【もっと身近に?】成年後見制度と遺言制度の見直しについて | 行政書士&1級FP技能士 宮木のブログ

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13日付の朝日新聞デジタル版に以下の記事が掲載されました。

 

"成年後見制度と遺言制度の見直し、法制審議会に諮問へ 法相が表明"

 

 

以前から議論に上がっていた話題ですが、具体的な内容は2点です。

①成年後見制度の使い勝手の向上

②自筆証書遺言のデジタル化

成年後見制度

成年後見制度は記事にもあるように、成年後見制度についてはいったん制度を利用すると途中でやめられないため、特にコスト面での負担が大きくなり利用に躊躇する例が多いです。

 

我々行政書士のような専門家後見人の場合は月あたり2万円前後~となるケースが多く、生涯にわたって負担するとなると利用者とそのご家族にとって大きな負担になります。

 

そして成年後見人制度を利用する場面の1つが相続手続きのときです。

 

相続が発生(親が亡くなる)すると「財産分け」が必要になりますが、有効な遺言書があればその指定の通りに、なければ相続人全員での「遺産分割協議」という話し合いが必要になります。

 

そして、遺産分割協議の際は意思能力が必要になるため、認知症の方がいると成年後見人の選任が必要になり、成年後見人の選任には上記のコスト負担と、家庭裁判所への申し立てという手続き上の負担がかかります。

 

また家庭裁判所への申し立て~成年後見人の選任まで通常2カ月程度かかるため、相続税の申告が必要な場合には申告期限に間に合わない、といった問題も起きる可能性があります。

 

そのため、特にご高齢の配偶者がいるケースではスムーズな相続手続きのために遺言書が有効になってくるのです。

 

 

自筆証書遺言のデジタル化

自筆証書遺言のデジタル化については、現在の民法で「全文と日付、氏名を手書きし、押印する」ことが要件とされており、特に全文自書の負担が大きいとされています。

 

"パソコンなどデジタル機器を使って遺言を作成する新たな方式のあり方について議論してもらう。"

 

とありますが、遺言は意思表示をした本人の死後に効力が発生するため本人が作成した証明をどうするか?など諸々課題も多いと考えます。

 

遺言を専門にしている身としてはもっと身近なものになるように議論を尽くしていただければと思います。

 

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【以下が朝日新聞デジタル版からの抜粋です】

小泉龍司法相は13日、成年後見制度と遺言制度の見直しを、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにした。

  【図解】デジタル機器を使った遺言書作成の課題 

現在の成年後見制度では、いったん制度を利用すると原則、途中でやめられないため、利用に一定の期間を設けることや必要性がなくなればやめられるようなルールについて、専門家の意見を仰ぐ。利用者の権利が必要以上に制限されないよう、後見人が代理できる支援の範囲を限定する仕組みも検討してもらう。

また、遺言制度では、自分で遺言を作成する場合、全文と日付、氏名を手書きし、押印する必要がある。真意に基づくことを裏付けるためだが、全文を自筆する負担が重いといった声がある。パソコンなどデジタル機器を使って遺言を作成する新たな方式のあり方について議論してもらう。(久保田一道) 

◇ 〈成年後見制度〉2000年に介護保険制度と同時に始まった。判断能力が低下した後、裁判所が支援する人を選ぶ「法定後見」と、判断能力があるうちに将来に備えて選ぶ「任意後見」がある。法定後見は、判断能力の程度に応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」が、預貯金などの財産管理、福祉サービス利用、施設入所契約などを支援する。利用が伸び悩み、16年に成年後見制度利用促進法が成立した。