えば、「凄い」です。
何やら尤もらしい描写、常に予想を裏切る展開、
稀代のペテン師ファン・ガンマ・ビゼンに、読み手すら騙されることになります。
この分野に関しては素人なので、誤魔化されていたとしても気付きませんが、
素直に感想を言えば、「凄い」です。
何やら尤もらしい描写、常に予想を裏切る展開、
稀代のペテン師ファン・ガンマ・ビゼンに、読み手すら騙されることになります。
つまり、この漫画は主人公ファン・ガンマ・ビゼンに騙されることが心地よいわけで、
完全無欠…何をやらせても完璧な主人公に、感情移入することは難しいというか、
たぶん、(作者も)そんなことは目指していないのでしょうね。
はっきり言うと、「感動」はありません。
完全無欠…何をやらせても完璧な主人公に、感情移入することは難しいというか、
たぶん、(作者も)そんなことは目指していないのでしょうね。
はっきり言うと、「感動」はありません。
じゃあ、何を目指しているかというと、智慧比べ…じゃないんですか?
例えば「三国志」なんかを読んでワクワクするような歴史ファンは、この「海皇紀」を読んでも楽しいと思います。
逆に、「海皇紀」が好きなら、たぶん「三国志」も…好きですよね?
逆に、「海皇紀」が好きなら、たぶん「三国志」も…好きですよね?