心理カウンセラーの藤木ミホです。
カウンセリングの仕事をしていると、ある日、カウンセリングが進まなくなる経験をすることがあります。
これまでの同じようなケースでは行き詰ることがなかったのに、なぜ今回のカウンセリングは進まなくなったのだろう?
そんな状況を経験するのです。
このような状況の時には、どんな点を見直すといいのでしょうか?
今日のブログは、そんなときにカウンセラーが見直すとよい点を一つお伝えしたいと思います。
イネイブラーという言葉があります。
日本語で、「支え手」と訳されています。
たとえば、アルコール依存症のクライアントが、治療やカウンセリングを受けても、なかなか症状が改善しない時があります。
そのようなケースの裏に、イネイブラーが存在することがあります。
仮に、アルコール依存症のクライアントが、仕事を辞めて、お金がないはずという状況だとします。
それなのに、クライアントはお酒を買っています。
「なぜお酒を買えるのか?」
そのお金を渡しているのがイネイブラーです。
クライアントがアルコール依存症で居続けることを支えているのが、イネイブラーなのです。
しかし、イネイブラーは、アルコール依存患者に対して、症状を悪化させてやろうという悪意があるわけではありません。
その逆で、「可哀想だから少しは飲ませてあげたい」という思いからお金を渡しているのです。
また、「お酒欲しさにどこかで万引きしたりすると心配だから」などの理由でお金を渡していることもあります。
つまり、本人のために、あるいはアルコール依存症から派生する他の問題を避けるために、イネイブラーは良かれと思いクライアントを支えています。
しかしそのために、アルコール依存症の治療やカウンセリングが進まないということが起きるのです。
これは依存症の支援の世界でよくあることです。
実は、アルコール依存症だけでなく、いろいろな問題において、良かれと思ってクライアントを支えるイネイブラーが存在することがあります。
ですので、カウンセリングが進まなくなった時は、「クライアントの周りに、イネイブラーがいるのかもしれない。」と考えることも必要になってくるのです。
次に、実際に私がカウンセラーとして出会った、「イネイブリング(イネイブラーがとる支える行動)」をご紹介します。
私が出会ったのは、カウンセリングの直後にイネイブラーがクライアントに近づいてきて、「どんなカウンセリングだったかを聞いてあげる」という行為です。
カウンセリングをよく知らない人は、カウンセリングとは癒されて気分が良くなるものという認識のことがあります。
しかし、実際のカウンセリングは、「カウンセリングを受けることで、気分が悪くなるくらい内側のエネルギーが渦巻く」ということもあるのです。
これは、カウンセリングの失敗ではなく、カウンセリングが上手くいっているからこその反応です。
大きな気づきが起こる前など、クライアントが人生を変えていくタイミングで、気分が悪くなるくらい内側のエネルギーが渦巻くことはよくあるのです。
つまり、内面に急激に大きな変化のエネルギーが渦巻いて、それによってクライアントが不快感を感じるというわけです。
ところが、このような状態のクライアントを見かねて、イネイブラーは近づきます。
そして、心配な気持ちや親切心から、「どんなカウンセリングだったかを聞いてあげる」と声をかけるのです。
もちろん、良かれと思ってのことです。
しかし、それによってクライアントは、内側で起きている渦巻くエネルギーを自分の変化、変容のために使えなくなります。
せっかくのエネルギーが、イネイブラーとのおしゃべりに浪費されるからです。
では、クライアントに近づくイネイブラーに対して、カウンセラーはどうしたらいいのでしょうか?
私は次のように対策しています。
・クライアントに、カウンセリングおける不快感が生じる背景とその重要性を説明する
・クライアントに、イネイブラーについて説明する
・イネイブラーからの「話を聞いてあげる」という申し出に対して、クライアントには「ノーサンキュー」を伝えてもらう
適切なカウンセリングを行っているにも関わらず、クライアントの内面の変化が起こらない時、クライアントの周りにイネイブラーが存在するかもしれません。
カウンセラーを目指す方には、もしカウンセリングが進まなくなって困った時は、今日のブログの内容を思い出していただければいただければと思います。
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