メイキング・オブ・モータウン | 瀬戸内ログ

瀬戸内ログ

個人的備忘ログ。主に映画の感想記録。極力ネタバレ無し、と思って書いてきましたが、備忘録なのに制限かけるとか面倒くさくなったので好きに記録する事に変えました。ネタバレを含むのでご注意を。
当面、多忙につき映画鑑賞記録が疎かになります。

【 メイキング・オブ・モータウン 】

ポスター画像

『MOTOWN』

1960年台~の洋楽を少しでも聴いた事のある人や、主にレコードを触ったり、新旧レコードショップに一度でも入った経験のある人であるならば必ず、と言って良いほど多作で、著名なアーティスト、名盤を輩出し続けているカリスマレーベル。

その創設者ベリー・ゴーディと、共にその立ち上げから深く関わり、彼の作曲のライバルであり親友、そして副社長も経験したスモーキー・ロビンソンという MOTOWN の神、2人がごく初期のエピソードから彼ら有色人種にしか分かりえない苦しみ、当時の、そして今なお根深く残る人種差別に対して彼らがどれほど苦しく困難な道のりを歩み、そして乗り越えてきたのかを時に面白く、時にうるっとくるような語り口で綴る感動のオートバイオグラフィ。

監督はベンジャミン・ターナーゲイブ・ターナー

HitzVill創設から60年に渡るその回顧録には

ザ・ミラクルズ

ヴァレリー・シンプソン

マーヴィン・ゲイ

スティーヴィー・ワンダー

ジェームス・ジェマーソン

シュープリームス

フォートップス

マイケル・ジャクソン

ザ・ビートルズ

ジョン・レジェンド

ジェイミー・フォックス

サム・スミス

などなど、音楽の神々が入れ替わり立ち代わり降臨する。

残念ながらこの4月に老衰で逝去されたカリスマ営業マン、バーニー・エイルズ氏は過去の映像のみとなったものの、その壮絶な歴史、運命、ヒット曲量産とモータウンの栄光の歴史に溺れる112分。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

時代を創った選ばれし者達が集まりゆく様がドラマチックなだけでは無く、そこには愛と、人間の尊厳に関わる確固たる意思があった。 モータウンが築いた歴史のなんと偉大な事か。ゴーディとロビンソンがご健在ってのがまた凄い。素晴らしい記録でした。

 

画像10

モータウン、そしてヒッツヴィルUSA

創設当時は仲間がひっきりなしにこの住宅サイズの会社に詰めかけ、音響室はなんとバスルームだったとかもう最高です。

 

画像1

ベリー・ゴーディ御大、90歳。ご健在^^。

 

画像2

戦友であり親友、スモーキー・ロビンソン御大、89歳もご健在^^。

この二人のやり取りが終始楽しい。そりゃ会社組織でありお金儲けですから人に話したくないことだっていくつもあったと思いますが、それらを60年もの間乗り越えてきた二人には夫婦以上の絆があるように思います。ピップスとマーヴィンのどちらが先かって賭けのくだりなんか最高でした。

 

 

画像6

2020年4月21日に亡くなられたカリスマ営業マン、バーニー・エイルズ。

常に世界をその対象に見ていた彼にとって、人種や民族、職種や宗教の壁なんて、音楽で全て取っ払ってやる!という気概のようなものがあったのではないでしょうか。

彼らの持っていたそのバリアフリーな概念こそが、人種、性別、年齢に関係なく有能なものはみな仲間に、そして地位のあるポストに就けるという強力な組織作りを可能にしていたと。

なんと今から50年以上前に、です。

会社、組織の枠にとどまらず、国の枠さえ超えられる彼らのムーブメントが、現在の外国の組織作り、国作りに少なからず貢献しているのではないかと思いました。もちろん老害だらけの日本を除いて、です。

 

それにしてもシチリア出身、若い頃からイケメンで強面、周りから

『彼はマフィアなのか?モータウンはマフィアを用心棒に付けているのか?』

と噂される容貌のバーニーと、ベリー・ゴーディ、スモーキー・ロビンソンらの垣根なき関係は、ちょうど映画 『グリーンブック』 のような関係だな、ていうか彼らもまたあの映画のモデルでは無かったか、と考えたりもしました。

素晴らしい記録、素晴らしい作品となっていました。