心理カウンセラーの藤木ミホです。
私は、小学生6年生の頃、学校の図書委員会に入っていました。
図書委員には、本の貸し出しの係をやったり、本の整理をしたりという役割がありましたが、学校が購入する本を最初に読めるという特権がありました。
読書好きな私にとって、図書委員はピッタリな活動でした。
ただ、その中で、気にはなっているけれど、どうしても借りる気になれない本がありました。
実はその本は、購入されて何年もたっているのに、私だけでなく、学校中の誰にも読まれたことがないピカピカのままの本でした。
その本は、ジュール・ルナール作「にんじん」という小説でした。
小説「にんじん」は、「にんじん」というあだ名をつけられた少年が主人公です。
小説の内容は、少年「にんじん」が受けた親からの虐待について書かれていました。
実は、一度借りようと思ってチラッと中身をみたのですが、小学生の私にとってとても怖い内容で、ばたんと本を閉じてすぐに棚に戻していたのです。
ただ、その後も気になり続けていました。
ようやく「にんじん」を読むことができたのは、大学生になってからでした。
今思うと、小説「にんじん」は、カウンセリングの仕事をするのにあたって、読んでおいてよかったと思います。
ですので、これからカウンセラーを目指す方に、ぜひおすすめしたい一冊です。
さて、前置きが長くなりましたが、今日のブログは、小説「にんじん」のどういう点がカウンセラーを目指す方におすすめ出来るのかを簡単にお伝えしたいと思います。
小説「にんじん」の内容は、作者であるジュール・ルナールの実体験が元になっています。
上記の本の帯の画像に次のような文言があります。
実の母親によるいじめにも負けず、成長する赤毛の少年。
読んでみるとわかるのですが、いじめというより虐待という言葉が適切です。
また、母親からのいじめ(虐待)がつづられているだけでなく、父親も兄姉も少年「にんじん」を誰も助けようとしないどころか、一緒になって意地悪するのです。
このような環境で暮らす少年にんじんの心は追い詰められていきます。
それによって小動物への虐待行動に至るのですが、それすらも次のいじめの材料になっていくのです。
カウンセラーを目指す方は、虐待の起きている家庭の状況や、虐待を受ける子どもの状態、そして虐待を続ける親の状況を見つめる材料になる小説です。
そして、少年「にんじん」が何を支え(資源・リソース)に、虐待環境を生き抜いたのかも確かめてみてください。
最終的に、少年「にんじん」を苦境から助けたのは、親戚のおじさんです。
おじさんの登場によって、少年「にんじん」は、癒され成長の機会がひらかれます。
おじさんは、父母を悪者にすることなく、少年「にんじん」に寄り添っていきます。
そのあり方も、カウンセラーを目指す方の参考になることでしょう。
小説「にんじん」は、山岸凉子さんによって「赤い髪の少年」として漫画化されています。
漫画がお好きな方は、「赤い髪の少年」を読んでもらうのもいいと思います。
小説「にんじん」は、虐待のシーンを悲壮な感じで描く小説ではありません。
むしろ淡々とした雰囲気で文章が綴られています。
少年「にんじん」の父はルピック氏、母はルピック夫人と表現されています。
しかしどんなに読んでも、ルピック氏、ルピック夫人の人物像がはっきりと掴めません。
心理学用語を使って言うと、「同一性が感じられない」ということになります。
ここが、この小説のすごいところで、カウンセラーを目指す方の読みどころです。
おそらくですが、幼い頃に作者のジュール・ルナール氏自身が、
・父母を自分に愛情と保護をくれる人と認識できなかった
・父母とつながる感覚を持てなかった
これらによって、家族や親子の一体感を感じることができなかったのでしょう。
その幼い頃の視点が、父母のキャラクターに「同一性が感じられない」という箇所に表現されているのです。
こうした、幼少期に家庭内で虐待にあった方の視点を体感することができる点も、カウンセラーにとっての読みどころになります。
カウンセラーを目指す方には、小説「にんじん」をぜひ一度お読みいただければと思います。
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