スヌーピー山とも呼ばれる竹山と伏目温泉 | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

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国立公園内を走る鉄道の紹介と風景の発見
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[国立公園鉄道の探索]

スヌーピー山とも呼ばれる竹山と伏目温泉

(霧島錦江湾国立公園)

 

 

指宿から南へ向かって進み、山川の港を経由して薩摩半島南端の海岸地帯に出ますと、まだあまり有名になっていない景勝地に行き着きます。

 

 

竹山神社のある「竹山」は、標高202mの山ではありますが、海岸近くからすっくと立つその姿は、鮮烈な印象を受けます。

 

今から5~6万年前の火山活動の折、溶岩が山に貫入して冷えて固まった地形と考えられています。

 

 

 

 

険しい岩にソテツも自生して、国の天然記念物の指定も受けているそうです。

 

竹山も霧島錦江湾国立公園の指定区域に含まれた景勝地です。

 

 

山麓にある温泉施設の側から眺めた竹山の岩峰は迫力があります。

 

背後には、錦江湾と対岸の大隅半島も見えています。

 

 

 

 

ふと、西側を見ますと開聞岳(924m)が見えました。

 

この山の存在が大きすぎるので、竹山はシークレットな風景地であったのかもしれません。

 

 

 

 

しかし、その竹山も近年話題になりつつあるようです。

 

「スヌーピーの寝姿に似ている」ということで「スヌーピー山」とも称されるようになったからです。

 

 

 

 

竹山山麓が海と接する伏目海岸は、温泉地帯となっており

「伏目温泉」と呼ばれています。

 

説明文によれば、干潮時には海岸の砂浜から立ち登る温泉の湯気がみえるそうです。

 

温泉水の層は、海岸付近ではほぼ海水面と同じ高さにあり、内陸部で地下50~200m程度で、温泉により変成された地形もみられる、とのことです。

 

古くは、麻の繊維を取り出す蒸煮や自家用砂蒸しに利用されていことも併せて記されていました。

 

 

 

 

 

伏目温泉には、製塩工場の遺構・「山川製塩工場跡」も遺されています。

 

案内板には次のようなことが記されています。

 

「伏目温泉温泉を利用した製塩事業は、三啓化学工業(株)が温泉熱を利用した製塩に着目し、泉源掘削及び製造工場の建設を行い、昭和19年から本格的に始まったものです。

その後、20年間に渡り製塩の増産を図ってきました。

しかし、新たな製塩技術の向上により昭和30年ごろから塩が生産過剰となり事業継続が困難となったことから昭和39年3月に操業を停止しました。

温泉熱を利用した製塩事業は全国各地で行われましたが、最後まで操業したのは指宿地域です。

このような温泉熱を利用した塩田跡と泉源が現存している場所は稀で当時の時代背景や変遷を伝える価値の高い産業遺構といえます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面の熱を利用した事業といえば、現在では地熱発電が思い起こされ、実際この近くにも「山川地熱発電所」があるのですが、昭和30年代までは製塩事業なども手掛けられていたことは知りませんでした。

 

火山エネルギーを有効活用しようとする試みを近現代史に刻んだ本当に貴重な遺構と思います。

 

この製塩事業が始まったのが戦時中であり、終焉したのが高度成長期であったことも示唆的な感じがします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

畑の向こう側に忽然と現れる竹山の姿も面白い、と感じました。

 

温泉源を目前に望め、それを活用した産業遺構も見られる霧島錦江湾国立公園・「竹山、伏目温泉地区」は、これから著名な風景地となる可能性を秘めた一帯と感じられました。