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【がけっぷち脱出物語】
フェイスブックをやっていないから読めない!
ブログでも転載してくださいという声がありましたので、
1週間遅れですが、こちらにも載せておきます。
「占いや相を覚えるのもいいけれど
お前には先にやることがあるでしょう」
ロサはそう言ってすぐには
秘伝を教えてくれなかった。
冷静に考えてみたらその通りなのだ。
ここに来てからもう1か月以上になるというのに
私はまだ全然ここでの生活に慣れていなかった。
◇◇◇
私の住んでいた「洞窟住居」がどんなところなのか
簡単に説明することにしよう。
複雑にくねくねと曲がりくねった細い道をひたすら登り、
上に上に歩いていくとその住居はあった。
ここは危険なので、観光客はおろか
スペイン人さえもやって来ないという。
この住居には電気は通っていない。
ガスも水道もなく、
もちろん電話もFAXもインターネット回線もない。
最初は、おもしろがっていた私も、
次第にすごく不便を感じるようになった。
まず電気がないと、夜、暗くなるのが早い。
当たり前だけれど、
朝早く起きて、夜は早く寝る生活になる。
困るのは「宿題」をやるとき。
部屋が暗いので文字が読めないのだ。
電気はないので、仕方なく「ローソク」を買ってきて、
毎日、本を読んだ。
この現代に「ローソクで本を」!? と思ったけれど、
それが一番確実で、安いのだから仕方がない。
◇◇◇
ロサは、
ホームステイの代金を払うと言っても頑として受け取らず、
「お金はいらないから、
できる範囲で家事を手伝ったり労働をしなさい」と
私に命令した。
この家では、ほぼ自給自足をしているため、様々なことを
覚えて手伝わなければならなかった。
日本では全自動の洗濯機が全部やってくれる洗濯も
ここでは全て「手洗い」しなければならない。
一生懸命、洗濯をしている時ふと
「おばあさんは 川へ せんたくに いきました」
という昔話のフレーズが浮かんだ。
井戸水を汲みに行くたび、「水っていうものは
こんなに貴重なものだったんだ」と感じた。
野に生えている元手のかからない植物を加工したり、
野鳥や野ウサギなどを調理したり、
木の実や野草などを採ったり、
ヤギやにわとりを育てミルクやチーズ、卵をとったりと
北海道の農家でも
さすがにここまではやっていないんじゃないかという
原始的な生活をしていた。
私はスペインまで来ていったい何をやっているのだろう。
なんだかどんどん変な方向へいっているのでは?
そんなことを夜、一人でぼんやりと考えた。
本当に昔話の世界へ舞い込んでしまったような気がした。
~次回へ続く~
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