心理カウンセラーの藤木ミホです。
「うつ病など、病気のカウンセリングを依頼されたらどうしよう。」
カウンセラーを目指す方の中に、そんな不安を持つ方がおられます。
その不安を詳しくお伺いすると、「うつ病を治してと言われても、できないから」という答えが返ってくることがあります。
ただ、この心配は不要です。
うつ病を治したい、治療を受けたいという方は、病院に行かれるからです。
それよりも、カウンセリングに寄せられるのは、「うつ病によって顕在化した問題」です。
さて、この「うつ病から顕在化した問題」とは、どんな問題なのでしょうか?
その問題の例として、読売新聞の「人生案内」から、ある相談とその相談に対する回答を引用してご紹介したいと思います。
カウンセラーを目指す方は、その例に対して、自分ならどのようなカウンセリングが可能かをシミュレーションしていただければと思います。
ご紹介するのは、うつ病そのものの相談ではありません。
うつ病を患うことで生じた、夫婦関係の不安、妻への不安、将来への不安、についての相談です。
カウンセリングには、うつ病などの病気そのものの相談ではなく、そこから派生して起こる問題や、心の不安などについて持ち込まれることが多いのです。
では、相談内容をご紹介します。
※画像の下にテキストもご用意しています。
40代男性医師。
妻について相談します。
私は数年前、うつ病を発症しました。
私と同じ医師の妻に支えてほしかったのですが、「すべて自分で解決すること」と突き放した態度を取られました。
妻は数年前に開業してから、私への態度が変わり、医師を交えた3者面談でも人ごとのような態度でした。
涙を流すほどつらい闘病生活の中、できる限り家事や育児をしたつもりですが、どんな状況でも同等の家事を求める妻は納得できなかったのかもしれません。
実母が支えてくれ、「よくがんばりました」という励ましの言葉は主治医と母からのみでした。
義母にも何度か相談しています。
仕事は再開することができました。
冷え切った夫婦関係を修復したいのですが、妻は私の何もかもが気にくわないようです。
将来自分が何かの岐路に立たされた場合、家族として何もしてくれないのではと心配しています。
(R男)
R男さんは、主治医から「よくがんばりました」と言われているところから、おそらく一旦の「寛解」を迎えたのだろうと推測されます。
ここで「寛解」について、少しだけお伝えします。
寛解とは、うつ病の症状が消え去って、心身の調子が安定した状態を言います。
目安として、うつ病の症状が2カ月間みられないと主治医から寛解を言われます。
もう少しいうと、寛解には次の2つがあります。
・すっかりうつ病の症状が消え去った「完全寛解」
・一部の症状はあるものの、日常生活が支障なく送れる「一部寛解」
さて、うつ病が寛解した後に残るテーマ、夫婦関係の修復、妻への不安、将来への不安に、どのようなカウンセリングが可能でしょうか?
そのうえで、次の回答をご覧ください。
回答は、ライターの最相葉月さんが担当されています。
※こちらも画像の下にテキストをご用意しています。
あなたを支える第三者が存在し、社会復帰もされているため少々厳しい話をします。
ご容赦ください。
妻も今、必死で生きています。
自分の名前を掲げた医院を運営するということは、すべての責任を自分が負うということです。
とくにあなたの具合が悪かった時と重なる医院のスタートアップ期間は、自分のことしか考えられなかっただろうと容易に想像できます。
家事や育児の分担は共働きなら当たり前です。
心身ともに余裕がない妻があなたの体調を気遣ったり、感謝を述べたりすることがおろそかになるのはある程度仕方がなかったでしょう。
自分が岐路に立たされたとき妻は何もしてくれないだろうと不安を抱いているようですが、この数年、まさに妻はそんな時間を過ごしていたのではありませんか。
あなたは妻の一大事に何をしてあげましたか。
「よくがんばりました」とねぎらってあげましたか。
独立する妻への羨望で、自分を憐れんでいただけではないと言い切れますか。
妻に母親のような愛情を求めるのは誤りです。
夫婦は今、人生最大の転機にある。
互いにそれを認め合うところから仕切り直してはいかがでしょうか。
最相葉月さんが最初に回答されている通り、R男さんには自分を支える資源(リソース)がしっかりとある状態です。
人的資源として、実母、義母、主治医。
経済的資源として、妻の収入、自分の収入。
そして、医師として仕事を再開したという社会復帰。
病気の療養中には、家もあり、ゆっくり休むこともできているようです。
家族や仕事、住むところをなくした状態でうつ病を患う方もおられることを思えば、たしかにR男さんは、病中、病後も、資源(リソース)を豊富にお持ちです。
最相葉月さんは、妻に母親のような役割を求めるばかりのR男さんに、「パートナーとして妻に何ができるか」という視点が欠けていることを、伝えたかったのかもしれません。
その視点を回復したうえで、「夫婦は今、人生最大の転機にある」という点を、夫婦で認識をしてはどうかと提案されています。
転機とは、離婚することになるかもしれないし、修復によって新たな夫婦関係を構築するかもしれないし、ということでしょう。
R男さん夫婦は、今が分岐点なのです。
私がカウンセラーとして、R男さんの相談内容を読んで気になったのは次の点です。
・母性を欲している
・妻に支えてほしい(支えることを確約してほしい)という思いがある
・一家の父、夫という立場でのリーダーシップについては考えにない
・夫婦で助け合うという視点がない
・妻が岐路に立った時に支えるという考えはない
要するに、妻から安心を与えられたいという欲求ばかりになっています。
たしかに、これでは夫婦関係は冷え切るでしょう。
しかし、これはうつ病によって引き起こされたのではないのです。
もともとあった問題が、うつ病によって、あぶりだされ、よりハッキリと見えてきたというべきでしょう。
つまり、これが「うつ病によって顕在化した問題」です。
病後のR男さんにとっては大変かもしれませんが、R男さんは、自分を見つめなおし改めるべき点は改めると同時に、夫婦関係についても見直すことが必要なのです。
妻の態度が不安とは、「妻の態度が自分の望んだ通りでないと不安」ということかもしれません。
ですので、もしR男さんがカウンセリングに来られたら、まずR男さんが自分を振り返ることを支援することになるのではないかと思います。
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