橋杭岩 樫野崎 熊野海岸の風景 (吉野熊野国立公園) | 国立公園鉄道の探索 ~記憶に残る景勝区間~

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橋杭岩 樫野崎 熊野海岸の風景 

(吉野熊野国立公園)

 

 

前回、「和深駅」の記事では、2015(平成27)年に吉野熊野国立公園が拡張された海域の一つ、和深海岸の景色を眺めてみました。

 

今回は、吉野熊野国立公園成立当初、その国立公園を特徴づける大きな景勝として位置づけられた「熊野海岸」の風景地を訪ねてみたいと思います。

 

吉野熊野国立公園は、1936(昭和11)年2月1日に成立しました。

戦前に指定された12か所の国立公園の一つです。

 

16の候補地から、12か所の区域に絞られ戦前に誕生した国立公園は、格式的にも老舗ともいえる風格があります。選定過程では、美的観点から、そして学術的観点から、対外的にも誇示し得る優れた風景地がその区域に存在するのか、専門家により当時の見方で厳選されることになりました。

 

吉野熊野国立公園は、大正12年に国立公園候補地として挙げられた大台ケ原を中核に据えた公園で、その後、吉野山、大峰山地、北山川・熊野川の渓谷地帯とともに熊野の海岸風景が評価され成立に至りました。

 

特に、紀伊半島熊野南東部の岩礁地帯、入江、浜辺に於いては、それまで史蹟などに焦点があてられ見逃されがちであった多彩かつスケールの大きな海岸風景に資源的な価値が見いだされました。

国立公園の父とも呼ばれる田村剛博士は、「風景の発見」という意味でも画期的なことと判断したようです。

 

 

 

熊野海岸の中で、まずは橋杭岩と樫野崎を訪ねてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

串本町にある橋杭岩は、吉野熊野国立公園成立過程で熊野海岸を代表する風景地として評価されました。

 

沖合の紀伊大島に向かって南西方向に、大小様々な岩が約850mに渡って並んでいます。

約1500万年前、新第三紀と呼ばれる時代の火成活動により泥岩層の合間に流紋岩が貫入、その後柔らかい岩石が浸食され硬い岩盤が杭状に残ったものと考えられています。

 

 

 

岩の間から紀伊大島の岬が見えています。

 

 

樫野崎です。

 

 

干潮時にあたり、岩礁地帯を散策している人もおりました。

 

 

紀伊大島へはこの橋で渡ることができます。

それでは次に、紀伊大島・樫野崎の風景を眺めてみます。

 

 

樫野崎一帯には、高低差のある海食崖と奇岩奇石が溢れるスケールの大きな海岸風景が展開します。

 

 

 

 

岬に至る道の崖下に、微小な入江があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樫野崎には灯台があり、ここからあたりの風景を眺めることができます。

 

 

 

 

 

 

海峡を隔てて、遥かに熊野の山並みが望まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豪快な熊野海岸を見下ろし、彼方に紀州南部の山々を望むことができる樫野崎は、吉野熊野国立公園・熊野海岸の中でも傑出した風景地となっています。