国家公務員の賃下げは財源確保どころか財源を減少させる | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

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 上の表にあるように、国家公務員の賃金は、地方公務員や、公務員に準拠する民間労働者625.8万人に直接影響します。この625.8万人は日本のすべての労働者4,898万人の1割を超えて12.7%になります。(※全労働者4,898万人は総務省「労働力調査」で企業の役員を除いた人数です)


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 上の表は、労働運動総合研究所(労働総研)が、「国家公務員賃金7.8%削減の経済に対する影響」を試算したものです。野田政権が狙う7.8%の賃下げで、家計収入は2兆7千億円も減少し、家計消費は2兆円減少。国内生産とGDPも大幅に減少し、税収が4,213億円も減少してしまいます。(※「試算」の全体はこちら


 民間企業の中には自社の賃金決定に国家公務員の賃金水準を活用する例も見られるため、上記で指摘した直接影響する労働者の賃下げだけでなく、民間全体の賃下げに連動していきます。そうすると、民間の賃金水準を毎年調査し、役職や年齢、学歴など同種同等の比較をして出される人事院勧告に基づいて決められる国家公務員の賃金もさらに下がることになります。「国家公務員の賃下げ」→「民間労働者の賃下げ」→「国家公務員の賃下げ」という公務員と民間労働者の賃下げが互いに連動する「賃下げの悪循環」は、労働者の生活悪化をもたらすとともに、内需を冷え込ませ、景気をますます悪化させてしまいます。


 いま、政府やマスコミはこぞって国家公務員の賃下げが財源の確保になるかのようなウソを毎日のように喧伝しています。


 野田首相は、今国会の施政方針演説で、「税外収入の確保のための具体策」として「国家公務員給与の約8%を引き下げる法案」を「不退転の覚悟」で成立させたいと表明しました。

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 しかし、上図にあるように、「国家公務員給与の約8%を引き下げる法案」は、「税外収入の確保のための具体策」になるどころか、逆に、4,213億円もの税収減をもたらすのです。


 野田政権は、「財源確保」を声高に叫びながら、「財源を減少」させてしまうという誤った政策を強行しようとしています。こんな倒錯した「国家公務員賃下げ法案」は撤回させるしかありません。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)