教師塾 12        ある生徒の立ち直り 7 

今回は学校に出ずらくなった生徒の経緯とその立ち直りを少し細かく考察したいと思います。

 

現場の教師しか書けない内容だと思います。

 

大学の教職課程で私が講義した時のテキストです。

 

だからこの文章は悩み相談事例というよりも保護者、教師の参考になってもらいたいので教師塾のジャンルで投稿することにしました。

 

 

ある生徒の立ち直り 6 の続きです

 

6月2日 登校  今日は校内球技大会。補欠ながら大会には参加できた。運動アレルギーなので本当にメンバー表には補欠として登録、実際には何もしなかった。というよりもできなかった。

 

前回の電話をしてくれたかつて犬猿の中であったB君に運動面でA君のことを頼むよと念押しした。

 

B君は運動センス抜群なのだ。

 

我がクラスではもう一人運動がすごく苦手なD君がいる。

 

今、席も隣なのできっかけがあれば仲良くする可能性があるかもしれない。

 

D君は球技大会に全く興味がなく、一人で「蝶」を追っかけて戯れていた。

 

しばらく、D君を観察していると、何となくA君もそこにやってきた。

 

初めD君とだけ「蝶」を追っかけていたが、いつの間にかあと三人、四人と増えていた。

 

私は教員室に行き、母親にその経緯をかなり詳しくお話をした。

 

父親は登校のことをとても不安がっているらしい。

 

しかし、その後に母親から意外なことを聞く。

 

それはA君がお昼休みに誰かと食堂で食事をする予定であると母親に話たらしい。

 

母親はA君が誰とは言わなかったらしい。

 

でも食事をするからお金が欲しいと言っていたようだ。

 

私は昼休みに食堂に行った。

 

A君はD君を中心に二、三人の生徒と食事をしていた。

 

やはりD君とは同じコンプレックスがあるので接近しだしたのか。

 

ある意味で私の目論みが当たったかな。

 

何だかホッとした校内球技大会であった。

 

球技大会、ありがとう。

 

「蝶々」、ありがとう。

 

そして、私にはD君が本当に神々しく映った。

 

ありがとうD君。

 

これでA君も明日は登校するだろうか?

 

ある生徒の立ち直り 8 に続く