恋すればやせこそすらめ物のをの
 ゆふがみじかく思ほゆるかな


恋やつれを相手になじる歌で、物の緒が帯、関係の糸、命と多様に織りなして、それが結うのに短くなったというわけです。しかし技巧はそれに留まらず。〈ゆふがみじかく〉に隠された〈ゆふがみ〉は白いたてがみ、更なる哀れを引きます。

 

 

 青柳の緑のいとを繰りおきて
 夏へて秋ははたおりぞなく


糸で辿る縁語のあれこれに季節を巡らし色を散らした言葉の綾錦で、<いと><繰り><へ[綜]><はたおり>が縁語。青柳は季節柄雨に滴る姿が玉を抜くと詠われて細く垂れた枝葉を糸に見立てる習い。<はたおり>にはきりぎりすの意味もあり。

 

 

 うち渡す竹田の原に鳴く田鶴の
 間なし時なしわが恋らくは


私があなたを恋しく思うことは絶え間ないということ。<らく>は動詞に結びついて名詞のように使います。使い勝手がいいようですが、活用形によっては<く>が付くなど文法的には込み入っていてやがて廃れます。いまに残るのは<老いらく>。

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『 こけさんの、なま煮えなま焼けなま齧り 』 五十女こけ