【 カセットテープ・ダイアリーズ 】
原題は1973年、ブルース・スプリングスティーンの曲で1977年にマンフレッド・マンズ・アース・バンドによるカバーによってビルボードHOT100の1位を飾った曲名から
『Blinded by the Light』。
Bruce Springsteen - Blinded By The Light - The Song (From VH1 Storytellers) https://youtu.be/ku_KhAX3BIA @YouTubeより
1987年のイギリス、片田舎ルートンでパキスタン移民2世として慎ましく生活する高校生ジャベド。かなり偏った家父長制で一家に君臨する父親の望むような進路を拒み切れずにいる彼が、ある日友人のループスから借りた2本のテープ。再生はもちろんウォークマン。
ブルース・スプリングスティーンの沸き上がるエネルギーに圧倒されたジャベドの人生が新しく回り出して。。。
監督は『英国総督 最後の家』 『ベッカムに恋して』 のグリンダ・チャーダ。パキスタン出身のサルフラズ・マンズールによる原作からインスピレーションを受け、敢えてイギリスとアメリカという距離を置く事で物語に広がりを持たせたとは監督談。
主人公ジャベドをビベイク・カルラ、親友ループスをアーロン・ファグラ、ジャベドの彼女役にはネル・ウィリアムズ。幼なじみでチャラ目のイケメン、マットにはディーン=チャールズ・チャップマン、マットの父親には『スペインは呼んでいる』 『イタリアは呼んでいる』 のロブ・ブライドンがあたった。
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ボスファンの ボスファンによる ボスファンの為の映画、という枠を超えた音楽愛溢れる作品でした。少しお腹いっぱいでしたけど楽しかったです。
ジャベド親子も良かったんですけど、等しく最高だったのがマット親子。ロブ・ブライドンがなかなかにチャラいけど理解力ありまくりの親父を演じ、そんなお父ちゃんだから一見軽薄そうに見える幼なじみマットもめっちゃええ奴。最近の 『歌もの』 に共通しているのはええ奴ばっかりやん!ってところw 本当に悪いやつとか殆どいなくて、終始ライトに観る事ができます。一般的にはやはりこういった感じのが受け入れられるのか。まあ面白いんですけども。
で、結局のところ一番 『ボス』 が好きでジャベドをこの道に引きずり込んだのはこのループス。そしてやっぱりめっちゃええ奴w
女の子のように甘い紅茶を好みますw
クルビンダー・ギール氏。今作では厳格で尊大でありながら、鉄の女による弱者切り捨て政治によってあおりを受け、一家の長としてのプライドを傷つけられた苦しみを家族へのパワハラにぶつける。。。。アレ?この設定。直近に観た 『WAVES』 の父ちゃんと似た設定。時代は家父長制の終焉を印象付けようとしているのか。。。
そんな傲慢不遜に見えた父ちゃんも実はとっても家族想いで涙もろくて。。。こんなんもう西田敏行ですやんとww
途中からジャベドの父ちゃんが西田敏行に見えて仕方なかったのは私だけでしょうか?
ボス、こと ブルース・スプリングスティーン 賛歌色が非常に強いこの作品。世代的に正直少しズレちゃってる私からすると少々距離を感じてしまったんですが、ボスファンのみならず、敵味方を作って人を隔てることなく楽しもうぜと。自分の好きな道を信じて進めばきっと良いことが待ってるぜという青春映画。
ジャベドの父ちゃんにフォーカスして観るとさらに楽しいかと思います。