劇場 | 瀬戸内ログ

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個人的備忘ログ。主に映画の感想記録。極力ネタバレ無し、と思って書いてきましたが、備忘録なのに制限かけるとか面倒くさくなったので好きに記録する事に変えました。ネタバレを含むのでご注意を。
当面、多忙につき映画鑑賞記録が疎かになります。

【 劇場 】

ポスター画像

今や 『芥川賞作家』 でも十分通じる又吉直樹の同名小説を映画化。

 

主人公の売れない演劇家 永田を山崎賢人、彼の彼女となり振り回される女性、沙希を松岡茉優、彼の演劇仲間に伊藤紗莉という実力派で構成。

彼の友人には佐藤浩市の息子で『ナミヤ雑貨店の奇蹟』にてデビューを果たした寛一郎を当てた。

 

売れない演劇家 永田はある日東京で服飾の専門学校に通う沙希と出会い、お互い根無し草のように生きる二人はやがて共に暮らし始める。永田の才能を高く評価する沙希の献身的な態度を永田はだんだん疎ましく思うようになってしまい。。。

自分の可能性に縋る青年と、自らの居場所を探す女性。共に自分の生きる『理由』を知りたいともがき苦しむのだが。。。

 

監督は『リバーズ・エッジ』の行定勲

 

 

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松岡茉優演じる沙希ちゃんの、特に夢もなく田舎から『進学』というきっかけで街に出て来た人間の本質というか心情が生々しくて息苦しくなる。 安定の山崎賢人、伊藤沙莉、巧かったです。寛一郎君の成長も。

 

夢なんて別に無くても大丈夫なんだけど、教育の功罪か。

 

 

何かを 『創造する』 事の何と残酷な事か。何かに縋るように生きる事によって自らの使命のようなものを得たと思い込んでしまう。そのまま何かしらそれが形になっていく人もいれば、挫折し、叩きのめされ、自分自身の生きる意味さえ見失いそうになる恐怖心に駆られ平常心を失う永田。

田舎から特に大きな夢も無く、進学や手に職を付ける、事を理由に都会に出てきた人間の本質というか、帰る場所を見失ってしまった沙希の心情が生々しくて息苦しくなるほどでした。

 

山崎賢人君演じる永田のというよりは、松岡茉優さん演じる 沙希を軸に据えた若者の心の有り様を描いた物語であるように見えました。

 

少し気になったのは、前半で多用されたカットチェンジの方法。雑、というか編集ポイントのつなぎ方に行き詰った結果こうしてしまった、的な飛ばし方に冒頭から少し興醒め、イケメン過ぎる永田がよく分からないタイミングで繰り出す少しおかしな関西弁や、カッコいいんだけどどこかで見たような、演劇あるある的な結末のあざとさがどうもすんなり心に入って来なかった、というのが正直な感想。

そういう印象を持ってしまった理由の一つには、山崎賢人君の出演作はどれも好印象だっただけにハードルが上がった、というものがあったかも知れません。

また、個人的に今回の出演者の中では伊藤紗莉さんが一番好き(特に俳優として)だったので、自分の感情がブレてしまったのもあるかも。彼女の演技をもっと観たいんですよね。出すのなら。主役で全然いけますから。松岡茉優さんと並べるとぶつかり合ってしまう印象。

 

伊藤沙莉

 

 

ただ、中でも拾い物、とうか 『あ~良かったな』 と感じたのは寛一郎君の成長ぶり。

『ナミヤ~』 の時には硬くてさすがに素人感というか、主役でないにしてもさすがに抜擢し過ぎでしょ、と感じてしまった演技が大きく化けていたなと。

そして特に感じたのが解放された存在感、これはやはり血統のオーラというのでしょうか。永田ともう少し波長が合わせられていればもっと良かったと思うんですけど、いくつかの場面で山崎賢人君を喰ってしまっていたなと感じるほどでした。山崎賢人君、良い人の役が多いので今回は相当くろうしたのではないでしょうか。

それに対して寛一郎君は不穏な、何を考えているのかよく分からない怖さを持っていて、演技とはまた違う?内なる魅力を持っているなと感じました。良い役者になりそうで今後がとても楽しみです。

 

水と油、無理に濁らせようと少し無理をしている永田の演技に少し無理があったのかなと。

 

概ね一般的には高評価のようなんですが、正直個人的には予告編以上の良さは受け止める事が出来ませんでした。少し残念な作品という印象が残りました。

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あと井口理君、脇役での破壊力は凄かったなとw

なんかいいとこ持って行ってましたよね。さらっと。セコイなとw

うまいことやったなとw

これでまた人気伸びるやんとw

この作品で一番得したのは彼かも知れませんねw

ボード「mens」のピン