私は報道をくまなくチェックしてはいませんが、この頃、福島原発事故の報道が少なくなってきたように感じます。しかし、いまなお安定的な冷却状態には至らず、危険な状況がつづいています。
地元福島では、放射線量が日々メディアを通じて報道され、住民は残るのか避難するのか、先が見えないなかで不安をかかえ日々葛藤していると思います。我が身を置き換えて考えても、計り知れないほどの苦しみを抱えていると想像できます。
最近読んだ本に、「原発のウソ」があります。原発技術の未熟さや、推進してきた政府・電力会社などの安全対策の杜撰さ、何より放射能の恐ろしさがよく解る本でした。ご一読をお勧めします。
福島原発事故で大気に海水にと大量にふりまかれた放射性物質。普通の国民の1年間の被爆限度は1ミリシーベルトだそうですが、あくまで目安です。年間1ミリシーベルトまでなら誰もが安全というわけではありません。1万人に1人ががんで死ぬ確率の数値だそうです。政府やマスコミは「ただちに健康に影響をおよぼす量ではありません」と言います。これはやけどや下痢、吐き気などの「急性障害は起きない」と言っているに過ぎません。
本日(12月9日)の毎日新聞報道によれば、郡山市内の小中学生を対象にした10月の被爆量調査の結果、年間換算で平均1.33ミリシーベルト、最大4.98ミリシーベルトとのことです。どんなに少量の被爆でも、程度の違いはあっても細胞の遺伝子情報が破壊されます。破壊された細胞は元に戻りません。成長や新陳代謝などは細胞分裂により行われます。遺伝子情報が破壊された細胞が増えいくほど健常な状態が保てなくなります。これから細胞分裂を繰り返して成長していく子どもたちほど大きな影響を受けます。20~30代の大人と比較し、赤ん坊の放射線感受性は4倍にもなるそうです。親として本当にいたたまれません。
「原発はクリーンエネルギー」と喧伝されてきましたが、発電中にCO2が発生しないというだけです。燃料棒の原料となるウランの採掘や精錬、運送には莫大な化石燃料が使われます。また、ウランの存在量はエネルギー換算で石油の数分の一だそうです。ウランの方が石油よりも先になくなります。原子力発電は未来のエネルギーではありません。
原子力発電を行えば必ずプルトニウムやセシウム、ストロンチウムなどの「死の灰」が使用済み核燃料などとしてできてしまいます。広島を壊滅させた原爆80万発分もの「死の灰」が、すでに日本にはたまっているそうです。また、原発も機械ですから耐用年数があります。安全に廃炉にする技術は未だ確立されていないとのことです。原子力発電にいいところなどまったくありません。
政府やマスコミは原発をとめると電力不足になるかのように言います。しかしそれは事実に反します。真夏の数日の午後の時間帯に記録する電力消費のピークは、54基ある原発すべての稼働を止めてもまかなえます。東西の周波数変換の課題で電力会社間の融通が行き届かないとしても、この夏にとりくまれた節電の工夫で十分に乗り切れます。そもそも電気よりも将来の命の方が大事です。原発を続けなければならない理由はありません。すべての原発を速やかに止めるべきです。
(byモール)