LGBTQXと娘 | コライダスコープ 

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人の世は
七色に輝く儚い雅
それはまるで万華鏡のように。。。

大野智と嵐、鈴木亮平くんを見守っています。

娘がバイセクシュアルであることを私に告げたのは

今から5年ほど前の高校生の時でした。

何の予告も無く、ある昼下がりダイニングテーブルに座っている時

とてもカジュアルな環境で言われましたっけ。

 

 

その時の娘の表情を今思い出すと、

とても真剣で眉間に皺を寄せていましたから

かなり考えた上での覚悟ある告白だったのだろうと想像できます。

 

 

その時は

ぇ。。。という感じの静かで小さなショックを受けながらも

この子はその意味を深く知っているのかな

今の時点で本当に確信できているはずがない

と、口にはせずともそんな疑いが湧いてきた事を憶えていて

私の取り合えずの あ、そうなの? という軽い受け答えに少しリラックスしたのか、

好きな女の子が居て仲良くしている事も加えて聞かせてくれ、

その子はちゃんと優しくしてくれてる?と尋ねただけでした。

 

 

思い返すと、娘にはどちらかというと男友達が多かったのですが、

14歳の頃から頻繁に男の子に交際を申し込まれるようになっても

何年かの間一度も受け入れた事が無く

その所為で仲良くしていた男友達が皆去っていくと悲しんでいた事がありました。

 

 

娘は暫く男の子と問題にはなりそうもない事に安易な安堵感を持ちながらも

比較的感情的な子だし、多感な時期なのに

何故仲良しからの申し出も断るのかな?とずっと不思議に思っていたのですが

本人からのカミングアウトがあった後の今では

きっと自分のセクシュアリティーについてずっと悩んでいたからなんだろうと頷けます。

 

 

バイセクシュアルという、

男女両方に恋愛感情や性的欲望を感じる人を指すカテゴリーへの世間の目には

ゲイやレズビアン、トランスジェンダー、Q、Xジェンダーへのそれよりもさらに厳しいものがあり

何よりも怖いのは、それらの同じコミュニティーに属する人達にも

バイに対する理解を持たない人が多くいて、

彼らにでさえバッシングを受けやすいらしい事です。

 

 

だからなお更そんな生き方をよく知りもせずにわざわざ選んでいるのだとしたら辛すぎる

と思う一方で

いや、世間に認められにくい事だからこそ、わざわざそんな事を選んだりはしないだろう

選べない事だから自分に正直にいるのだろう

というお決まりのような自問自答を繰り返して自分を納得させていました。

 

 

カミングアウトした後、娘の事を知る友達だった子が初めてのボーイフレンドとなり

徐々に折り合いは悪化してしまったけれど

その相手に誠実に暫く交際を続けていて

その間も私の中ではやはり様々な葛藤が繰り広げられていました。。。

 

娘が自分はバイであると広く公表している事に対する周りからの風当たりへの不安

 

自分の意見や信念を躊躇いなく発表できる娘の勇気への誇りと懸念

 

この子が本当にバイなのであれば情報をもっと集め知識を深めねばという焦り

 

何も知らない日本の家族、特に狭い世間に住む老いた母には受け入れる器が無いだろうという空虚感

 

この事を友人や知人に話さないでいる動機の正当化とそれが投影する醜い弱さへの罵倒

 

一般的ではない自分を受け入れ正直に、そして強く生きようとする娘への賞賛

 

バイであることは勘違いだったといつか言ってくるのではないか、できるなら娘には

シンプルな人生を送って欲しいというの仄かな願望を持つ自分への叱咤

 

そんな実に様々な事がぐるぐる頭の中で巡り続けていました。

 

 

実は性的欲望は男性にしか感じない私にも

自分がレズビアンだったら良かったな、男だったら良かったなと、妄想した事は何度かあります。

そんな事を思うのは私だけでしょうかね?? 

他にも少なからず居るような気がします(笑)

 

 

だから娘も私の妄想に似た気持ちを抱いているのかも知れないという憶測をした事もありました。

実際動物のセクシュアリティーにははっきりとした境界線で区切られない部分もあると思いますし。

 

 

でも私自身の場合それは、女性との会話、感情交換、女性からのサポート発言や行動が

男性とのそれよりも心地よいと感じる事が多々あったからであって

女性の体を持つ、女性らしい人に惚れる事ができるかといったらそれは私には無理なんですよね。

 

 

アメリカの女性コメディアンに、Tig Notaroというレズビアンが居て、私は大好きなんですが

彼女は知らない人には男性に間違えられるほど男性的な外観を持っていて

その上不幸な事に乳癌を患い両方の乳房を切除し、その後の乳房の整形手術は受けていないので

本当に声を聞かないと女性だとはわからない。

しぐさも感覚も男性的なその人に対しては、その魅力にほんのり惚れてしまうかもと思った事はありました。

私の脳内ではTigは女性側に存在している男性です。(笑)

 

そんな事も踏まえながら、ある時確信に近い気付きを持つ事ができました。

やはり娘は私には想像でしか理解できない性質を持っていて、

女性にも性的欲望を持っているんだなと。

 

 

一番分かりやすいかも?な軽い例を一つあげるとしたらこんな事かも。

 

例えば、親子揃ってK-Popが大好きな私達ですが

才能があるなと思える女性スターを認める事はあってものめり込む事は無い私に対して

娘はガールズグループにもボーイズグループにも同じ感情を持っている事。

両方に同じテンションで、同じ熱意をもって惚れていることが分かるんです。

自分には無い感情だという事がわかります。

 

 

そんなこんなで、

今はとにかくそのままの娘の姿を受け入れているよ、愛しているよ、サポートするよ、

そんな気持ちを直球でもカーブでも伝えていく事に集中しています。

 

 

娘との関係は、親子ですから摩擦が全く無い訳ではありませんが、

話し合う機会も話題も沢山あって笑う機会も多く、今良好です。

そしてこれからも成長していく彼女の事をもっと深く知っていきたい。

 

 

今回、以前から書けたらいいと思っていたこの記事をやっと書く事になったきっかけが

そんな娘の婚約でした。

LGBTQXコミュニティーに属する娘の事情を知っている普通の男性とです。

 

 

以前交際していた男子とは、山あり谷ありの激しい関係にあり

よく泣いて帰ってくる娘にとても辛いものを感じていましたが、見守る姿勢を保っていました。

 

 

もうできるだけの事はした、もうどうにもならない、諦めるしかないといって自分で別れてきた時

私はこれで一つ成長したね、とホッとしたものでした。

 

 

今回婚約をしたお相手との関係は、その以前の彼とのものとは打って違い、

彼と一緒にいて帰ってきた時の娘はいつもリラックスしニコニコと幸せそうで

私もほっこりとした気持ちになれていたので、とりあえず良かった。。。

婚約する少し前から私の事をMamaとテキストしてきていた可愛い子でもあります。

 

 

結婚式は二年先という遠い日だそうですが、

それもまたまだ若く不安定な二人の現実的な計画として良いと思っています。

 

 

これを書いていて新たに気づいたのは

私は実際娘が男性と結婚するにあたって

自分のバイである部分をどう処理する積りでいるのか知らないという事。

これまでの娘の行動を見てきて、

相手に対して誠実であるという事は外せないはずなので

これから話す機会を設けて、

彼女と彼女のフィアンセの心構えを知っていきたいと思っています。

 

 

これを書けてよかった。

隠すつもりは無くても、どんな理由があろうと言わないでおくこと事は

娘の存在と尊厳を汚すものだとずっと思っていたので。

 

 

私に、学ぶ機会と凝り固まった概念を打ち砕く試練をくれる子供達に

感謝しています。

 

 

最後まで読んでくださった方々、

ありがとうございました!

 

 

 

コライダ