#高度プロフェッショナル制度 の近未来は霞が関不夜城=過労死・うつ病と隣り合わせの国家公務員 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 5月9日の水曜日に、私たちは「霞が関不夜城ウオッチング」と電話相談にとりくみました。水曜日は全省庁一斉の定時退庁日なのですが、23時30分でも国土交通省(下の写真)はまさに「霞が関不夜城」の状態で煌々と部屋の灯りがついていました。(※5月9日の「霞が関不夜城ウオッチング」では19時半、21時半、23時半に各省庁を写真撮影しました。他の省庁も同様で23時半以降も煌々と部屋の灯りがついていました)

 



 電話相談には、「人が減らされているのに仕事量は増えるばかりなので、毎日電車で帰れずタクシーを使っている。みんなで残業してみんなで倒れようという職場の雰囲気が尋常ではない」「過労死ラインを超える月90時間超の残業をしているが、20時間分しか残業代が支払われていない」「国会対応の応援の仕事があるのだが、先日、午後11時頃に応援が要請され、そのまま午前4時まで仕事をした。本来業務に支障が出ている」などの相談が寄せられました。

 これらのとりくみを一緒に行った全経済産業省労働組合副委員長の飯塚盛康さんは、「もともと霞が関の長時間労働はひどかったのですが、モリカケ問題や『働き方改革』の裁量労働制データ問題や高度プロフェッショナル制度に関わる様々な問題が起こってからさらに拍車がかかっています。ある省庁のいちばん酷い部署では月300時間の残業があり、ほとんど家に帰れなくて段ボールの上で寝ているような状態です。私たちがとりくんだ残業実態調査で判明していることですが、霞が関では3割(約1万人)の国家公務員が過労死の危険を感じて日々働いています。そもそも国家公務員には長時間労働規制がなく、残業代もきちんと払われていません。24時間働かせ放題で残業代も出ないのが国家公務員の実態で、“高度プロフェッショナル制度の見本は霞が関にある”と言っても過言ではありません。高度プロフェッショナル制度で残業代がゼロになれば労働者の残業はなくなるとか、長時間労働がなくなるとか、吹聴する人がいますが、高度プロフェッショナル制度の近未来ともいえる霞が関の惨状を見ればそれらが全くの大ウソであることがわかります。高度プロフェッショナル制度が導入されれば、過労死とうつ病が多発することになるのです」と話してくれました。加えて、ここ数カ月間に寄せられた霞が関で働く仲間のリアルな声や職場実態を飯塚さんが教えてくれたので以下紹介しておきます。

 ◆国会対応に加えて、森友公文書改ざんの影響があり、場当たり的な文書管理に関する会議や実務がやたらと増えてさらに残業が増えている。もちろん文書管理はきちんと行われるべきだが、現場にだけしわ寄せするようなやり方はやめてもらいたい。(40代男性)

 ◆昔から上の意向ばかりで仕事するヒラメのようなキャリア官僚はいたが、首相官邸が内閣人事局を使って幹部職員の人事を握ってからというもの、首相官邸の意向で無理難題を現場に強制してくることが多くなっている。首相官邸の意向によって長時間残業が増えているようなものだ。(50代男性)

 ◆人事担当者から「最近、若手が転職してしまうが、どうすればいい?」と聞かれたが、首相官邸の意向で仕事しても個人の責任だけにされて佐川前国税庁長官のようにキャリア官僚のトップでさえ切り捨てられるようなところで、まともな神経の人間が展望を持って働き続けられると思う方がどうかしてると思った。(30代女性)

 ◆土日もなく連日深夜まで働かされて頭がボーッとしていて、世の中の動きも知らないで国による良い施策ができるのかといつも考えている。(30代男性)

 ◆入省して2カ月、連日最終電車です。朝も8時半出勤で睡眠時間は4時間くらい。今週の月曜日は欠勤した。残業代もほとんど出ないし、もう辞めることを考えている。後輩に国家公務員になるのはやめろと言っている。(20代男性)

 ◆連日、終電で帰れずタクシーで帰っている。人気のない都心の風景を見ていたら涙があふれて止まらなくなった。心が病んできている気がする。田舎に戻りたい…。(30代女性)

 ◆プレミアムフライデーだから同期会しようと提案したら数人が参加するよと言ってくれた。でも当日は自分も含めて誰も行けなかった。全員、徹夜で働いてた。そのうち何人かは、そのまま土曜も働いてた。俺達すでに高プロだぜと笑いあった。もう限界が近い。(30代男性)

 ◆地方から霞が関に出向が決まったので妻を連れて赴任した。出向初日から帰宅できず、そんな状態が半年過ぎたら妻がうつ病になった。見知らぬ土地で知人もなく、夫の自分もいない日々が妻の心を蝕んだ。(30代男性)

 ◆毎日、上司から詰められ、深夜まで仕事が続いた。女性だからと甘やかさない霞が関の職場だが、さすがに男性でも辛いだろうなあと思っているうちに自分のメンタルが壊れてしまった。それから霞が関のビル群が見えると足が震えて歩くことができなくなった。(30代女性)

 ◆午前2時、3時にメールを発信していたら、相手の会社の人が「こんな時間まで働いているのですか?」と驚いていた。こんなの普通だよと思っていたら「メールの内容がよくわからない」と言われた。完全に心が病んでいたのだ。今は休職している。(40代男性)

 ◆年末に実家に帰ったら、両親から「あなたは誰?」と聞かれました。体重は10キロ減り、髪の毛はボサボサ。自分でも変わったとは思ってたけど、さすがに両親に言われたのはショックだった。このまま、結婚もしないでこんな生活が続くのかと思うと心が折れそう。(20代女性)

 ◆毎月、自殺・自殺未遂の報告が流れてくる。仕事が増えているのに職員を削減することをやめてもらいたい。(40代男性)

 ◆毎月100時間から120時間の残業をしている。残業代は20時間分ほどしかついていない。プレミアムフライデーは「地獄のくじ引き」と呼ばれ、当たると休日出勤しなければならない。「働き方改革」と言うなら政府はこの地獄を改善すべきだ。(30代女性)

 ◆人員削減と業務増で連日、残業の上、きちんと残業代は出ず、挙句の果てに残業したことで人事評価が悪くなる…という理不尽なことばかりが横行しています。企業での残業代ゼロ・長時間労働は、公務員にも直結するので、私は高プロに反対です。明日(6月15日)19時からとりくまれる「仕事帰りの新橋デモ」に参加したいと思っています。(50代男性)

 以上が飯塚さんが紹介してくれた霞が関で働く国家公務員の直近の声です。こうした大変な中ですが、霞が関の国家公務員も明日(6月15日)19時からとりくまれる高度プロフェッショナル制度に反対する「仕事帰りの新橋デモ」に参加します。みなさんもぜひ参加ください。



(井上伸)