「派遣村」が必要ない社会に - ワンストップの会が「検証!公設派遣村」シンポひらく | すくらむ

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 ※「連合通信・隔日版」(2010年3月30日付No.8305)からの転載です。(※ものすごく久し振りの転載ということで、連合通信I労働部デスク、お許しくださいませ。m(_ _)m byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)


 「派遣村」が必要ない社会に
   - ワンストップの会が「検証!公設派遣村」シンポジウムひらく


 年末年始に東京都が実施した「公設派遣村」を総括し、今後の課題を明らかにしようと、市民や法律家、労働組合員などでつくる「ワンストップの会」(代表・宇都宮健児弁護士)は3月28日、都内でシンポジウムを開き、120人が参加した。


 同会は「公設派遣村」利用者たちの相談に応じ、派遣村終了後も相談会を開くなど、活動を続けてきた。


 あいさつした宇都宮弁護士は、2008年末から09年にかけて行われた「年越し派遣村」と比べ、今回国や自治体が生活困窮者の支援に取り組んだことは「一歩前進」と評価。


 しかし、行政の窓口がバラバラでワンストップの相談体制になっていないと述べたうえで、「日常的に相談を受け付ける体制にしなければならない」とした。


 4月から日本弁護士連合会(日弁連)会長に就任するにあたっては「貧困問題を最重要課題に位置づけ、対策会議も立ち上げる」と語った。


 シンポ冒頭、公設派遣村を利用し、現在はアパートで生活しながら職業訓練に通っている男性が発言。


 初めは生活保護が嫌で「第2のセーフティーネット」の一つである住宅手当を希望していたが、生活保護に切り替えざるをえなかったと述べた。


 住宅手当の問題点としては、①家賃の支給が6カ月のみのため大家から敬遠される、②アパート契約が決まってからの制度申請となるため、費用の支払いに間に合わない、③保証人を求められることが制度利用の壁になる――ことをあげた。


 雇用の創出を!


 「ワンストップの会」実行委員である井上久・全労連事務局次長は公設派遣村などの経験をふまえ、失業者・生活困窮者の早期の救済や社会保障の立て直しが必要と指摘。同時に「雇用を作り出す運動」が求められているとした。


 ジャーナリストの鎌田慧さんも、仕事をどう作るかが課題であり、雇用情勢が悪化している現在、失業対策事業が必要であると指摘した。


 「派遣労働という蛇口を開けっ放しだと、下の方でいくら支える運動をやっても(処遇が劣悪な)派遣労働者がどんどん現れてくる」と述べ、労働者派遣法を抜本改正するよう訴えた。


 厚生労働省に設置されたナショナルミニマム研究会のメンバーである作家の雨宮処凛さんは、住まいを失った人の実態把握が必要だと指摘した。


 「ワンストップの会」実行委員でもある滝沢香弁護士は「労働者を放り出した企業の責任も問題だ」「企業のあり方を含め、世の中を見直していくことが必要」と訴えた。


 利用者アンケートを実施 ワンストップの会


 「公設派遣村」でボランティアとして利用者をサポートしてきた「ワンストップの会」はこのほど「公設派遣村・利用者アンケート」の中間集計結果をまとめた。


 仕事探しが難航し、体調を崩す人も多いなかで、自立までの道のりはまだ遠い実態が明らかになった。


 有効回答数は76人。50歳以上の回答者が58%を占め、利用者全体よりはやや高い年齢構成。


 中間集計によると、現在の生活費の中心は8割が生活保護。次に住宅手当・総合支援資金が5.3%、失業給付が3.9%と続く。


 仕事が決まった人はわずか3人。それもパート・アルバイトや期間・契約社員で、正社員はゼロだった。


 仕事を探している人は約四割。病気などのために探していない人が14.5%おり、「職業訓練を受けている・応募している」も13.2%いた。


 【参考】みどりさんのブログ「労働組合ってなにするところ?」 で、より詳しいシンポジウムの様子が報告されていますので、ぜひ参照してください。
 ★シンポジウム「検証!公設派遣村」報告 前編
 ★シンポジウム「検証!公設派遣村」報告 後編