この高校男子が、なかなかの美少年で、
とても整った顔立ちをしている。
ただ、無口ゆえ、その人柄が見えない。
ほぼ同時期に働き始めて、
2ヶ月ほど一緒に働いているが、
部署が分かれていることもあり、
話すことは、あまりない。
出勤時、退勤時の挨拶くらいのもので。
でも、なんだか気になる少年。
『どんなことを考えてるんやろ?』
『どんなことに心を突き動かされるんやろ?』
全く見当がつかないまま、2ヶ月が過ぎた。
今日も一緒に働き、私が先に上がった。
他のスタッフに、
『お先に失礼します』と声をかけて、
裏口を出ると、
そこに、例の美少年がいた。
なにやら、夜空に浮かんだ月を携帯のカメラで
一生懸命、撮っている。
突如、裏口の暗闇に浮かんだ彼の後ろ姿に、
驚きながらも、
『お疲れさま!』
と声をかける。
振り返った少年は、
突然の人の気配に少し驚きつつ、
『お疲れさまです!』
と、可愛らしい笑顔で返してくれた。
『なに?月撮ってるん??』
と、私も夜空を見上げた。
そこには、まあるいお月さま。
お月さまの周りには、『かさ』が。
少年に言う。
『明日は、雨やな。お月さんの周りに虹みたいなあるやん?あれ、あるときは、明日、雨!』
すると、少年が言う。
『え?そうなんですか?』
真っ直ぐな質問に、思わず自信がなくなり、
『あれ?どうやったかな?雨やったかな?晴れやったかな??』
自信もないのに、これ見よがしに知識を振りかざした自分が恥ずかしくなって、
『まぁ、調べてみて!お疲れ様!』
と言って、その場を後にした。
無口で、何を考えてるかわからない少年。
でも、カサをさしたお月さまに心奪われることはわかった。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
彼の心に触れた気がした。
