「非正規労働者の権利実現全国会議」からの呼びかけ | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ※11月22日に結成された「非正規労働者の権利実現全国会議」(代表幹事・脇田滋龍谷大学教授)の呼びかけ文を紹介します。


 非正規労働者の権利実現全国会議 呼びかけ文


 日本の非正規労働は、不安定雇用はもとより、差別待遇と自立して生活できない低賃金を特徴としていますが、それにとどまらず、非正規労働者は、法律が保障する最低基準の労働条件の確保や団結権など当然の権利さえ実現できないという状況のもとにあります。最近では、景気の悪化を理由とする期間途中の安易な契約破棄や雇い止め、長時間労働による過労死・うつ病や労災による死傷事故の多発、職場における「いじめ」や「ハラスメント」の増加など、非正規労働者をめぐる状況はますます深刻となっています。


 非正規労働は、従来、主に女性や現業部門など社会的に弱い立場にある労働者に集中して、彼ら・彼女らの労働と生活の質を大きく低下させ、無権利を拡大してきました。


 しかし、最近ではそれは若年層全体を中心に性別や業種を問わず広がっており、近い将来、非正規労働が日本の雇用労働の支配的形態になろうとさえしています。労働団体も非正規労働問題への関心を強め、その改善を求めるようになっています。政府も、最近の「労働経済白書」や「経済財政白書」で、非正規労働の広がりによって生じた問題を率直に指摘し、社会的格差や貧困の広がりに警鐘を鳴らして、改善の必要性を指摘しています。


 非正規労働の問題は、いまや、「労働問題」の次元を越え、「社会問題」、さらには、人間の尊厳に関わる「人権問題」という性格を強く帯びています。また、非正規労働者の権利侵害が放置されることにより、正規労働者についても、「雇用が保障されるだけまし」との理由で、労働条件切り下げや権利侵害が蔓延しようとしています。こうして、非正規労働者の問題は、労働者全体、さらには国民全体に関わる重大な問題となっているのです。


 日本弁護士連合会(日弁連)は、2008年の人権大会で、「労働と貧困」をテーマにした分科会を開催し、国内外の実態調査に基づいて、非正規労働者の無権利状態の改善を求め、そのために、有期雇用の制限や労働者派遣法の抜本改正などの提言を全会一致で決議しています。さらに貧困と人権に関する委員会が設置され、非正規労働者の権利を確立するための取組が始まっています。


 私たちは、こうした非正規労働問題を「労働のあるべき姿」という視点に立って、抜本的、かつ長期的視野にたって解決しなければならない考え、非正規労働者の権利の実現を支援し、権利拡充を根本的に図るための研究と交流を進める全国会議として、「非正規労働者の権利実現全国会議」(略称「非正規全国会議」)を結成することにしました。


 この非正規全国会議は、非正規労働をめぐる①調査・研究とその交流、②立法・制度案、法的救済策の検討、③情報の提供、普及、広報などの活動を通じて、非正規労働者の雇用と暮らしの質を高め、権利の実現に貢献することを目的とします。


 具体的には、世界的不況の下で各国で進められている非正規労働者のための制度や対策の研究、派遣労働・有期雇用に対する適切な法規制のあり方、同一労働同一賃金の考え方、非正規労働者と社会保障制度の関係など、非正規労働の権利保障をめぐる多くのテーマについて、専門的な調査研究や研究交流のために、研究者、法律実務家などを中心に活動を進めていきます。


 非正規労働者に関心をもつ多くの方々が、本会議の趣旨に賛同され参加されるよう呼び掛けます。