第六章 “デート”

障害の事とかで俊君と付き合ってる事忘れてて、でも俊君は覚えてた。
『今度デートしない?』
『え?あ、うん』
『何が好き?』
『どこでもいいよ!』
『たしか美優ちゃんって…。』
俊君は悩んでた。
『いいよぉ俊君の行きたい所で。』
『お茶好きだよね?』
『うん…。』
『俺美優ちゃんの作るお茶飲みたい!』
『えっ?』
『どこ行けば飲める?』
『おばあちゃん家なら…。』
『じゃあそうしよ!』

本当は、左手が使い辛いからやだった。
でもデートが嬉しかった。

当日、俊君が家まで迎えに来てくれた。
『荷物もつよ!』
『ありがと。』
みんなのくれた眼帯と車椅子は毎日使ってる。
俊君は車椅子も押してくれた。
おばあちゃん家までの長い道のりが楽しかった。
『具合大丈夫?』
『うん!』
車の中で何度も声をかけてくれた。

おばあちゃん家に着いた。

おばあちゃんはお見舞いにも来てくれた。
おばあちゃん家にはお茶を作る道具がある。

私は早速いろいろ出した。
左手が使えない事は大きかった。
でも、俊君が私の左手をしてくれた。
『へーこうやって作るんだ!』
『これじゃ共同作品になるね。』
『そうだね~。』
二人で作ったお茶は美味しかった。
その後公園に行った。
私が幼い時遊んでいたおばあちゃん家の隣の公園。
『公園なのにプールあんの?』
『ここ、市立公園だから。』
『そうなんだ。』
車椅子から降りて俊君の肩を借りて歩いた。
それだけで楽しかった。
車椅子に戻った時、口に血の味がした。
急いでトイレにいくと、歯茎から血がでてる。
これくらいなら大丈夫だと思って俊君の所に戻った。
『大丈夫?』
『うん。』
そう答えた時に鼻から血が流れた。
頭がくらくらして頭が回らない。
倒れこんだ。

デートは中止だ。
第五章 “プレゼント”

リハビリは頑張った。
そのお陰で足や腕の骨は固まらすにすんだけど、目が衰える方が早かった。
だんだん左目は見えなくなって来た。
だから右目で見る様にしてる。
そのうち、目の筋肉も衰えて来て、瞼が閉じたまま。
ウインク状態になった。
瞼を指で押し上げても、眼球は正面をみてる。
みんなは気を使ってくれて、
『美優ちゃん色っぽい!』
とか言ってくれる。

でも、自分で鏡見てて分かる。
ほんとは色っぽくも何ともない。

後一ヶ月。九月三日は私の誕生日。
最悪な誕生日になりそう。
去年みたいにみんなが祝ってくれるかな?忘れられてないよね?
そう言うこと考えてる時だけは、障害の事忘れられる。

でも、誕生日が近付くにつれてみんな忙しくなった。

『なにやってるの?』
『なんも。』
聞いても私には教えてくれなかった。
おいてかれた気がして悲しかった。

誕生日当日、みんなは祝ってくれた。
私は嬉しさで涙を流した。

『どしたのっ美優ちゃん!』
『みんなが忙しくて何も話してくれなくて寂しくて。』
『ああ、それはバイトしてたからだよ!』
『え?』
『誕プレ、みんなでバイトして買ったの。』
みんながくれた小さな箱の中には、眼帯が入ってた。
『目の事きにしてたみたいだから。』
『これ、高かったでしょ?』
『いや?みんなでバイトして三週間なら安いよ!』
私は鏡をみて着けてみた。
黒にハートの眼帯が、ロックバンドのソンガーみたいにかたどって、前よりましになった。
『さすが美優ちゃん!似合う。』
『ありがと!』
『じつはもう一個プレゼントあるんだ。』
すると、違うクラスの子や後輩達が教室に入って来た。
『これ、先輩にいつもお世話になってるので……、みんなでお金集めて買ったんです!』
『なに?』
部活が同じの美香ちゃんが教室に入って来た。
なにかひっぱってきてる。
『これ…。』

自動車椅子。
絶対高い。
『なんで…。』
『病院の車椅子レンタル高いって聞いたので。』
『こんなお金…。』
『校長が寄付してくれたんです。』
『ぐすっ』
また涙が出た。

みんなからのプレゼント、大事にしよう。眼帯も車椅子も気持ちも。
第四章 “障害”

『…。』
『………。』
『あのさっ』
『?』
『俺達付き合ったんだよね?』
私も不思議に思ってた。
『うん…。多分。』
『そっか!よかった。』
急に空気が軽くなった。
なんかもやもやしたものがとれたって感じ。
『じゃあ俺帰るね。』
『うん。』
『じゃ!』
俊君が帰るのと同じくらいにお母さんとお父さんが来た。
『美優!』
だけど医師が呼んでたから、私からすぐに離れた。
戻って来た時はお母さんの顔は青ざめていた。
私はあえて聞かなかった。

本当はなんなのか知りたかった。
そんな事考えると喉が乾く。
とにかく水を取ろうと思った。
私が左手を布団からだそうとした時。
『あっ!待って。』
お母さんが大声で叫んだ。
『?』
『美優、実はね…。』
お母さんは泣き崩れた。
代わりにお父さんが話してくれた。
『お前の右脳は損傷したかもしれないんだ。』
『え?』
右脳が損傷って事は、左半分が動かないってこと?
『これから入院して詳しいことは調べる。』
『多分、大丈夫だよ♪』
本当を言うと、信じたくなかった。
不安で全然大丈夫じゃないし。

お母さん達が帰った後、一人で泣いた。
大丈夫だって事を祈って眠りについた。
次の日から一日二回の検査が始まった。
血液検査とレントゲンの検査。
血が足りなくて貧血。
正式な検査結果がでたのは一週間後で、
やっぱり右脳が損傷してた。

俊君や友達がお見舞いに来てくれた。
けど本当の事なんて言えなかった。
それから一週間くらいで退院する事になった。
けど、リハビリとかがあって退院した気にならなくて、しかも生憎休日で、早く学校に行きたかった。

そしてやっと休日明けの月曜日がきた。
左足が動かないから車で送ってもらい、学校からは車椅子に乗った。
『美優ちゃんどうしたの?』
『実は右脳が損傷してて…。』
全部説明した。
『え!』
『嘘ついててごめん!』
『…。』
俊君は、
『車椅子押すよ!』
庇ってくれた。
みんなはそれにつられて、
『荷物持つよ!』
『段差気をつけて。』
『教室まで肩貸すよ。』
とか話しかけてくれた。

みんなの優しい心遣いを気付かせてくれる障害だった。