桜田門駅から日本水準点標庫へ | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

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[国立公園鉄道の探索]

桜田門駅から日本水準点標庫へ

 

 

日本の標高は、東京湾の平均海面を0mとしてそこからの高さで表示されています。

 

例えば、私がよく利用する「線路縦断面図」でも、「施工基面の標高は、東京湾霊岸島の中等潮位をゼロとする。高さは路盤面の高さであり、レールや枕木の高さではない」と記されています。

 

定義としては、東京湾の平均海面が0mとされているのですが、しかし、地上に基準となる場所を固定した方が何かと都合がよいため、1891(明治24)年に、東京三宅坂にあった「陸地測量部」の敷地内に「日本水準原点」が造られました。

そこが実質的に日本の標高の原点となり、測量法でも「測量の基準 (第11条)」の項目の中で、「測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする」とされています。

 

今回は、その場所を訪ねてみました。

 

 

 

 

 

東京メトロ有楽町線の桜田門駅・1番出入口から地上に向かいますと皇居・桜田濠の畔に出ます。

 

これから「日本水準点原点標庫」のある国会前庭に向かいます。

 

 

 

 

 

 

 

内堀通りの歩道を進んでいきます。

 

 

国会前の交差点を渡ると瀟洒な庭に行き当たります。

かつて「陸地測量部」が置かれていた敷地です。

 

庭園の一角に、日本の標高の基準となる標石が納められた建物があります。

 

 

それが「日本水準原点標庫」で、付属標石を含めて国の重要文化財に指定されています。

 

建物中央下部に蓋があり、その奥に日本水準原点となる標石が収められています。

 

「日本水準原点は長く標高の基準となることを考慮、地震時の上下運動を最小限に抑え、水平変動を減少させるため、地下約10m

を超える基礎を打ち基礎の煉瓦面積と周囲の地盤の間に細砂を充填して築かれています。また、温度変化に伴う伸縮の影響を抑えるため、基礎部分にはコンクリート、レンガ、硬石を用い、基礎上部には堅くて丈夫な花崗岩台石に甲州産の水晶版をはめ込み零位石としています。零位石のゼロ目盛りの高さを24.3900mとしています」

と解説されています。

 

この地は東京山の手の台地上にあり、比較的安定した地盤ではあります。

しかし、この原点「動かざること山のごとし」というわけにはいかないようです、

 

原点を設置した当初はの標高は、T.P.(東京湾霊岸島中等潮位)+24.5000mでした。

しかし、1923年9月1日に発生した関東大震災後の測量でT.P.+24.4140mに変更されました。

その後、2011年3月11日に起きた東日本大震災時の変動があり、現在はT.P.24.3900mに改正されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国会前庭内、「日本水準原点標庫」と同じ地盤上には「電子基準点」も設置されていました。

 

衛星測位により、宇宙の視点から変動する大地の観測が行われ、「日本水準原点」の微動もモニターされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本水準原点標庫のある国会前庭内には、背の高い時計塔もありました。

 

この時計塔ですが、「三権分立の時計塔」と呼ばれることもあるそうです。