一層深刻な事態迎える年金問題 - 厚労省は社保庁職員の違法な解雇やめよ | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ※12月17日に国公労連が取り組んだ厚生労働省前行動での全厚生社会保険業務センター支部の仲間の訴えを紹介します。


 私は、いま社会保険業務センターで働いていますが、同じ職場のAさんは、社会保険庁へ入庁以来30年近く、年金業務一筋でまじめに働いてきました。


 公務員になれば、女性も60歳定年まで働き続けられるからと、周りからも公務員になることを勧められ国家公務員になりました。


 社会保険庁に入ってからは、年金の支払いや裁定など年金業務に長年携わり、年金の法律を熟知しています。


 Aさんは、いわゆる「宙に浮いた年金記録」が判明したことに伴い、年金額が増える年金受給者の方々の年金の「再裁定」の仕事をしています。


 再裁定については、記録問題が起き、しばらくの間は、記録が見つかって書類を受付けてから支払まで1年以上かかると言われていました。


 現在では、職員を増員することで、平均3カ月程度で支払ができるようになったと言われています。


 平均では、3カ月程度と公表されていますが、今でも、時間がかかるケースでは1年以上経過してやっと支払ができるものもあります。


 再裁定は、年金受給権発生時点にさかのぼって年金額を再計算し、必要な年金額の改定について、年金額をすべてチェックする必要があります。


 複数の年金の受給権を持つ人や、配偶者にかかる加給年金の調整、雇用保険との受給調整など、受給権の発生が30年40年前にさかのぼる場合、その当時からの年金法や法律改正の内容、法律の経過措置など、熟知している人でなければできません。


 Aさんは、今日も、この時間も、今までの知識と経験をもとに、こうした複雑な再裁定を専門に処理しています。


 ところが、Aさんは、今まで担ってきた年金の仕事を引き続きしていきたいと、日本年金機構に応募しましたが、不採用とされました。Aさんは、懲戒処分を受けているわけではありません。ボーナスを返納しなければ、日本年金機構の採用には採用されないと言われたときには、ボーナスも返納しました。


 今、再裁定の仕事になくてはならない人が、日本年金機構には必要ないと誰が決めたのでしょうか?


 今、年金の再裁定の仕事からベテランの職員を排除することが、国民のためになるのでしょうか?


 再裁定で、今、一番の問題は、遅れている再裁定を優先的に処理すること。一刻も早く年金をお支払することです。


 そうであれば、そこに必要な人材を確保することが、日本年金機構の使命であり、国民の信頼を回復することにつながるはずです。


 12月になって、長妻大臣から出された分限免職回避策では、一旦、日本年金機構に不採用となった人たちは、日本年金機構の准職員の追加募集に応募することができませんでした。


 今回の追加募集は准職員で、当面、1年間の雇用です。


 懲戒処分暦もなく、現場では、信頼され、必要とされている人が、そこまで排除されなければいけない理由は何でしょうか?


 社会保険庁の職員を排除すれば、日本年金機構は順調な船出ができるのでしょうか?


 1月は1年間のうち一番、年金に裁定が多く、それに伴う年金の支払い業務が増える時期、源泉徴収票の再発行や、2月の定期支払に向けた年金額改定業務など社会保険業務センターにとっても仕事の集中する時期です。


 職場では、日本年金機構へ内定している人たちの間でも、頼りにしていた「あの人も、あの人もいなくなる、どうしよう」と1月以降の体制に不安の声が広がっています。


 長妻大臣、今一度、熟慮してください。


 年金記録問題も解決していないのに、一体、誰のために、何のために、この時期に社会保険庁を廃止して日本年金機構へ業務を引き継がなければならないのですか。


 長妻大臣、決断まで、あと数日あります。


 日本国憲法を遵守する義務を負う、厚生労働大臣として、なぜ二重処罰となる「分限免職」の発令をするのですか。


 労働者の雇用を守る労働行政を担う厚生労働省の大臣として、自らの職員を失業者にするのですか。


 民主党政権に変わったのですから、自公政権の決めた路線を踏襲することなく、過去のご自分の発言に縛られることなく、国民の権利を守る立場で決断してください。


 最後に、仲間のみなさん、私たち全厚生社会保険業務センター支部は、最後まで分限免職阻止のため、最後まで奮闘するとともに、「安心して暮らせる年金制度」の確立のため、みなさんと共同したたかっていくことを申し上げ私からの決意表明とさせていただきます。


 ※以下補足説明です。Aさんは下記「④」の28人の不採用者の内の1人です。


 日本年金機構職員採用に係る審査結果が5月19日に公表されました。同日開催された、第8回日本年金機構設立員会において、確認された社会保険庁提出名簿に記載された11,118人に関する採用内定者数の概要は次の通りでした。


 ①平成21年2月16日に社会保険庁長官から提出された名簿の記載者数 1万1,118人


 ②正規職員として採用することが適当な者 9,613人


 ③准職員として採用することが適当な者 358人
  (正規職員のみを希望し、准職員を希望していない34人を含む)


 ④職員として採用することが適当でない者 28人


 ※「④」の不採用となった人たちの、具体的理由については「総合的に判断して決定」したもので公表できないとされています。そもそも希望者自体が定数(正規職員9,880人、準職員1,400人)に達していない中で、28人もの職員が排除されました。日本年金機構は、民間採用の内定者含め辞退者も出ており、現在も定員を確保できない状況です)