都知事選の争点-宇都宮けんじさんの「脱原発」と松沢成文さんの「脱原発依存=野田政権の原発推進」 | すくらむ

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 11月11日に取り組まれた「11・11反原発 100万人大占拠」。あいにくの雨の中でしたが、10万人の参加者が官邸前や国会正門前など9カ所で「原発いらない」とアピールしました。


 この間の官邸前デモにおいても弁護士でつくる「見守り隊」の一人として参加してきた宇都宮けんじさん が、国会正門前で要旨次の訴えをおこないました。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)


 みなさんご苦労様です。2日前に東京都知事選に出馬を決めました宇都宮けんじといいます。よろしくお願いします。


 今日の集会は、本来は午後1時から日比谷公園で集まり、デモをやる予定でした。それを許可しなかったということは大変問題です。もし私が都知事になりましたら、ただちに不許可を撤回して許可します。集会の自由やデモンストレーションの自由、表現の自由は、憲法上の基本的な人権で、民主主義社会にあって、なくてはならないものです。


 私が都知事に立候補した大きな理由は、まず東京から脱原発をめざすという思いです。東京都は福島原発で発電した電力の最大の消費地です。また、東京電力の大株主が東京都です。これらから東京都民や東京都は、福島原発の被害者のみなさんを全力をあげて支援する、救済する、そういう大きな責任があると考えています。都知事になりましたら、その点は全力をあげて、被災者支援をがんばっていきたいと思っています。


 そして、もう2度と原発事故を起こしてはなりません。こうした原発事故が起きると日本社会が崩壊してしまいます。まず、首都の東京から脱原発をめざす。東京が変われば日本が変わります。日本が変われば世界が変わります。


 原発のない社会は、私は人にやさしい社会だと思っています。人にやさしい東京をまずつくる。そして人にやさしい日本をつくる。そして人にやさしい世界をつくるために、みなさんといっしょにがんばっていきたいと思っています。


 いっしょに原発のない東京、人にやさしい都政をつくるためにがんばりましょう。


 ――以上が宇都宮さんの11月11日の訴えの要旨ですが、同じ日のTBSニュースで「原発政策も争点に 都知事選候補者走る」という報道がありました。下の画像はそれをキャプチャしたものです。


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 このTBSニュースでは、「11・11反原発 100万人大占拠」に参加している宇都宮さんに取材して、「まず首都東京において、脱原発政策を発信する都政をつくっていきたい」、「できるだけ早く原発をゼロにしたい」と宇都宮さんが主張していることを伝え、同じく都知事選に立候補している松沢成文さんは「脱原発依存です、私は。すぐに脱原発にいくには難しいですから」、「20~30年のうちに太陽光など、原発に代わる自然エネルギーを利用した発電技術の開発を徹底的にやるべきだ」と主張していることを伝えていました。


 また、『東京新聞』の11月9日付では、立候補を表明した松沢成文氏の「エネルギー政策は『急激な原発ゼロは経済へのダメージが大きい』とし、再生可能エネルギーの比率を高め、中長期的に原発依存を減らすとした」と報道されています。


 宇都宮さんの「原発ゼロ」と松沢さんの「脱原発依存」は、どう違うのでしょうか?


 昨日、紹介した立候補表明の記者会見 で、上記で紹介した訴えとあわせて、宇都宮さんは、「原発のない社会へ――東京から脱原発を進めます」という柱の政策を話すなかで、①高レベル放射性廃棄物の処分の見通しが立っていない原発は次の世代に大変なツケを残すものであること、②常に原発は被ばくを伴う下請け労働者の非人間的労働に支えられていること、③一度事故が発生したら福島原発事故のように取り返しのつかない甚大な被害を発生させ、日本社会そのものが崩壊してしまいかねないこと、などをあげて「原発ゼロ」が必要であることを訴えています。


 この宇都宮さんの「原発ゼロ」の主張と比べると、松沢さんの「20~30年後の脱原発依存」「中長期的に原発依存を減らす」という主張は、結局最近、野田首相が多用している「政府の基本的な方針は脱原発依存だ」というのと何ら違わないものであることが分かります。言葉的にも政府が9月にまとめた「エネルギー・環境戦略」の「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と同じです。


 野田首相は、国民世論におされて「脱原発依存」などと口では言いながら、実際にやっていることは、建設中の青森の大間原発などの工事再開を認め、再稼働させた関西電力大飯原発3、4号機についてもいまだに運転を継続させ、さらに、東日本大震災からの復興予算をベトナムへの原発輸出に向けた「調査等委託費」を5億円計上していることも明らかになっています。


 ようするに、「脱原発依存」というのは、「原発推進」と何ら変わらないのです。


 そもそも、原発再稼働反対、脱原発を求める官邸前デモに、弁護士でつくる「見守り隊」の一人として参加し自ら脱原発をめざして行動してきた宇都宮けんじさんと、国民世論におされて渋々マヌーバー的に「脱原発依存」を口にしているだけの松沢成文さんとは、昨日の石原慎太郎前都知事と同様、 対極にあるのです。