トカラ語について | 中村教授の愉快な毎日

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ずっと最近、外国の古書サイトで探していたが、どこにも在庫がない、困った、と思っていたら、自分の書斎、しかも正面、目の前に置いてあった。

Krause-Thomas の、Tocharisches Elementarbuch 『トカラ語入門』。

いつ買ったのか覚えていない。私が生まれる前の本だが、今もこれが最善と言われている。

これほどまでに言語学の進歩は遅いというか、言語学と言うよりも、トカラ語の資料が限られているので変化しようがない。

よほど画期的な資料が、タクラマカン砂漠から出土しない限り、この入門書はまだまだ使えるだろう。

トカラ語の名詞は、語尾変化が全てすり減って、ウラルアルタイ語的に入れ替わってしまい、インドヨーロッパ的要素は語幹にしかない。

また、テクストはサンスクリットの翻訳なので、あまり読んでも仕方がないというか、単語自体に研究の価値があるだろう。 いつ勉強できるだろうか。