出家の決意(5話目)
前回の続きです。(4話目参照)
この世のどこかに自分の苦しみを救える道があるのではないだろうか…。
そう考えたシッダールタは、父である浄飯王に話を切り出します。
「父上、今日はお願いがあって参りました。」
「おお、どうした?」
「今までも何度かお願いしてきたことではありますが…。出家することを許して頂きたいのです。後継ぎとして息子のラーフラもすくすくと育っております。私はどうしても道を求めて参りたいのです。」
「お前は私の妻が苦しい思いをしながら産んだ、たった一人の息子だ。お前の言うことは何でも叶えてやりたい。だが、それだけは出来ぬ願いだ。可愛い息子で立派な後継者でもあるお前を失ったら、私も、お前の妻子も、この国も太陽を失ってしまうではないか。どうか思い留まってくれ。」
そう返されて少し考えたシッダールタは、浄飯王にこう伝えます。
「私にはずっと解けない疑問があるのです。幼い頃から先生方に聞いても、誰も私の疑問に答えてくれる人はおりませんでした。もし父上が私の疑問を解消して下さるのであれば、私はこの国に残って王位を継ぐことを約束します。」
「おお、本当か!何でも聞いてみるがいい。この父が答えようではないか。一体どんな疑問だと言うのだ?」
「それでは父上にお尋ね致します。」
シッダールタは、少し間を置いてこのような問いかけをします。
「人間が決して老いず、病まず、死なない道は無いものでしょうか?私が幼い頃から悩んでいる疑問に道を示して下さるのであれば、私は父上の仰せの通りに致します。どうぞ私の納得がいくような答えをお授け下さい。」
その質問を聞いた浄飯王の顔から、みるみる希望が消えていって失望の顔色に変わりました。
「そんな道があるわけがない…。人間は生まれてきたら、誰でも老いて病んで死んでいくものだ。どうしてそのような無理難題を言って父を困らせようとするのか…。」
手で頭を抱えながらうなだれる浄飯王。
一方のシッダールタも、首を垂れたまま落胆し、しばらく顔をあげることが出来ません。
浄飯王は聡明な王ではあったのですが、シッダールタが幼少の頃から抱える疑問を解消できる答えを与えることは出来ませんでした。
シッダールタが頭を上げた時、胸に決意を秘めたまま答えます。
「分かりました。父上、ありがとうございました。」
そして、次の日。
息子のラーフラや妻であるヤショダラ姫と共に遊びに戯れます。
「これが最後になる。」
そう心の中に秘め、妻子の楽しそうな姿に目を潤ませるシッダールタでありました。
その日、遊び疲れたラーフラとヤショダラ姫は、いつもより早く床についたのですが、シッダールタは二人が眠る姿を見守っていました。
愛する妃と息子が寝入った時、御者のシャノクの所に行って呼び起こします。
「夜分に済まないが、誰にも気付かれないように静かに愛馬のカンタカを連れて来てくれないか?」
ただ事ではない様子に気付いたシャノクでしたが、尊敬している王子のシッダールタの意を感じ取ったのでしょう。
以前から出家したいと言っていた王子の思いを知っていたシャノクは、王の命令に逆らうことになっても王子の願いを叶えて差し上げたいとカンタカを連れてきます。
そのまま静かに門まで移動し、門兵がいない城門を静かに開き、シッダールタとシャノクは暗闇の中に向かって歩みだしました。
「私の疑問を解く新たな道が見つかるまでは、この宮殿に帰ってくることはない。」
そう覚悟したシッダールタ、29歳の頃でありました。
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