第九章 “部屋”

外出許可が出た日が来た。
朝の九時に起きた。
私はお気に入りのサロペットにTシャツを着た。
そしてみんなから貰った眼帯に車椅子。
工藤さんにお礼と帰る時間を言った。
『八時半にはもどります。』
『楽しんで来てね。』
私は病院公園に行った。
五分位早く来たのに、俊君は待っててくれてた。
『美優ちゃん、車椅子押すね。』
『ありがと。』
『美優ちゃんはいいよね。』
『え?』
『家族と暮らしてて。』
『俊君独り暮らしだもんね。』
『まっそれはいいけどどこいく?』
『俊君の家!』
自分でもなんでそう言ったのか分からない。
『美優ちゃんが言うなら良いよ。』
俊君も色々考えて私に気を使ってくれてる。

俊君の家まで行く途中、色々な話を聞いた。
『俺さ、前まですんごく言葉使い悪かったんだよね。』
『えっ?』
『でも美優ちゃんが礼儀正しい人が好きって言ってるの聞いて変えた。』
『そうなんだ…。なんかごめん。』
『俺の好きでやったの!謝らなくていいから。』
俊が顔を赤くしているのを私が少し笑いそうになった時、メールが来た。
『どう?上手くいってる?
お節介おばさん工藤です(^O^)
私にはラブな話ないから色々きかせて。』
私はすぐ返信した。
『特にないよ(^-^)/
工藤さんってモテそうなのに意外!
今日は存分に楽しむね(≧▽≦)』
それからのメールは見てない。
俊君の家に着いたから。
綺麗なマンションだった。
男の子の匂いがした。
なんか俊君らしいって感じ。
バンドのポスターとかDVD。
なんかドキドキする。
『そんなに見ないでよ!恥ずかしいから。』
ベッドは青いツインベッドで、枕はひとつ。
なんか分かんないけど彼氏とかの話になった。
『美優ちゃんは他に付き合った人いるの?』
『うん、いるよ。』
『俺もいる。』
『なんか初恋も初体験もあっけなく終わったんだよね。』
『俺も。』
『今回は終わりたくない。』
『俺も同意。』
なんか分かんないけど体が勝手に動いた。
我にかえった時は遅かった。
俊君の唇と私の唇が当たってる。
私って雰囲気に流されやすいんだ。

『美優ちゃん?』
『なんかごめん…。』
『良いよ、俺もしたかったから。』
『え…。』
俊君の顔はどんどん赤くなってく。
『俺、美優ちゃんとキスするとエロい気持ちになる。』
『私も…。』
『本当の初体験、美優ちゃんとしたいな。』
『私も…、俊君としたい。』
私は俊君に深いキスをされた。
部屋にはキスの音が響き渡った。
『ふっくちゅっはっ』
右半分だけでHに望むのは初めて。
唇から首筋、胸に滑りおちた。
それと同時に服も脱げてく。
『恥ずかしいからあんま見ないで。』
俊君も私も下着だけになった。
キスをしながら俊君は私の胸を揉みしだいた。
『ふっ!っつ。』
俊君の手は股間にすべっていく。
もう慣れてる。そう思ってたけど、私の体は予想以上に過敏に反応した。
『美優ちゃん濡れてる。』
私はその言葉が恥ずかしくてむきになった。
『俊君のもめちゃくちゃ立ってる。』
『えっ…。』
私は俊君のを愛撫した。
『うぁっ。』
俊君も負けじと舐めたり指を入れたり。
『ふがっあっ』
俊君も私もピークが来た。
俊君にはその気がなかったみたいだけど私は一気に差し込んだ。
『うぁっ!美優ちゃん!』
『俊君…。』
ベッドは揺れた。
『はっ美優…うっ。』
美優っていってくれた!
『俊っ!ひゃあっ。』
俊君も私も倒れ込んだ。
私の目がさめたのは四時半。
服を着てメッセージを残しといた。
『ぐっすり寝てる様なので帰るね。
楽しかったよ、俊!』
君がぬけてるだけでなんか違う。
美優って言われたとき凄く嬉しかった。
私は俊君の部屋を出た。
第八章 “外出許可”

白血病は完治に近付いてきた。
少しでも調子が良いとリハビリをした。
『美優ちゃんちょっと休んだら?』
看護婦さんによく声をかけられる
『大丈夫です。』
そう言ってリハビリを再開する。
そんな事を繰り返してるうちに看護婦さんと仲良くなった。
リハビリを手伝ってくれたり、
調子が悪い時、マッサージしてくれる。
点滴とかの担当もその人。
工藤 彩華(くどう さいか)さん。
三十二歳、この道七年のベテランで、
患者さんの気持ちも分かるんだと思う。
病気の説明も上手くて、私の憧れ。
工藤さんがいるとリハビリが楽しい。

『美優ちゃん!聞いてー。』
工藤さんは嬉しそうに言った。
『えーっなに?』
私は自然とタメ口になっちゃう。
『外出許可でたよ♪』
『えっ?』
私のテンションは一気に上がった。
『彼氏と遊びに行っていいよ!』
『いつ?』
『明後日!』
『やった!』
私は携帯を取り出して俊君に連絡した。
『もしもし?』
俊君は私の連絡だとすぐに出てくれる。
『美優だけど、明後日外出して良いって!デートしよ。』
『マジ?とにかく今バイト㊥だから後で連絡する。』
バイト中なのに出てくれたんだ。
『うん。バイバイ!』
私は電話を切った。
工藤さんは私に色々説明してくれた。
『映画はホラーとかは見ちゃだめね。』
『運動は傷が治ってるからいいよ!』
『でも遊園地とかはダメね。ジェットコースターとか駄目だし。』
工藤さんは真剣に考えてくれた。
『それから…』
『分かったよ!』
『あ…そう。良かった!』
工藤さんの優しさが身にしみた。
お父さんとお母さんとも話し合って、
昼は俊君といて良いことになった。
夜はお父さん達といる。
久しぶりに一緒に話せる。
前は一緒には話せなかった。
共働きだから。
俊君はバイトが終わるとすぐ連絡をくれた。
『えっと、運動はいいけど心臓に悪いのは駄目だって!それと、お父さん達と夜交代するから、五時までは帰んないと…。』
『OK!じゃ十時に病院公園ね!』
『うん。』
『じゃ、切るから。』
『バイバイ。』
私は遠足前の子供みたいに眠れなくて、
明後日、何を着て行こうか考えてた。
第七章 “病”

倒れたとは言っても意識はある。
だから俊君が声をかけてたのも、
医師が血を採るのも、
検査結果が出たのも。
私は寝たまま検査結果を医師から聞いた。
『レントゲンなどの放射能の浴びすぎで白血病です。』
『え…?』
またかと思った。
放射能の浴びすぎって…。
病院側が悪いのになんで?
私ばっかり。

泣いてる間、俊君は外に出ててくれた。

私は治療に励んだ。
左半分も白血病も。
毎日三時間。
学校に行けない分頑張った。
俊君やみんなも学校帰りに寄ってくれた。
『美優ちゃん頑張れ!』
『先輩早く部活出て下さいね!』
『ありがとう。』
私はみんなの応援で頑張れた。
リハビリをやるにつれ、左手が使える様になって来たし、免疫もついてくる。
白血球を取り除く手術の日程が決まった。
十二月二十五日。
クリスマスの日。

俊君と過ごしたかったけど、病気を早く治したかった。
私の顔色は真っ青になっていた。
私の体に繋がっている管が日に日に増えて、人工呼吸機までもある。

みんなお見舞いに来てくれた。
『大丈夫!頑張れ。』
そしてリハビリを手伝ってくれたり、
マッサージしてくれた。

友達を持って良かった。
手術の前日、イヴになった。
みんなはせっかくのイヴなのに夜までお見舞いしてくれた。
本当は彼氏と過ごしたかったと思う。
『明日はデートだから!昼くるね。』
本当は明日も来てくれないと思ってた。

今は声が出なくて頷くことしか出来ないけど、退院したらお礼をしようと思った。

そして最悪のクリスマスが来た。
手術は三時から。
みんなは十二時には来てくれた。
『手術頑張れ!』
『はやく退院できるといいね。』
『祈ってるから。』
私は涙があふれた。
こんなにも自分以上に自分を思ってくれてる。

三時が来た。
私はみんながくれた御守りを握りしめて手術室に行った。
『じゃあ頑張れ!』
『早く元気になってね。』
『明日もお見舞いくるから!』
麻酔をうたれて意識がとおのく。
頭の中で俊君がまってた。
目が覚めた時には関係者以外立ち入り禁止の集中治療室にいた。

手術は成功したみたい。
『美優!よかった。』
『お母…さ…ん。』
お父さんとお母さんが交代で待ってたらしい。
『今…何時?』
『夜中の三時よ?』
『長かっ…たね。』
『手術で血がとまらなくて二十二時まで手術してたのよ。』
『そっか。』
私が目覚めたと言う知らせを聞いて、
みんな寝起きの格好で来てくれた。
集中治療室は消毒をしてマスクをしてカバーをきなくちゃいけない。
みんなは慌てた様子で着ていた。
『美優ちゃん!』
『これ、クリスマスプレゼント!』
みんなからのプレゼント。
私のクリスマスは十二月二十六日に来た。
人生で最高のクリスマス。

それは病とひきかえにきた。