二人目に出会った師の教え(8話目)
前回の続きです。(7話目参照)
シッダールタは護衛の二人と共に二人目の仙人の所にたどり着きました。
アララ仙人と呼ばれる人の教えは、今までシッダールタが学んできた学問よりも考察が深かったのです。
当時、バラモン教と呼ばれる教えが信仰されており、シッダールタも幼い頃からバラモンと呼ばれる僧達から教えを受けておりました。
バラモン教の教えが一体どんなものなのかというと、まず創造の神であるブラフマー(梵天)と呼ばれる存在がいて、そのブラフマーを信仰し、過去からの形式通りに祈りを捧げて儀式を行うというものでした。
その儀式はバラモンによってしか行えないとされていたので、バラモン達の権力が強かったのです。
バラモン教の教えに対し、シッダールタは疑問を投げかけます。
「ブラフマーがこの世界を創ったと仰られておりますが、それを誰かが見ていたのでしょうか?」
するとバラモンはこう答えます。
「そのようなことを問いかけるものではない。創造主のことは信じるべきもので疑うものではないのだから。」
シッダールタの願いは、争いの絶えない世界の中で苦しむ人々が幸せに暮らせる方法を知りたいということでした。
残念なことに、バラモン教の教えの中では、そのような苦しみから逃れるものが無かったのです。
疑問に思ったことを問いかけても納得のいく答えを返してはくれなかったバラモン達に比べ、アララ仙人の教えは理論的で新鮮でした。
シッダールタが何かを尋ねると、しっかりと返してくれて、その度に心の琴線に触れられるような心地良さがあったのです。
では、そのアララ仙人の教えは一体どのようなものだったのかというと、要約すると次のようなことになります。
「物質への執着から離れれば心が清浄になり、結果、天に生まれ変われる。」
シッダールタは喜び勇んで修行を始め、アララ仙人の教えを真綿が水を吸い込むように、どんどんと吸収していったのです。
ところが!
楽しかったのも最初の内だけで、少し深く奥へ入っていくと行き詰るのを感じます。
一心に坐禅をしても、工夫を重ねてみても、安心できる境地には達することが出来ませんでした。
そこでアララ仙人に問うのです。
「先生、安心できる境地に達するまでに、まだ何か足りないものがあるような気がするのです。」
すると、アララ仙人も正直に答えます。
「実は私も同じなのです。まだ私の説も未完成であり、私自身もこれ以上奥へ入っていく術を探しているのです。」
自分の説がまだ未完成であることを正直に告げるところも、シッダールタにとっては信頼出来る先生でもあり、実際に良い師でありました。
より先を求めるシッダールタは、アララ仙人に別れを告げます。
「先生、私はもっと深くに入る道を求めてまいりたいと思います。」
「あなたはまだ若い。あなたのような本当の求道者であれば、いつか必ず無上の悟りを開けることでしょう。私はもう年で、これ以上深く入っていくことは出来そうにありません。もしあなたが無上の悟りを得られたならば、ぜひ私にも教えて頂けますようお願い致します。」
「先生…。今まで親切に教えて頂き誠にありがとうございました。必ずや苦悩から逃れる道を発見して、またお会いしに訪れたいと思います。先生、どうかお元気で…。」
先生の優しさに涙したシッダールタでありましたが、同様にアララ仙人の眼にも涙が浮かんでおりました。
そうして、アララ仙人の元を離れたシッダールタと護衛の三人は、マカダ国へ向かって足を進めていきました。
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