正規も非正規も解雇で失職、ハローワーク前で2千人アンケート - 求められる緊急雇用対策 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ※現在、全労連が全国各地で取り組んでいる「ハローワーク前アンケート」の「中間報告」がまとまっていますので紹介します。


 ハローワーク前アンケート中間報告
                              2009年11月5日
                              全国労働組合総連合


 全労連は、雇用情勢が厳しさを増す中、①失業者・求職者の実態と要求を集約し、制度要求や世論喚起のための客観資料を得る、②失業者・求職者の生の声をつかみ、運動に活かしていくという2つの目的のもと、「ハローワーク前アンケート」に全国でとりくんでいます。


 まだとりくみの途中ですが、10月末までに、35のハローワーク前で、2,028名分が集約されました。「中間報告」として発表し、政府の「緊急雇用対策」への反映などを求めていくものです。


 なお、「中間報告」は単純集計のみですが、最終の「報告書」については11月中に集約を終え、雇用形態(最後の仕事)別などでの比較も含めた集計結果を12月前半に発表する予定です。


 「中間報告」結果の特徴は、「失業・離職の原因」では、解雇や契約期間中の中途解除、倒産、希望退職が4割に及んでいます。その他の選択でも賃金等の大幅低下などを理由にあげている者が多く、雇用情勢の厳しさがあらためて示されています。


 そのため、「切実に求めているもの」では、再就職先の確保57.0%、失業給付の支給期間の延長41.8%などとなっており、「ハローワークへの要望」でも、求人数・求人先の拡大が49.1%とトップになっています。公的就労の確保を含め、雇用拡大が急務になっています。


 「失業期間(失業・離職後の期間)」でも、6カ月以上が38.3%と4割近くを占め、3カ月以上でみると実に62.9%にも及んでいます。失業給付の支給期間の延長をはじめ、雇用保険制度の改正などセーフティネットの整備が求められています。同時に、解雇・雇止めを止めさせることなど、大企業に雇用責任を果たさせ、雇用の安定・創出をはかることが急務になっています。


 ▼ハローワーク前アンケート(中間報告)のポイント


 ●回答者の年代
   50歳以上が46.2%、一方で40歳未満も34.7%


 ●業種(最後の仕事)
   製造業26.2%、サービス業15.4%など


 ●失業・離職後の期間
   6カ月以上38.3%、3カ月以上62.9%


 ●離職の理由
   解雇・経営不振など40.3%+α


 ●失業給付の受給は
   47.4%と半数に届かず


 ●切実に求めているもの
   再就職先の確保57.0%、失業給付の期間延長41.8%


 ●ハローワークへの要望
   求人の拡大49.1%、土日等の窓口開設35.4%、
   正確な求人情報34.5% etc.



 ハローワーク前アンケート(中間報告全文)


 1.回答は2,028名、女性が4割

 10月末までに寄せられた回答は、北は釧路から南は鹿児島まで、35ハローワークの2,028名分となっています。
 問1「性別」では、「①男」が61.0%に対して、「②女」が38.8%と約4割を占めました。


 2.厳しい50歳以上の雇用、若年層も非正規化で失業増
 問2「年代」では、最も多かったのは「⑤50代」の26.5%です。続いて「③30代」20.2%、「④40代」18.9%、「⑥60代」18.4%などとなっています。
 この結果、50歳以上が46.2%を占め、年齢の高い層で失業問題がいっそう深刻なことがわかります。「自由記載欄」(問14)でも、「年齢制限ではねられる」という声が多数寄せられており、年齢の高い層での雇用対策の強化、働き口の確保が求められています。
 特に、60歳以上が19.7%と2割近くを占めたことは重大です。定年退職後も暮らしていけない層が多数いるということであり、年金制度の充実とあわせた対策の強化が求められています。
 一方で、「③30代」20.2%、「②20代」13.4%など、40歳未満も34.7%に達しています。若年層での非正規化の進行が、「雇用の調整弁」として、年齢の低い層でも雇用破壊を進行させていると言えます。


 3.最後の仕事は製造業やサービス業多く、不況を反映
 問3「最後の仕事」では、最も多かったのが「③製造業」の26.2%で、続いて「⑬サービス業」15.4%、「⑦卸売・小売業」9.0%、「②建設業」8.7%などとなっています。
 昨秋以降の「派遣切り」「期間工切り」に象徴される製造業における非正規労働者の大量解雇の影響が表れています。同時に、サービス業の割合が高いことなど、深刻な不況の影響をみてとることができます。
 なお、「⑭その他」が10.7%を占めていますが、内容が記載されていたものをみると、最も多かったのが「清掃」で、他には「自治体の臨時職員」「警備」などが目立ちました。


 4.雇用形態は正職員が53.2%、あらゆる層にひろがる
 問4「雇用形態」では、「①正職員」が53.2%と過半数を占め、続いて「②パート」15.8%、「④期間・契約社員」10.7%、「⑤派遣」8.0%などとなっています。
 「①正職員」が過半数を占めたことにみられるように、雇用破壊が昨秋の「派遣切り」「期間工切り」などまず非正規労働者からはじまった状況から、全体にひろがっていることがわかります。
 ただし、全体の就業構造からみれば、非正規労働者の割合は高くなっており、非正規労働者が「雇用の調整弁」として使い捨てられていることがうかがえます。


 5.失業は長期化、6カ月以上38.3%、3カ月以上62.9%
 問5「失業・離職後の期間」では、「④6カ月以上~1年未満」と「③3カ月以上~6カ月未満」がともに24.7%で最も多く、続いて「②1カ月以上~3カ月未満」19.6%、「⑤1年以上」13.1%、「①1カ月未満」13.1%などとなっています。
 6カ月以上が38.3%と約4割を占めており、雇用情勢が厳しさの中で、仕事がみつからず、失業が長期化していることがうかがえます。
 雇用保険の失業給付の給付日数は、相次ぐ改悪で短くされてきました。特に非正規労働者の場合は、その多くが90日(個別延長されても150日)となっています。この結果から言えば、失業給付の支給日数の延長が必要です。


 6.解雇21.0%、経営不振による希望退職9.0%など雇用破壊浮きぼりに
 問6「失業・離職の原因」では、最も多かったのは「⑥自己都合(自らの意思)」でしたが、3割(30.2%)に止まりました。続いて、「①解雇」21.0%、「②契約期間満了」11.1%、「④経営不振等による希望退職」9.0%などとなっています。
 「解雇」21.0%、「④経営不振等による希望退職」9.0%、「⑤倒産」5.7%、「③派遣切りなど有期契約の中途解除」4.7%をあわせると、4割(40.3%)にも及んでいます。
 「⑧その他」が8.9%と割合が高くなっているのも、記載内容をみると、賃金や労働条件の大幅な低下や会社解散などがかなりの部分を占めており、「②契約期間満了」も11.1%に達しています。
 雇用破壊と不況の深刻化のもとで、非自発的な失業・離職が多数を占めていることが示されています。


 7.会社都合を自己都合にされたことがあるが2割
 問7「本当の離職理由は会社都合なのに、自己都合にされたこと」では、「②ない」は72.4%に止まり、「①ある」が19.2%、「③あったが異議を申し出て訂正させた」が2.8%でした。
 企業に対する指導・対策を強化するとともに、失業給付等の認定に際しても、実態をよく聞いた対応が求められています。


 8.失業給付の支給受けているは47.4%に止まる
 問8「失業給付の支給を受けていますか」では、最も多かったのは「①支給を受けている」でしたが、47.4%に止まり、半数に届きませんでした。続いて「②待機中」15.4%、「③支給期間が過ぎた」14.1%、「④受給資格を満たせず、もらえない」9.7%、「⑤雇用保険に未加入」6.7%などとなっています。
 雇用情勢が深刻化しているもとで、支給日数の増や対象の拡大に加え、手続きの迅速化などの運用改善など、雇用保険制度の改善が求められていると言えます。
 なお、「⑦その他」が8.1%を占めていますが、内容の記載では年金が多くなっています。高年齢層が多かった反映ですが、退職金や年金では暮らしていけない実態を物語るものでもあります。


 9.現在の主な生計では、失業給付は41.9%に止まる主なもの2つ以内
 問9「現在の生計は、何で支えられていますか(主なもの2つ以内)」では、「①失業給付」41.9%、「②預貯金の取り崩し」41.1%、「③家族の収入」36.6%などとなっています。また、「⑥臨時のアルバイト」9.8%、「④借金」6.3%、「⑤生活保護」3.0%などとなっています。
 この結果からも、失業給付が失業者の生活を支える上で十分でないことは明らかです。切り下げられてきた支給額の増額などの改善が求められています。


 10.厳しい雇用情勢、希望する求人はあまりない
 問10「希望する求人はありますか」では、「①たくさんある」はわずか2.6%に止まり、「③ほとんどない」45.9%、「②いくらかある」34.6%などという結果でした。雇用情勢の厳しさが端的に表れています。


 11.再就職先の確保が最も切実な課題
 問11「切実に求めているもの、重要だと思うもの(3つまで回答可)」では、最も多かったのは「④再就先の確保」で57.0%を占めました。続いて、「①失業給付の支給期間の延長」41.8%、「⑤公的な就労・仕事の拡大」31.8%、「⑧離職防止や解雇規制の強化」20.6%、「⑥職業訓練の機会拡大」18.2%、「⑦失業給付が受けられない人への支援の実施」17.8%などとなっています。
 セーフティネットの整備が重要ですが、それに止まらず、公的な就労確保を含め、雇用の場の創出が急務だと言えます。同時に、大企業等に社会的責任を果たさせ、雇用を維持するとりくみの強化が求められています。


 12.雇用創出事業については募集枠の拡大と長期就労を
 問 12「雇用創出事業についてどう思いますか」では、最も多かったのが「①募集枠をもっと増やしてほしい」の24.5%です。続いて、「②長期の就労にすべき」23.9%、「⑤緊急雇用創出事業を知らなかった」16.2%、「④正職員の募集に変え条件をよくすべき」15.5%、「③賃金が安すぎる」8.1%などとなっています。
 これらの要求を受けとめ、安定した雇用につながるように緊急雇用創出事業等を改善することが求められます。


 13.ハローワークへの要望は求人の拡大が最多
 問13「ハローワークに対する要望(3つまで回答可)」では、「②求人数・求人先の拡大」が最も多く、49.1%を占めました。続いて、「⑧土日等の窓口開設」35.4%、「③正確な求人情報」34.5%、「①待ち時間の短縮」23.7%、「⑥失業給付の支給までの日数短縮」23.2%、「⑦職業訓練の充実」20.8%などとなっています。
 「②求人数・求人先の拡大」が約半数を占めたことは、雇用情勢の厳しさを反映するものであり、雇用拡大策の抜本的な強化が求められています。
 「③正確な求人情報」については、「自由記載欄」(問14)への記述も多く、「求人票と実際が全く違う」とか「電話してみると募集していない」「年齢不問なのに年齢制限で落とされる」などの内容がありました。
 「⑧土日等の窓口開設」「①待ち時間の短縮」「⑥失業給付の支給までの日数短縮」「⑦職業訓練の充実」などを受け止めた、ハローワークの整備・拡充が求められますが、そのためにも人員体制の大幅な拡充が緊急課題です。


 14.自由記載欄について
 問14の「自由記載欄」には、577人もの方々から書き込みがありました。回答者の28.5%が記載したということであり、それだけ実態が切実だということです。12月の「報告書」の段階では、手記として整理し発表する予定です。
                                       以上