こんにちは。
メディセレのしゃっちょう
児島惠美子です。
厚生労働省は5月12日、
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
に対する医薬品、医療機器、体外診断用医薬品、
再生医療等製品(医薬品等)について、
企業治験を実施しなくても、
国際的な科学的、倫理的水準を満たした公的な研究事業で有効性や安全性が確認された場合には、
そのデータを用いて薬機法上の承認申請が可能になる」
との通知を出しました。
え?え?え?
まぢですか?
「治験を実施しなくても、承認申請?」
これは驚きました。
医療系でない方はピンと来ないと思いますので、
少し解説させてください。
私のブログ「医薬品開発」の所にも書きましたが、
医薬品開発(新医薬品を世に出す)までには
日本では通常9〜17年かかります
(ココ、国試にも出る所😁)。
身体に使うわけですから、
安全性、有効性(効果があるのか)をしっかりと見極めないといけないので、
たくさんの試験をして、それらに合格しなければなりません。
これが中途半端だと、健康食品やサプリという分類で終わります(語弊があるかもですが、簡単に言うと。特に有効性が弱いと)。
流れは大きく
基礎研究(薬候補のそれ自身の物理化学的な性状)に2〜3年。
非臨床試験(動物や細胞を使い、安全性を確認)に3〜5年。
臨床試験(治験:ヒトに対して有効性や安全性を確認)に3〜7年。
承認申請審査に1〜2年。
そして大々的に世に出ます(発売)。
既に他の病気で薬として使われていて、
今回COVID-19にも効果があるのではないか?
ゆえに使うためにCOVID-19治療薬としても承認を得たい!
となると、安全性は既に使われてわかっているので、基礎研究や非臨床試験を飛ばしても、
効力を裏付ける試験(薬理作用に関する)と
臨床試験の成績を確認してから、
承認されるのが今まででした。
むしろ日本は国際的に慎重派で、海外で承認を得た薬も、国内承認を取るのに時間がかかる…というのが私のイメージでしたので…
それが、臨床試験もすっ飛ばしての承認申請を可能にするのですね!凄いな!驚きました。
その心は、アビガン(一般名ファビピラビル)の承認を早めたいという事でしょうか。
アビガンがスピード承認されたら、
COVID-19の2つめの治療薬誕生ですので、
嬉しい反面、
薬学部では「薬害(薬剤の副作用や医療用具により患者が障害を起こしてしまう事)」について学びますので、
治療薬誕生後の副作用チェックを薬剤師としては気をつけないといけないと思いました。
国際的に情報を共有できるようになった時代だからこそ、できるようになった、薬業界としての大きな変化ですね。
引き続き見守りたいと思います。