[ 国立公園鉄道の探索 ]
南小谷駅から栂池自然園まで
( 中部山岳国立公園 )
大糸線の南小谷駅で降りて、中部山岳国立公園の栂池自然園まで行くことにしました。
南小谷駅には、臨時快速列車「リゾートビューふるさと」も来ていました。
こう暑いと、低いところの散策は厳しいので、高いところへ移動したくなります。
高い所、といえばなんといっても北アルプスの「中部山岳国立公園」。
この国立公園には、労せずして高所へ運んでくれる移動手段がたくさんあります。
そのうちの一つ「栂池自然園」へは、栂池高原駅からゴンドラリフトとロープウエイを乗り継いで到達できます。
まずは、ゴンドラリフト「イブ」に乗ります。終点の「栂の森駅」まで全長4120m(高度差625.26m)を20分かけて登っていきます。
途中に「白樺駅」という通過駅もあります。起伏のある斜面に沿って進んでいきます。
高度が増すにつれ、雲が出てまいりました。これは、霧の中の探索、となってしまうのかな。
ゴンドラリフトの終点・「栂の森駅」に到着、ここから7分程歩いてロープウェイの駅へ向かいます。
1500mを超えた地点にあるこの駅までくると、空気の質も変わってきます。
ここでロープウエイに乗り換えます。全長1200m(高度差284.54m)を5分で登ります。
こちらは常時運行のゴンドラリフトとは違って20分間隔の運行となっています。毎時00、20、40分の時間に出発しておりました。
霧が深くなってきました。梅雨明け後も、南海上から供給される水蒸気の量はただならぬようで、地元の人に聞いても「このところ快晴の日はない」とのことでした。
ロープウェイの駅を降りて、栂池自然園に向かう途中「中部山岳国立公園」の標識が掲げられていました。
「環境庁」時代に建てられた模様です。
中部山岳国立公園は、その成立当初、黒部峡谷など、電源開発事業などの開発事業との調整で難航を極めた区域も多かったのですが、栂池自然園のある白馬連峰の東側山麓は、好意的に受け入れられたようです。
栂池自然園に入ります。有難いことに、霧が晴れてきました。
栂池自然園は白馬連峰の東側の高所にひろがる湿原地帯です。
北アルプス北方の、白馬岳、小蓮華、白馬乗鞍岳、杓子岳、白馬槍ヶ岳の数峰の連山は、天気がよければ山肌に残雪をきらめかせる典型的な高山風景をみせてくれます。
本日は、視界必ずしも良好ではありませんが、漸く小蓮華(2766m)の姿が見えてきました。
標高1870m地点の「風穴」の横を進んでいきます。目指すは、最奥部・標高2010mの「展望湿原」です。
変わらず、雲は寄せてきます。2500mを超える北アルプスの主峰は霧の中です。
木道が整備されているため、歩きやすくなっています。湿原にはニッコウキスゲが咲いていました。
途中、楠川を渡ります。ここは谷になっていて、この後少々急な上り坂が待ち構えています。
坂道を登りきると、また湿原地帯となります。澄んだ水を湛える池塘が見られるようになります。
雲に覆われた急斜面に、残雪のある谷筋が望まれました。
一定の周期で雲が晴れる時間があります。
池塘の側には、休憩できるベンチも設置され、それぞれの地点で風景発見の機会が設けられています。
ここから、一気に展望湿原へ向かいます。
標高2000mを超える地点へ向けて、上り坂を進むことになります。
標高2010mの展望湿原へ到着しました。湿原の向こう側に白馬岳の大雪渓が展望できます。
頂上部が雲に覆われていると、山が高く見え、雪渓は氷河のように感じられました。
展望湿原で、大雪渓を遠望したあと、栂池自然園を周回しました。痩せ尾根にも木道が整備されていました。
尾根筋を下るとワタスゲの原が開けました。
標高1920mの浮島湿原を通過します。
名山遠望が適わなくとも、この湿原だけでも魅力的です。
今降りてきた周回路を望みます。
やはり、雲が切れ高峰が姿を見せると立ち止まって振り返りたくなります。
魅惑溢れる栂池自然園の周回路でした。