今節対戦するいわきFCであるが現在8勝4分け1敗の勝ち点28で鹿児島に次いで2位となっている。
山雅との勝ち点差は3となっており、この試合で勝利すれば勝ち点で追いつくことはできる。
それでも得失点差が17とJ3ではトップの数値を残しており、山雅の9をはるかに凌ぐ数値となっている。
特筆すべきは得点が27得点であり、試合数13であるから1試合平均で2点を奪っていることになる。
さらに失点数の10は鹿児島に次いで2位の失点数であり、攻撃型のチームであるが守備も堅い。
特に長野パルセイロに対しては4対0、そしてYS横浜に対して6対0と圧倒的な強さをみせており、複数得点した試合は8試合に及ぶ。
このような攻撃力を支えるのは前回のブログで語った、フィジカルを強化したことによる。
体を鍛えることで攻めに転じた際に相手ゴールエリアへの侵入回数が飛躍的に増している。
その様子が数値にも表れており、アタッキングサードでのボール保持率(AGI)は実に28%を超える数値を残しており、J3の平均値16%をはるかに凌ぐ数値となっている。
KAGI,AGIとは何か?
AGIはボール支配時間とペナルティエリア進入やアタッキングサードでのボール支配を絡めたデータであり、簡単に言えば相手を押し込んだ攻撃ができていれば高い数値となる。
KAGIはこの逆の指標であり、相手に危険なエリアで何もさせなければ高い数値となる。
いわきFCは現時点でどちらの指標もトップを記録しており、攻守両面で良い傾向が表れている。
この状況を支えているのが、ボール奪取ポイントの高さだ。
このポイントはボール奪取した位置や、奪取前の相手のプレーの方向や距離に影響される。
いわきFCの場合まずボール奪取の平均ラインが最も高く、本来高い数値を記録する相手のドリブルを除いたボールキープ成功率、ショートパス成功率を低く抑える傾向にある。
こういったプレーからのボール奪取は相手の守備への切り替えを遅らせることができるため、ショートカウンターによる素早い攻撃が生まれやすくなる。
特にボール奪取能力に長けた選手はボランチの山下優人選手(#24)と左SBの日高大選手(#8)となり、彼らはボール奪取と共にショートカウンターを発動できる選手だ。
ここは非常に注意が必要となる。後方でのパス回しも相手に詰められ体を当てられてボールを奪われることがあるので素早い状況判断が必要となる。
そのショートカウンター攻撃からシュートに関与した選手を抽出すると、特徴的なのは右サイドバックの嵯峨理久選手(#2)がランクインしていることだろう。
彼は4得点4アシストを記録しており、最後まで衰えない運動量で結果も残している選手となる。
右SHの岩淵弘人選手(#19)と絡む右サイドからの攻撃は脅威となる。
カウンター攻撃におけるシュート数はFWに偏ることが多いが、運動量を駆使して多くの選手が絡むことで相手DFを惑わせ、厚みのある攻撃ができていると言える。
そして3点以上の得点を挙げている選手は5人を数える。
その中でも6得点を奪っている有馬幸太郎選手(#10)は鹿島アントラーズの下部組織からトップ昇格を果たした若干21歳の選手。
昨年まで栃木FCに期限付きで移籍していたが、今季いわきFCに完全移籍し、エース番号の10番を背負う選手。
監督は松本山雅でコーチだった村主博正氏が今季から就任することになった。
彼はJ1コンサドーレ札幌、ヴェルディ川崎などでMFとして活躍し、2007年まで鳥栖に所属して22試合に出場したがこの年で現役を引退した。
その後2012年からFC岐阜のヘッドコーチを経てJ2町田ゼルビア、そして2020年から松本山雅でコーチとして選手を指導した。
今季監督就任は初めてとなるが、昨年まで山雅のコーチを経験しており、山雅の選手の特徴は熟知しているので戦いにくい相手になることは間違いない。
山雅に関係する選手とすると背番号1GKの田中謙吾選手。
また昨年まで山雅のCBを担った星キョーワァン選手(#4)が横浜FCから期限付きで、いわてFCへ移籍してCBの主力として11試合に先発出場しています。
何れの選手も20歳前半の選手が多数占めており、ここは天下分け目の決戦となる。
今後を占う意味で、大切な一戦となることは間違いない、
いわきFCは乗り越えなければならない壁であり、
ここで立ち止まってはいられない。
山雅の真価が問われる試合となる。