二階自民党幹事長「産まないは勝手な考え、食べるに困らない」→産めない高プロ、600万人が食料ない | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 共同通信の配信記事です。

 

 自民党の二階俊博幹事長は26日、東京都内で講演し、少子化問題を巡り「この頃、子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べた。子どもを持たない家庭を批判したようにも受け取れ、波紋を広げそうだ。

 同党の加藤寛治衆院議員が5月、新婚夫婦に3人以上の出産を呼び掛けていると発言し、批判を浴びたばかり。二階氏は講演で「皆が幸せになるため、子どもをたくさん産み、国も発展していこう」とも語った。

 貧困問題に関しては「今は食べるのに困る家はない。こんなに素晴らしい幸せな国はない」と言及した。
共同通信2018/6/26 23:19「二階氏「産まない」は勝手な考え 都内で講演、少子化問題巡り発言」


 そして、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」のサイトで文字起こしが紹介されています。

 

 出席者の質問:自民党と政府が一体になって、早く結婚して早く子どもを産むように促進してもらいたい。

 二階幹事長:大変、素晴らしいご提案だと思います。そのことに尽きると思うんですよね。しかし、戦前の、みんな食うや食わずで、戦中、戦後ね、そういう時代に、「子どもを産んだら大変だから、子どもを産まないようにしよう」といった人はないんだよ。この頃はね、「子どもを産まない方が幸せに送れるんじゃないか」と勝手なことを自分で考えてね。国全体が、この国の一員として、この船に乗っているんだからお互いに。だから、みんなが幸せになるためには、これは、やっぱり、子どもをたくさんを産んで、そして、国も栄えていくと、発展していくという方向にみんながしようじゃないかと。その方向付けですね。みんなで頑張ろうじゃないですか。食べるに困る家は実際はないんですよ。一応はいろいろと言いますけどね。「今晩、飯を炊くのにお米が用意できない」という家は日本中にはないんですよ。だから、こんな素晴らしいというか、幸せな国はないんだから。自信持ってねという風にしたいもんですね。

【音声配信・文字起こし】自民党・二階幹事長の「子どもを産まないは勝手な考え」発言を検証▼2018年6月26日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)



 高度プロフェッショナル制度を含む「働き方一括法案」について、安倍政権は明日(6/28)強行採決するかまえですが、昨日(6/26)AEQUITAS(エキタス)が取り組んだ「#0626高プロ反対国会前抗議行動」でスピーチした上西充子法政大学教授は要旨次のように指摘しました。

 「この間の野党の追及で、高プロを労働者は求めておらず、高プロには立法事実がないことが明確になりました。安倍首相は経団連の会長から要請を受けたとして高プロは経済界からの求めであることを明言しました。そして、参院厚生労働委員会で社民党の福島瑞穂議員が重要な質問をしています。女性が高プロを選んで働いているときに子どもを産みたいと思ったとき果たして産めるでしょうか?という質問をしました。高プロというのは、自分の世話も誰かに頼んで、自分の時間も仕事に目一杯つぎ込む働き方です。この働き方を男性がしていると、その男性の妻となった女性の方はそれを支えなければいけない。女性の方は同じようには働けない。逆に女性が高プロで働いていると結婚して出産することは無理です。安倍政権は少子高齢化の中でいったい何をやっているのでしょうか。この福島議員の質問に対して、いや希望した人の働き方ですから、交渉力のある人の働き方ですから、最終的には本人の選択ですからみたいなことを加藤厚労大臣は言いました。あまりにも無責任です」
(「#0626高プロ反対国会前抗議行動」での上西充子法政大学教授のスピーチの一部要旨。※文責=井上伸)


 あらためて指摘しておきますが、高プロは「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない」という、労働基準法の労働時間等に関する規定を適用除外するだけです。「働いた時間ではなく、成果で評価する仕組み」は高プロには一切ありません。そうすると、以前指摘したように「高度プロフェッショナル制度がもたらす地獄絵図=48日間連続の休憩なし24時間労働が合法」になるので以下のようになってしまいます。

 

 



 安倍首相は昨年(2017年)9月の記者会見で「この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。」「この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります。」と語りました。少子高齢化という国難を突破するどころか、安倍首相は高プロ強行採決でさらに少子高齢化を加速させようとしているのです。そして、二階自民党幹事長は「子どもを産んだら大変だから、子どもを産まないようにしよう」「子どもを産まない方が幸せに送れるんじゃないか」は「勝手な考え」と批判していますが、「子どもを産んだら大変」「子どもを産まない方が幸せ」どころか、自分自身をケアする時間さえ奪ってしまう高プロは子どもを産むことすらできないのです。もっと言うと日本は以下のように長時間労働によって生活時間を奪われているため、睡眠時間も家事労働時間も短く今でも子育てが困難なのです。高プロは今でも子どもを産み育てることが困難な日本の状況をさらに悪化させるものです。

 

 

 



 それから、二階自民党幹事長は、「食べるに困る家は実際はない」「今晩、飯を炊くのにお米が用意できないという家は日本中にはない」「こんな素晴らしいというか、幸せな国はない」と言っています。下のグラフを見てください。OECDの直近データから私が作成したものです。

 



 上のグラフにあるように、ひとり親世帯の子どもの貧困が日本は世界最悪です。そうしたことから、自販機の裏で暖を取り眠る子ども、車上生活のすえ座席でミイラ化し消えた子どもの声が届かない日本社会ですし、駅前トイレで寝泊まりするトリプルワークの女子高生、100円ショップの薬用オブラートで空腹まぎらわす子ども、深刻な6人に1人の子どもの貧困を深刻化させ経済成長も損なう安倍政権という実態が広がっているのです。

 さらに、舞田敏彦さんが「この1年間,十分な食料がない状態で過ごしたことがある」「飢餓経験率は5.0%と算出されます。国民20人に1人です。この比率を人口の概数(1億2千万人)に乗じると,600万人となります。」と指摘しています。「食べるに困る家は実際はない」「今晩、飯を炊くのにお米が用意できないという家は日本中にはない」どころか、日本において国民20人に1人、600万人が「十分な食料がない状態で過ごしたことがある」のです。

 高プロで少子化を一層加速させ、貧困問題の存在すら認識しない安倍自民党政権。いまの日本社会の最大の「国難」は、こんな安倍自民党政権が継続していることにあると私は思います。

(井上伸)