だから格差はまずいのか | 心の風景

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心のあり方や生き方をテーマとしたエッセイなどを載せていきます。同好の方と交流できればうれしいです。

 格差が広がるといけない、という主張はよく聞きます。「まあ、そうなんだろうな」と私はボンヤリと思っていました。

 

 ただ、昔のように少数が理不尽な手段で多数を搾取して豊かになるというなら、もちろんいけません。ですが、正当な手段で豊かになるなら、どんなに格差が開いても、別にいいのではないか、といった疑問がありました。

 

 今『バカと無知』という本を読んでいるのですが、その中に私の疑問に対する一つの回答が載っていました。私なりの言葉で説明するとこんな感じです。

 

 人は何百万年もの集団生活の結果、集団内での地位を上げたり、守ったりするための本能が身についたのだそうです。大昔は集団から追い出されるのは死を意味しましたから、地位を守ろうと必死でした。

 

 今でも、一部の人が豊かになり、自分が貧しく社会の底辺にいると感じると、本能的に自分の地位を上げようとして攻撃的になるのだそうです。そういう人が多ければ多いほど、社会が不安定化するわけです。

 

 これは私見ですが、豊かな人があくまで紳士的であっても、貧しい人の攻撃性は生じます。しかし、豊かな人も集団内での地位を保つ必要がありますので、本能的に貧しい人に対して威圧的に出ることがあるわけです。その結果、両者の対立はますます激しくなります。それが暴力や犯罪まで引き起こすのではないかと思うのです。

 

 この本の主張が正しいとは限りません。ですが、格差がよくないことの一つの説明にはなっていると思います。

 

 『バカと無知』については後日書評を書きます。