位階と官職は結びついていますが、基本は位階です。それが明らかなのは致仕、即ち官を辞するときで無官となっても位はそのまま。位を奪われるのは罪を犯したときに限られます。それにしても順調に出世をして相応に年齢を重ねたあとに自ら官を退くのに適した年齢は七十歳とされ、故事に因んで懸車の齢。

 

 

平安貴族の人生を見渡すとそこにあるのは結局出世双六で、貴族たるものどこまで上り詰めるかということです。はっきりしているのは家格によって始まりから差があって、親王の子はまず従四位下を賜ります。貴族を見ても例えば藤原良経が正五位下になったのは11歳、定家21歳、家隆に至っては35歳。

 

 

35歳で正五位下と貴族の底辺に立った藤原家隆は従二位まで上り詰めます。しかし思うに任せぬのが出世、晩年にその悲哀はしみじみと例えば源為憲、〈老いにけり渚の松の深みどり〉、自らの六位を色に嘆きます。定家も承久の乱前夜滞る昇進を和歌に恨んで〈あはれ嘆きの煙くらべに〉。勅勘を被り閉門。

藤原家隆(従二位家隆)

藤原家隆(従二位家隆)

 

 

地下と書いてジゲ、地下を理解するためには殿上人を詳らかにすることです。殿上人とは昇殿を聴された者のことですが、それは天皇の生活空間である清涼殿の南廂「殿上間」のこと。位階は5位以上、蔵人のみ6位でも聴されます。地下とはそれを外れた者であり5位以上でも昇殿が叶わねば地下とされます。

 

 

除目というのは貴族社会が耳そばだてる昇進、任官の発表のことで『枕草子』でも涙ぐましい猟官運動が如何にも冷ややかに眺めおかれます。特別に功労を讃える臨時のものを除くと司召と県召になり、前者が都の、後者が地方の任官でそれぞれ秋と春。但し大臣任命は除目ではなく節会を開いて任ぜられます。

 

 
 

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