[ 国立公園鉄道の探索 ]
湧網線卯原内駅跡の交通公園 (網走国定公園)
廃線となった湧網線(中湧別~網走間 89.8km)の
卯原内駅(中湧別起点 76.6km)は、
網走国定公園・能取湖近くの景勝地帯にあります。
網走市の鉄道記念館と併設されており、蒸気機関車や客車が静態保存された交通公園です。
「キューロク」の愛称もある9600形蒸気機関車・「49643」が風光明媚な卯原内の一角に佇んでいました。
付番のつけ方の件はこの際省略しますが、1920(大正9)年に川崎造船所で造られた73台の一機です。
1970年代半ばまでは活躍していたかと思われます。
「49643蒸気機関車」の後ろには客車が繋がれております。
保存されている客車は、オハ47形客車の500番台です。
原型は「国鉄スハ43系」で、北海道向けに、台車の変更や窓を二重窓にするなど耐寒対策が施された8台の車両の一つです。
「釧クシ」と表示されています。
ということは、釧路運輸車両所に所属していた旅客車、ということになります。
この客車は釧網本線で活躍していたそうです。
能取湖の湖面を背景に保存された「オハ47 508」、
以前は夏の間だけ宿泊施設となっていた時期もあったそうです。
卯原内駅跡の隣にはサイクリングロードがあります。
廃線となった湧網線の敷地を再活用しているものです。
「網走常呂自転車道」と名付けられ、網走から能取湖岸はほぼ湧網線の線路跡を辿ります。
廃線跡のサイクリングロードを歩いてみました。
湧網線の車窓には、この日と同じように、秀麗な能取湖の風景が映っていたはずです。
湧網線は、優れた景勝路線であったことがわかりました。
同時に、激烈な自然環境下に置かれる冬季、この鉄道が厳しい風土の中で、人々の生活を支えていたことも回想されました。
卯原内駅跡は、網走国定公園の有名な景勝地に近いところにあります。
次回はそこに視点を移動してみたいと思います。