心理カウンセラーの藤木ミホです。
カウンセリングには、恋愛カウンセリングという分野があります。
私の周りにも恋愛カウンセラーを目指していた方が何名かいました。
ただ、恋愛と一言で言っても、その悩みの背景は人それぞれです。
また、年齢によりその悩みの背景も変わってくるでしょう。
たとえば、70代女性の恋愛相談と聞いたらどんなイメージを持つでしょうか?
今日のブログは、そんな事例を、読売新聞の「人生案内」からご紹介していこうと思います。
この事例は、恋愛関連だけでなく、高齢者の抱えるテーマを知るヒントにもなると思います。
早速次の画像のご相談内容をご覧ください。
画像の下にテキストもご用意しています。
70代女性。
入院中に理学療法士の青年に恋をしました。
30年以上仕えた夫は7年前に亡くなりました。
家庭内暴力やモラルハラスメント(精神的暴力)など、すべて当てはまる夫との生活で無理をしたせいか、夫の死後、大病を患いました。
入院中にリハビリを担当してくれたのは20代半ばの理学療法士でした。
最初は何も思いませんでしたが、毎日一人の女性として私に接してくれ、「ボクが守る」「いなくなると寂しい」「ずっとそばにいたい」とまで言ってくれました。
退院しましたが、彼からは一度も連絡がありません。
あの言葉や優しい態度は仕事上でのことだったのかと悲しい思いです。
寝ても覚めても彼のことばかり考えてしまい、つらくて何も手につかない日々が続いています。
70歳を過ぎた婆さんに愛情何てわくわけがない、と自分自身に言い聞かせていますが悲しいです。
これからどうすればいいのでしょうか。
(大阪・E子)
カウンセラーを目指す方は、この相談者様に対して、自分ならどんなカウンセリングを提供出来るかをシミュレーションをしてみてください。
相談者のE子さんは70代の女性です。
ただ、カウンセリングでは、年齢には関係なく、「失恋を受け入れるための援助」を行うことが出来ます。
恋愛上手は、失恋上手でもあります。
大いに愛し、そして大いに傷つく、それを繰り返すうちに、その痛みへの対処方法も上手になっていきます。
相談者のE子さんは、若いころに恋愛経験がほとんどないまま結婚された可能性があります。
そのため、失恋した時の自分なりの対処方法を学習できていないのかもしれません。
また同じ理由で、自分の恋愛感情への対処方法もよくわからないのかもしれません。
70歳代という年齢に目を奪われるのではなく、恋する女性の悩みとして、恋愛カウンセリングを行っていくシミュレーションが一つ出来ると思います。
もう少し深読みしていきたいと思います。
大阪E子さんは、「生きられなかった人生を生きようとしているのではないか?」という可能性です。
それは、この個所から読み取ることができます。
30年以上仕えた夫は7年前に亡くなりました。
家庭内暴力やモラルハラスメント(精神的暴力)など、すべて当てはまる夫との生活で無理をした
E子さんの結婚は、好ましい人、好きな人と結婚し、お互いをいたわりあいながら、家庭を育むというものではなかったようです。
「夫に仕える」という役割を果たす結婚生活だったようです。
さらに、ただ仕えるだけでなく、そこに家庭内暴力とモラルハラスメントがあり、それらに耐えた結婚生活だったのです。
「思いやり深い夫と、心通わせながら家庭を育む」
「そんな人生があったかもしれない」
そんなふうに心のどこかで思っていたE子さんは、入院先で20代の理学療法士の男性と出会います。
そして優しい20代の理学療法士に恋愛感情をいただきます。
しかし退院後、その男性からの連絡はなく、失恋を受け入れるしかなくなります。
その時、「自分が生きられなかった人生は、もう手に入ることはない。」と考えて、とても落ち込んだのかもしれません。
もしそうなら、カウンセリングでは、結婚生活での心の傷を癒しながら、「生きられなかった人生」について見つめていく必要があります。
他にも可能性があります。
E子さんは、結婚前に好きな男性がいたのかもしれないという可能性です。
その男性を諦めきれず、無意識のうちに、かつて好きだった男性を、20代の理学療法士に投影している可能性もあります。
そうすると、亡くなった夫の暴力やモラハラは、心の中で好きな男性を思い続けるE子さんへの怒りの爆発だった可能性も出てきます。
もちろん、これはあくまで可能性の話です。
ただ、カウンセラーは、クライアントのお話を聴きながら、いろいろな可能性を探りならカウンセリングを進めていきます。
その流れを掴むヒントとして、ご紹介したような相談文から得られる情報や、書かれていない背景を想像し、シミュレーションしてみることは効果的な訓練になります。
この取り組みは、将来のカウンセリングで必ず役に立つと思います。
このご相談には回答があります。
スポーツ解説者の増田明美さんが回答を担当されています。
あなたのドキドキが伝わってきます。
リハビリ中、ステキな青年に出会いましたね。
ご主人との思い出がつらいと感じることが多かったから、余計に青年の優しさが身に染みたのかもしれません。
以前、永六輔さんが足を骨折されて入院した時、女性の理学療法士の方に「叱咤、叱咤、たまに激励された」と笑顔で話されていました。
理学療法士の患者さんへの伴走の仕方も人ぞれぞれのようです。
「ボクが守る」と言った青年は、あなたに寄り添い、一生懸命だったのだと思います。
「ずっとそばにいたい」は、その気持ちが過剰になり過ぎているように思いますが、それだけあなたが魅力的なのですよ。
でも青年のことは引きずらずに「お陰でリハビリに楽しく励むことができた」と思えたら、ステキですね。
アルバムを開くように人生を振り返ると、思わずにっこりしてしまうページがあると思います。
寂しい時などにそこを開くと、心に彩りが生まれて元気になれるような。
これからも恋する心を大切に、そんなページをどんどん増やしていってくださいね。
以上が増田さんの回答です。
やさしいくて明るい女友達が励ましてくれるような語り掛けの回答ですね。
私が増田さんの回答が特に素敵だと思った点が、E子さんの「恋する心」を否定せず、むしろ肯定的に捉えている点です。
そのうえで、これからも「恋する心」を大切にするように、E子さんに促しています。
私は、この回答を読んで、つらいことの多かった結婚生活を頑張りぬいたE子さんが、失恋の悲しさから抜け出して、この先の人生を活き活きと生きてくださったらいいなと思いました。
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