日本の科学技術・教育政策の貧困がもたらす若手研究者の絶望 | すくらむ
2009-12-23 20:04:30

日本の科学技術・教育政策の貧困がもたらす若手研究者の絶望

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 ポスドク問題に関心のある方ならご存知だと思いますが、「世界がもし100人の博士の村だったら」によると、日本で博士号を取得した100人の博士のうち、16人は医者、14人は大学職員、8人は民間企業研究者、11人は研究職公務員、7人は博士号とは無関係な勤労者、20人はポスドク、16人が無職、8人が行方不明とのこと。不安定雇用で高学歴ワーキングプアのポスドク、そして無職・行方不明をあわせて、100人中44人もの博士が生活さえ困難な状況に置かれていることを告発しているのですが、実際にこの20年間の博士号取得者が約22万人で、そのうち正規雇用につけていない人は10万人を超え、最大手の技術系派遣会社には、博士号取得者が5万人も登録されている現状ですから、誇大な表現ではないということです。


 そして、こんな状況の中で、行政刷新会議の「事業仕分け」は、ポスドク支援・若手研究者支援をはじめとする科学技術関連予算を削減すると判定しました。


 昨日、この「事業仕分け」に関わってポスドク当事者らの話を国会内で聞く機会がありました。実際に「事業仕分け」の現場を見てきたポスドク当事者からは、以下の発言が相次ぎました。


 「『ポスドクの生活保護のようなシステムはやめるべき。本人にとっても不幸』という耳を疑うような事業仕分け人の発言をまのあたりにしたとき、怒りがわきあがるとともに、日本という国に希望を持てなくなりました」


 「実際に事業仕分けの判定のまま予算が削減されると、多くのポスドク、若手研究者が路頭に迷うことになります」


 「私のまわりのポスドクは、今回の事業仕分けに絶望し、日本を見限って海外に研究の場を求めようとしています。そうしたポスドクは、日本という国を恨んで海外に出ていくので、もし研究成果をあげられても、日本のために貢献しようとは思わないでしょう。今回の事業仕分けが、若手研究者に対して、そうしたメッセージを結果的に発信してしまっていることに思い至るべきでしょう」


 「私の昨年の年収は130万円でした。この年収から600万円の奨学金をどうやって返していけばいいのでしょうか」(この発言は大学の非常勤講師の方)


 こうした悲惨なポスドク・若手研究者の抱える問題の根本には、日本という国の科学技術政策と高等教育の貧困があります。


 そもそも政府は「科学技術創造立国」をめざすとしていながら下図のように、先進国の中で科学技術予算は最低です。(※今回紹介する図表はすべてOECDの「図表でみる教育2009年版」です)


すくらむ-科学技術予算


 そして、下図のように、日本の高等教育に対する公財政支出は、OECD28カ国中、最下位で、OECD各国平均の半分しかありません。東京大学の職員一人当たりの学生数は、シカゴ大学の7倍にもなっています。これをせめてOECD平均の支出にするだけで、単純に考えると大学職員を倍増できるわけですから、ポスドク問題は解決するのではないでしょうか。

すくらむ-高等教育国際比較

すくらむ-大学職員一人当たり


 教育の貧困という点では、下図にあるように、主要先進国の中で、公財政教育支出を唯一減らしているのが日本です。


すくらむ-教育支出


 こうした教育の貧困がもたらすのは、教育を受けることも自己責任とされ、教育の機会均等が保障されないということです。下図のように教育支出の公私負担割合での日本の「私費負担」がOECD平均の2倍以上になっています。

すくらむ-公私負担割合


 さらに下図のように、高等教育に限っての教育支出の公私負担割合では、日本の「私費負担」がOECD平均の2.5倍にもなっています。これが日本における世界一高い学費の根本原因です。驚くべきことに、日本の場合は、この「私費負担」の上に「塾など学校以外の教育費」が加算されるとのことです。

すくらむ-高等教育負担割合


 今回の「事業仕分け」の中で「奨学金は『学生ローン』に名前を変えろ」と発言した仕分け人がいたと昨日の懇談の中で聞きましたが、日本という国は政権交代があっても教育の機会均等を保障する方向には進まないようです。
(byノックオン)



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