日豊線で一番高い所 | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

国立公園内を走る鉄道の紹介と風景の発見
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[国立公園鉄道の探索]

日豊線で一番高い所

 

 

 

 

日豊本線(小倉~鹿児島間 462.6km)の鉄道名所・「日豊線で一番高い所(368.939m)」を訪ねました。

 

日豊本線の最高地点は、都城と現在の隼人を結ぶ旧国都線内の、大隅川原駅(小倉起点408.1km)と北永野田駅(小倉起点413.4km)の間の、小倉起点411km付近にあります。

 

最後の開通区間(大隅川原~北永野田~霧島神宮間・1932年)にあたります。

 

 

 

 

 

 

 

 

「日豊線で一番高い所」の標識の反対側には「分水嶺」と大きく記されていました。

その下に、太平洋側の大淀川水系と錦江湾側の天降川(あもりがわ)水系の分水界であることが示されています。

 

錦江湾は東シナ海側の水域と見做されることがあります。

そうすると、ここも中央分水界となります。

日豊本線もまた「トンネルを潜ることなく中央分水界を越える路線」ということになります。

 

 

 

ところで、日豊本線の最高地点が分水界になっていることは以前から知っておりましたが、「分水嶺」と表示されているとは、思いませんでした。

 

この付近は、霧島火山山麓の複雑な地形帯にあり、水の分かれ目も複雑に入り組んでおり、一種の谷中分水界と思っておりました。

 

実際この近くで「分水嶺」に相当する明確な稜線を見つけるのは難しくなっております。

 

 

 

 

 

「分水嶺」という呼び名は線路縦断面図を見た時「明確」に感じ取ることができるかもしれません。

 

「日豊線で一番高い所」は、双方25‰の急勾配に挟まれ、山の頂のような形になっています。

頂の部分は切土されたとみられる記号がみられます。

 

『*出典:「日本鉄道名所-8」 株式会社小学館 1987年』

 

 

鹿児島県、大隅半島北部の曽於市吉ヶ谷の一角に「日豊線で一番高い所」は位置しています。

 

 

 

 

 

吉ヶ谷跨線橋へ進み日豊線の線路を眺めてみます。

 

 

 

 

 

この切通は深い、

ここまで刻まれているとは、

「日豊線で一番高い所」

は谷の中にありました。

もちろん人工谷ですが。

 

 

線路縦断面図である程度原地形が改変されていることはわかりましたが、これほど大胆に掘りこまれているとは、思いませんでした。

最大勾配を25‰に抑えるためだったはずですが、これは相当難工事であったと思われます。

 

 

線路の維持管理も大変であることが分かります。

 

 

 

 

日豊本線の車窓から見ると「日豊線で一番高い所」を通過するときは、壁だけが見えます。

現在走っている電車は性能が良いため、上りはさほどきついとは感じません。しかし、ここを過ぎて下る時は急勾配区間であることが実感できます。

 

 

近くには木材集積所もありました。

 

 

高台までいくと、霧島連山が見渡せました。

 

次回は、日豊本線で最高所にある駅を訪ねたみたいと思います。